NECレッドロケッツ川崎・NECグリーンロケッツ東葛の2チームを支えるボランティアの存在
こんにちは。スポーツビジネス向上委員会の田中です。
梅雨入りが近づいてきましたが、ジメジメとした気分はスポーツ観戦でスッキリさせていきたいと思っています。
さて本日は、スポーツを「支える」をテーマに、スポーツチームのボランティア活用について取り上げます。
最近ではスポーツ観戦の際に、ボランティアの方々と接することが多々ありますよね。
スポーツチームにとって欠かせない存在のボランティア。
試合興行の運営コストや人手不足に悩むスポーツ団体にとって、ボランティアの力をどのように活用していくかは大きな課題かと思います。
そこで今回は、試合興行運営において、どのようにボランティアの力を引き出し、試合興行の成功につなげているのか
NECスポーツビジネス統括部で試合運営を担当されている佐藤智也様に「現場の声」をインタビューさせていただきました!
ぜひ皆様のご参考になれば幸いです。
はじめに
---まずはNECスポーツについて、お伺いさせてください。
バレーボールVリーグ所属NECレッドロケッツ川崎と、ジャパンラグビーリーグワン所属のNECグリーンロケッツ東葛の2チームがあります。
---ボランティアの方々が担っている部分はなんですか?
それぞれのホームゲームの試合運営をNEC中心で行っており、そのお手伝いをボランティアの方々にお願いしています。
直近のシーズンではバレーボールVリーグは、10月から翌3月まで開催され、NECレッドロケッツ川崎のホームゲームは8試合。
ジャパンラグビーリーグワンのホストゲームは7試合の開催となりました。
試合の他、ファンイベントなど運営には多大な人手とコストがかかります。
試合ごとに多くの観客を迎えるため、運営スタッフの確保は不可欠です。
ボランティア発足の背景・目的
---ボランティア発足の背景は、どのようなことだったのでしょうか?
ボランティア組織の発足は3年以上前になり、
当初は企業スポーツの位置づけとして、社員の福利厚生の一環としてのスタートでした。
きっかけは、2021年の東京五輪。
NEC社員有志でのスタートから、ボランティア活動の意識が高まっていきました。
試合興行の運営スタッフ確保のために、ボランティアの方々に協力をしてもらうだけでなく、NECグループの”従業員同士の交流の場”としての目的もあります。
大企業になると、入社してから一度も会う機会のない社員もいるため
ボランティア活動を通じて、社内の関わりを作ることができ、部署や年代を超えた交流ができるきっかけ作りにもなっています。
ボランティアの集め方・継続的な参加促進の工夫
---どのようにボランティアを集められたのでしょうか?
毎年、グループ会社を含め全社員が利用するポータルサイト内で告知をしたり、ボランティア募集の説明会を開催したり、
過去に参加いただいた方に定期的なメール案内をすることで、だんだんと参加人数が増えていきました。
最初は社内メンバーのみだったところから、社員の家族や知り合いに広がっていき、現在は130名ほどが参加登録しています。
また、ボランティアの方々に参加するモチベーションをいかに保っていくかも重要と考えており、NECではシーズンごとに初参加の方にオリジナルのノベルティをお渡ししています。
昨年はポシェット、今年はチームのロゴとボランティアの文字が入った軍手でした。
参加することが楽しみになってくれるように、運営側も工夫をしています。
---ボランティアさんには、どのような活動をしていただいているのでしょうか?
ボランティアさんの活動内容は多岐にわたります。
1試合あたり15名から20名ほど参加いただき、会場でのお客様の対応部分が主な業務です。
座席の案内や、グッズ売り場の品出しサポート、メディア関係者の受付からVIPルームの設営など、色々な業務をしていただいているのですが、
運営側が手が離せない状況のとき、大まかな指示でもきちんと動いてくれて、本当に感謝しています。
ボランティアの存在価値
---お客様からの反応はいかがですか?
