【Doctor Tのスポーツ医学】子供には種目を決めずに走り回らせよう!
こんにちは、Doctor Tです。以前にも子供と運動についてお話しました。同じ学年でも体のサイズや発達に違いがあることや、成長スパートの時期にうまく体を動かせないこともあるのが子供特有のポイントでした。
今回はその第3弾で「Early sport specialization(早くにスポーツ種目を限定する)」についてお話します。
Sport specializationとは
Sport specialization とは「1年を通して一つの競技のみを行うこと」と定義されます。最近は思春期前から特定の競技だけに打ち込む子供が増えてきています。昔と比べ、公園で走り回っている子供より、スポーツクラブに所属して運動している子供が増えたと思いませんか?
懸念されるSport specializationの若年化
確かに子供が競技にのめり込むということもあるかもしれませんが、それでも少なからず親や指導者など周囲の大人が、子供に特定のスポーツをさせていないでしょうか。
アメリカのNational Athletic Trainer Association(NATA)を始め、スポーツ医学の専門家たちはこのEarly sport specializationに懸念を示しています。
なぜEarly sport specializationがよくないか
なぜそれがよくないかと言うと、子供の体や精神に負担がかかるからです。
体の負担
特定の種目を決めてそのスポーツばかりさせてしまうと、その子供が頻繁に行う動き、つまりよく使う体の部位が限定され、そこを繰り返し繰り返し使い続けることによって、ケガや障害を起こしやすくなります。また、練習もキツくなりがちで休息が十分に取れないこともあります。
一方、様々なスポーツや遊びをしている子供は、体全体を使い、無理なく体の成長段階にあった動きが取り入れられます。外で走り回っている子が、いろんなスポーツもうまくこなすのを見かけますよね!
精神的にも負担に…
また、早期に子供の競技を絞るのは、高校や大学でその競技のエリートにさせたいという期待があってではないでしょうか。これは期待であると同時にプレッシャーになり、子供達は精神的に疲れ果ててしまうこともあります。トレーニングのし過ぎで気分が落ち込むこともあります。
早く始めたからと言ってエリート選手になるとは限らない
いくつかのスポーツでエリート選手とエリートに到達できなかった選手の傾向を調査したところ、多くの研究で、エリートの方が種目を決めて集中的なトレーニングを始めた年齢が遅く、だいたいその年齢は12歳前後だと言われています(Jayanthiら2013年)!
こどものSport specializationの推奨
そこでNATAからはこのような推奨が出ています。
できるだけ1種類のスポーツに絞るのを遅らせる
若いアスリートは色々なスポーツに参加して試してみたほうが良いです。その方が、総合的に体を健康にし運動能力を高めケガを減らすと考えられるからです。1チームにしか所属しない
トレーニング量の合計がケガのリスクファクターになるからです。1年のうち8ヶ月以内
ひとつの競技を年に8ヶ月以上やらない。1週間のうちに年齢(数字)以上の時間数をその競技に費やさない
例えば12歳だったら、週12時間以内に。週に2日はお休み
お休みの日は他の競技スポーツにも参加しないようにしましょう。その競技から離れる時間をつくる
シーズンが終わったら完全にその競技から離れて休息し、心身ともに回復させましょう。
まとめ
Sport specializationとは1年を通して一つの同じ競技を行うこと
Early sport specializationが増える傾向にあることが危惧されている
Early sport specializationは心身ともに子どもへの負担が大きい
エリート選手のほうがspecializationが遅い傾向にある
推奨をもとに安全なsport specializationを!
何事もバランスですね。楽しければ頑張れる。そして良い成績を残せるのが一番です!
子供は周囲の大人の影響を大いに受けます。子供が元気で、自分の持っている能力を最大限発揮できるようにサポートしてあげたいものですね。
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