スティールギター を手づくり!!Part.2 ~設計図と木材編~
こんにちは!
ロックバンドSPORTS MENのウクレレ担当、澤田が自らの楽器愛について語る「澤田のウクレレ日誌 ~Parlor Songs~」。
前回に引き続き、スティール・ギター製作シリーズのPart.2です!
Part.1の記事では、手始めに、スティール・ギターの歴史や奏者について掘り下げてみました。
今回の記事では、設計図の作成と材料の調達についてレポートしています。
モデルとなるのはこちらの、リッケンバッカー社のA-22、通称フライング・パンと呼ばれているスティール・ギターです!
設計図を描く!!
早速ですが、上記のフライング・パンをもとに、スティール・ギターの設計図を描いてみました!
図面の上部が平面図(上から見た図)、中央が側面図(横から見た図)、そして、下部は穴あけ加工ガイド用の実寸図になります。
オリジナルのフライング・パンは本体が金属製なのですが、今回は木材を使って製作していこうかと考えています。
実は、僕は木工の製作学校で勉強していた経験があり、製図の授業で手描きの製作図面の描き方を習いました。
木工製作にあたっては「図面を正確に理解できて、描くことができなければ、実際に製品を形作ることはできない」と徹底的に教わりました。
(とは言うものの、今回は寸法の描き損じがあって修正跡などがあります…泣)
それでは、順番に各部位の説明をしていきます!
(木工用語、楽器用語が多めに使われています。よかったら、図面だけでも是非ご覧ください!)
<ボディ>
・ボディ:φ180㎜の円構造で、中央にシングルコイルのピックアップを配置。
・ブリッジ:エレキギター用の金属製のものを取り付け。
・ボリュームノブ:トップで操作できるように組み込み、バック側にキャビティスペース(穴を開けて、空洞を作ること)を作成。
・ジャック:サイドに配置(シールドを差す部分)。
<ネック>
・スケール:一般的なスティール・ギター通り571.5㎜(22 1/2㌅)に設定。
・フレット:算出した寸法を記載。
・ポジションマーク:ローズウッドなどの木材でインレイの加工予定。
<ヘッド>
・ヘッド:オリジナル通り、スロテッドヘッド(穴の空いた、クラシックギタータイプ)仕様。
・ペグ:専用の3連ペグを取り付け。
ボディに穴を開けるテンプレート用の実寸図。
これを元に、正確に穴空け作業を行うための治具(ガイド)を作成。
以上が、製作するスティール・ギターの設計図です。
図面の計画通りに進めば良いのですが…。
この先にどんなアクシデントが待っているかわかりません。
木材を調達!!
一番重要な材料である、ボディの木材を買いに、リサーチしていた近所の材木屋へ足を運んでみました!
貴重な木材が所狭しと並んでいて、いつまでも見飽きませんでした…!
最高の空間…!
実際に目で見て、触らせていただいて、メジャーを片手に寸法を確認しつつ、色々と比べてみました。
試行錯誤して、悩んだ結果…
こちらの、イエローバーチという木材に決めて、購入しました!
北米産のカバノキ科の木で、家具材として知られている木材です。
イエローバーチ Yellow birch
【学名】Betula alleghaniensis
【科名】カバノキ科 広葉樹(散孔材)
【産地】北米東部
【比重】0.70
【硬さ】5上(最大値10)
癖のない、カバらしいカバ
カバ類の特徴をすべて備えており、まさにこれがカバといえる。材が緻密。硬さは平均的で、イタヤカエデと同レベル。逆目が少ない。ペーパー掛けをやりやすい。曲げ加工にも向いている。衝撃に強く、粘りもある。切れた刃物でロクロ作業をすると、挽いてすぐに艶が出て、仕上がりがきれい。
『【原色】木材加工面がわかる樹種事典』より引用
楽器用木材としての印象は薄かったのですが、日本ではカバノキ科の木材は材が緻密で加工も容易なことから、古来より家具材や弓の材料として使用されていたようです。
今回選んだ個体は、心材(木の幹の中心部分)がほのかな褐色で、辺材(木の幹の外側の部分)が綺麗な白色なのが特徴的な1本です。
木取り(木の使う箇所を決めること)によっては、木目のグラデーションが楽しめそうです!
楽器、家具材は高価なものが多く、イエローバーチ材は比較的お手頃価格なのも決め手のひとつでした。
やはり木材は、木目の個性がひとつずつ異なるので、選んだ時点で楽器が唯一無二の一本になるのは素敵なことだと思います。
この出会いをしっかり生かせるようなスティール・ギターを作っていきたいです!
パーツの紹介
次に、スティール・ギターに必要なパーツを専門店を回って調達してきました。
(木材に想定していたよりも金額をかけてしまったため、部品類はコストパフォーマンス重視の選択となってしまいました…!)
まずは、電子部品です。
上から、ピックアップ、ボリュームポッドとノブ、ジャックです↓
一般的なエレキギターに使用される部品です。
1ピックアップ、1ボリュームのシンプルな構造です。
つづいて、ブリッジ(弦を止める部分)は、金属製のエレキギター用のものを購入↓
ナットはブラス製で、スティール・ギター用に幅広のタイプです↓
ペグはGOTOH製のクラシック・ギター用のものを選びました↓
フレットとポジションマーク用の木材です↓
キャビティスペース(ボディ穴)をカバーするための黒塩ビ板も用意します↓
以上で、スティール・ギター製作に必要な部品類が全て出揃いました!
どんな楽器が完成するのか、ワクワクが止まりません。
いずれにしても、世界に一本だけの大切なスティール・ギターになるはずです。
どうぞ、引き続き見守っていただければ幸いです!
次回は、いよいよ墨付け(加工材にガイドを引いていく作業)と切削・加工の工程へと進みます!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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