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伝説のベーシスト、キャロル・ケイからもらった言葉

こんにちは!

中村の音楽レビュー"Is It Rolling?"です。

今回は尊敬するベーシスト、キャロル・ケイについて語ります!

実は彼女から短い言葉を個人的にもらったこともあるので、そのことについても書いてみたいと思います。

キャロル・ケイとは

皆さんはキャロル・ケイという音楽家をご存知でしょうか。

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50年代~70年代というロック黄金期のロサンゼルスでスタジオ・ミュージシャンとして活躍し、なんと10,000曲ものレコーディングを残したと言われている伝説的なベーシストです。

その当時のロサンゼルス界隈のスタジオ・ミュージシャン達を指す「Wrecking Crew(レッキング・クルー)」という呼称があります。

当時の古株のスタジオ・ミュージシャン達が彼らのことを「音楽業界の在り方を根底から覆そうとしているロックンロールのミュージシャン」という意味を込めて「壊し屋」と呼んだことが由来となっているようです。

その名前のとおり、彼らの参加した曲は規格外の大ヒットばかりでした。

誰もが知っているような名曲の数々は、実は彼らの素晴らしい演奏技術によって支えられていたのです。

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そんな職人集団の中で紅一点、ひときわ目立っていた存在がキャロル・ケイです。

僕が初めて彼女の存在を知ったのは、ビーチ・ボーイズの大名盤、ペット・サウンズのレコーディング風景の写真でした。

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職人的な風貌のミュージシャン達に囲まれて「このサン・グラスをかけて華やかな服を着てベースを弾いてるのは誰なんだろう...」と不思議に思ったのがきっかけでした。

彼女がベースを担当している曲を調べてみたところ、知っているどころか自分が大好きなアーティストの曲ばかりで驚きました。

ビーチ・ボーイズ、サイモン&ガーファンクル、バーズ、バッファロー・スプリングフィールド、ニルソン、フランク・ザッパ、ドアーズ、モンキーズ、スティービー・ワンダーなど...!

ピック弾きでドライブ感があり、エレキ特有のゴリゴリしたグルーヴを奏でつつも、ビートの正確さに確かな品格を感じる…これがキャロルのベースの特徴だと思います。

スタジオ・ミュージシャンへの道

彼女は貧しい母子家庭で育ち、母親が僅かな貯金を叩いて買い与えたスチール・ギターが最初の楽器だったといいます。

スチール・ギターは最初に持つ楽器としては難易度の高い楽器でしたが、持ち前の根気強さでみるみる上達していきました。

ほどなくして通い始めたジャズ・ギター教室で、彼女の腕に感銘を受けた先生がギタリストとしての音楽教育を施し、ジャズ・ギターのプロの世界へと導きます。

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ギタリストの頃のキャロル・ケイ。

ビッグ・バンドで演奏するようになった彼女は、あるミュージシャン仲間と結婚し、二人の娘を授かりますが、この結婚生活は長続きせず、娘達と母親のために独りで働かなくてはならなくなります。

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ウクレレを手にするキャロル・ケイと二人の娘。

昼間にタイピストの仕事をしながら夜はジャズ・バーで演奏するという多忙を極める生活を送っていたある時、「スタジオでロックンロールのレコーディングに参加しないか?」というスカウトを受けます。

この当時、ロックンロールはまだ新しい音楽で、実は、スタジオの仕事に就くことは、ジャズ・ミュージシャンとしてのキャリアの終わりを意味していました。

しかし、大衆の熱がジャズからロックに段々と移り変わっていることを彼女は日々感じていたので、悩んだ末に、この新しい音楽にすべてを賭けてみることを決意したのです。

そして、彼女が最初に演奏した曲が、あのサム・クックのサマー・タイムでした。

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サム・クックは当時まだ無名でしたが、この後一世を風靡するスターになります。

ここから彼女のスタジオ・ミュージシャンとしての輝かしいキャリアがスタートしたのです。

最初はギタリストとしてスタジオ・ミュージシャンになったキャロルでしたが、ベーシストが突然来られなくなったセッションでピンチ・ヒッターでベースを任されたのをきっかけにこの楽器の奥深さに目覚めます。

そしてキャロルは徐々にベーシストとして名を馳せていき、数多の伝説的名盤のベース・パートを担当することになったのです。

代表的な参加作品

ここで彼女が参加した代表的な作品を紹介してみたいと思います!

The Beach Boys / Pet Sounds
(1966年リリース)
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実は、この当時のビーチ・ボーイズのバック・トラックは全てレッキング・クルーによって演奏されています。

リーダーのブライアン・ウィルソンはレッキング・クルーの演奏技術に全幅の信頼を置いていました。

ブライアンの曲の特徴は、第一にその天才的なメロディにありますが、このアルバムではサウンド作りやアンサンブル面でも特に創意工夫が詰め込まれており、かなりレベルの高い要求に彼らは応えています。

キャロルのベースは、そんな壮大なアンサンブルの中のひとつのパートに過ぎませんが、このアルバムに掛け替えのない品格をもたらしていると言えるでしょう。

ブライアンはもともとベーシストだったため、ベース・ラインや演奏には特にこだわりがあったと言われていますが、そんな彼の要求にもキャロルはしっかりと応えていきました。

このアルバムの中でもひときわベース・ラインが美しい「Sloop John B」という曲が聴きものです…

次の参加作品はペット・サウンズからわずか1年後にリリースされたこちらです!

The Beach Boys / Smiley Smile
(1967年リリース)

ビーチ・ボーイズには「SMiLE」という幻のアルバムがあります。

スマイルは前出のペット・サウンズを凌ぐ大傑作になる予定でしたが、製作途中でブライアンが鬱状態に陥ってしまったため、結局未完のまま終わってしまいます。

スマイルに入る予定だった曲群は、この「Smiley Smile」をはじめ、その後リリースされるアルバムで小出しに発表されることになりますが、この散り散りになった曲を集めてみると、完成しなかったことが本当に惜しまれるような素晴らしい曲ばかりなのです。

中でも本作に収録された「Good Vibrations」という曲は知ってる方も多いのではないでしょうか。

この曲のハイ・ポジションを有効に使った印象的なベース・フレーズもキャロルによるものです!

キャロルからもらった言葉

70年代に入ってから、彼女はメインの活動の舞台を映画音楽に移します。
一番有名なところでは、ミッション・インポッシブルのテーマ、アダムス・ファミリーのテーマなど、ベースが印象的な音楽でその存在感を示しました。

また、彼女は最近では音楽教育にも力を入れています。

実は、僕もエレキ・ベースを始めたばかりの頃に通販でキャロルの教則本を買ったのですが、なんと、直筆サインとオリジナル・ピックが付いており、そこには「To Hiroki Good Vibes」というメッセージが書かれていたのです。

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雲の上の存在でありながら、僕のような遠く離れた国の一介の読者にまでこんな風に語りかけているその姿勢にとても感動しました。

宝物です。

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今回は師匠でもあるキャロル・ケイの魅力について語ってみました!

これからも彼女のベースを聴き続けたいと思います。

Apple Musicで彼女の参加曲を集めたプレイリストを見つけたので、もしよければ聴いてみてください!!

『Carol Kaye On the Session』
 → Play on Apple Music  🎧

最後まで読んでくださりありがとうございました!!

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