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選ばれし男、その名はマイキー(男子バスケW杯開催に寄せて)

まもなく開幕する男子バスケットボールW杯(8/25-)を前に12名の日本代表枠に選ばれた中に、驚きを持って迎えられた選手がいます。

川真田紘也(かわまたこうや、滋賀レイクス)選手です。

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日本代表のトム・ホーバス監督の掲げるバスケットボールは、攻守の切り替えが早く、激しいディフェンスからボールを奪い、積極的に外角シュートを狙っていくスタイルです。多彩なパスを繰り出す河村選手、スリーポイント・ラインのはるか後ろから楽々とシュートを決める富永選手などがその典型と言えるでしょう。

そんな中にあって、日本人ビッグマンである川真田選手(ポジション:センター、204cm、愛称「マイキー」)は、代表に参加して試合に出始めた頃は、動きにぎこちなさも感じられたし、ややもすれば緩慢なようにも見えました。当時は「これは最終ロスターには残らないだろうな」というのが、バスケ・ファンの一致した見方だったように思います。

ところが――。

大会直前の強化試合で見せたハッスルぶりは、目を見張るものがありました。その結果、川真田選手はついに最後の12人にまで残ったのです。そう、彼は「選ばれし男」になったのです。

彼を見ていて感じるのは、監督のバスケ・スタイルに合わせて努力するような「器用さ」ではなく、自分に出来ることをひたすら追及しようという「一途さ」です。

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最終の12人を「選ぶ人」はホーバスHCなので、「選ばれる人」である選手たちは「選ぶ人」の評価基準を理解した上で、「選ばれる」ように努力を重ねることになります。

ただ、ここであまりに「あの人に選ばれるために何が必要か」ということばかり考えると、「自分に出来ることは何か」「チームに貢献するために自分に何ができるだろう」という視点が欠けてしまいます。そうなると、自分が不得意なプレーや、ケガによる調整の遅れに対する焦りなど、往々にして「自分ではコントロールできない領域」にまで無理に手を出して、自分を見失い、調子を崩してしまうことにもなりかねません。

スポーツコーチング・イニシアチブ(SCI)で、ファシリテーターを務める青野祥人はこんなことを書いています(実はこの記事も、彼の主張にインスパイアされて書いています)。

「選ぶ人」と「選ばれる人」という構造がある限り、残念ながら「他者評価」は必要であり、その「評価」を理解する必要はある。

ただし、そのうえで、「自分自身でコントロールできること」にいかにフォーカスできるのかが、その人自身の「成長」につながるのではないかと思う。

青野祥人「選ぶ人と選ばれる人」(note)より

今回の川真田選手の成長ぶりは、まさにこの"「自分自身でコントロールできること」にいかにフォーカスできるのか"を突き詰めた結果と言えるでしょう。

ヘッドコーチが喉から手が出るほど欲しがっている華麗なパスや鮮やかなスリーポイントはないけれど、自分自身が最も得意とする泥臭いインサイドワークでひたすらハッスルしまくるスタイルを貫いてベンチ入りを手にしたという訳です(たまに豪快なダンクを見せてくれます)。

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いよいよ8/25に男子バスケットボールW杯が開幕します。
正直、日本代表の予選グループ突破は難しいかも知れません。でも、予選の3試合(※)でマイキーが見せてくれるであろうハッスルぶりにちょっと期待してしまうのです。勝ち負けを超えた「たいせつな何か」を見せてくれたら素敵だなあと思っています。

皆さんも、是非、バスケ日本代表・川真田選手を応援してあげてください。

追伸)
もっとマイキーのことを知りたくなったあなたへ。いやぁもう、リアル桜木花道みたいな選手なんですよ。この一連の記事は超オススメです。

(※W杯では予選リーグに敗退しても順位決定戦があと2試合あります。なので各チームは最低でも5試合戦います。)


▼この記事を書いた人

小野耕一(おのこういち)

SCIではふだんは会計を担当している58歳。先日、草バスケで人生で初めて連続してスリーポイントシュートを決める。

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