お客様からは「NECのスタッフは温かい」という声が寄せられ、無償で参加しているボランティアさんのホスピタリティが高く評価されていることを実感しています。
ボランティアさんのホスピタリティは、ファンの信頼獲得にも大きく貢献してくれています。
---そうなんですね!お客様からの感謝の声は嬉しいですね。
運営側にとって、ボランティアの存在価値ってどのようなものでしょうか?
毎回、興行が終わったあとは、ボランティアの皆さんにアンケートを取っています。
お客様の反応について、ボランティアの目線で率直な意見を聞かせてもらっています。
会場でお客様が困っていたこと、良くなかった点などのネガティブな声も率直に挙げてもらい、次回までに改善しています。
率直な意見をもらうことで、運営側で気づけなかった部分の対応ができるので、そういった部分でも助かっています。
---現場でのボランティアさんの管理はどのようにされているのでしょうか?
今では、ボランティアリーダーさんという立場の方が数名いらっしゃいます。
ホームゲームの際に1~2名は必ず参加していただいている頼もしい存在です。
運営側とボランティアの橋渡し役をしてくれたり、初めて参加される方への対応や事前説明会で体験談を話してもらうこともあります。
---頼もしい存在なのですね!
純粋にチームのファンで応援してくれる方がリーダーになってくれていることもあり、チームへ貢献したい、という思いが伝わってきます。
直接お客様と接する業務を多くお願いしているのですが、
例えば、会場案内でも、ただ座席に案内するだけでなく「プラスアルファ」の対応があり、来場者アンケートでも満足度がとても高いんです。
実は、ボランティアに参加されないときは観客として来場しているくらい、
チームを応援してくれています!
ボランティアにとっての価値
---では、ボランティアの方々にとっての価値は、どのようなものが考えられるでしょうか?
参加する側にとっても、価値がある活動にしていかなければ継続に繋がらないと思います。
大変だけど色々な人と関われるから楽しい、自分たちの意見が反映されるから楽しい、などの声をよく聞きます。活動が楽しみで朝早く起きちゃいました!という方もいるくらいなんです。
ボランティア活動でしか得られない経験もあると思いますし、新たな交流や現場での一体感など、参加いただく方の価値も大事にしていきたいです。
---参加した方にとっても価値を見出せる活動ですね。
毎回人手だけとして扱うのではなく、双方向のコミュニケーションを大切にしていくことで、参加して良かったと思ってもらい、そこから継続していったり、新規メンバーに繋がっていくことを期待しています。
また、自分たちの会社が利益追求だけじゃなく、色々な社会貢献をしているんだ、という気づきを持ってもらえると嬉しいです。
今後実現していきたいこと
---今後、ボランティア活用で実現していきたいことはありますか?
今年10月から、バレーボールはSV.LEAGUEとなり、試合数が増えます。
稼働できる人が限られてしまうと、運営のクオリティや人手にムラが出てきてしまうかも、といった懸念があるため、ボランティア参加人数をさらに増やしていきたいと考えています。
一方で、人数が増えることでメンバーの管理や情報連携も大変になってくる部分があると思います。
どのチームもリソース不足に悩む中で、どうカバーしていくか。
運営会社さんとボランティアさんとをうまく両立していきたいです。
---ボランティアの方々が活躍するシーンも変わっていきそうでしょうか?
社内で参加している方々は、普段色々な業務をしています。
せっかく異なる分野のプロフェッショナルが集まっているので、それぞれの強みをチーム運営に活かせたらと思っています。
「オールNEC」で、興行を成り立たせていくことが、社外へのアピールにもなると思います。
社外から参加いただく方も同様に、若年層のファン獲得の施策として学生の意見やアイデアを取り入れたり、
業種の違う方との出会いから、新しい企画がうまれたり、などが出来たら良いですね。
佐藤様には実務の部分も深堀してお伺いしました。
今回はインタビューへのご協力、改めてありがとうございます。
スポーツにおけるボランティア活用について試合運営におけるボランティアの取り組みは、コスト削減だけでなく、社内外の交流促進やホスピタリティ向上に大きな成果を上げています。
多くのチームがボランティア活用をされているかと思いますが、本記事で共感できる点や課題解決のヒントが見つかれば幸いです。
それでは、また次回以降もどうぞお楽しみに!