自分らしく、競技力を向上し、サッカー外活動も 充実した成果を出すことを目指していくには?
プランドハプンスタンス理論って聞いたことがありますか?
プランドハプンスタンス理論(planed happen stance)はキャリアを考えるときに出てくる考え方のひとつです。
プランドハプンスタンス理論には、「偶発性を活かす」という考え方が含まれています。キャリアの選択において、偶然や予期しない出来事が、個人の成長やキャリア形成に大きな影響を与えることがあると考えられています。
とあるサッカー少年に起こった偶発性
例えば、ある少年は幼い頃からプロサッカー選手を目指していました。
絶対に、Jリーガーになる。絶対地元チームの川崎フロンターレに入ると決めていた。ところが、コーチの知り合いのJリーガーが自分のチームに初蹴りに来てくれた。
このサッカー少年は、初蹴りを共に楽しんだJリーガーに「一緒にサッカーやろうな」って言われたのが忘れられず、そんなご縁からその選手と同じ大学を目指し、プロのスカウトに声をかけられた。
結果的に、FC東京への入団を決めた。
これは、まさにプランドハプンスタンスでいう「偶発性」を活かして柔軟に進路への選択肢を変えていくことで、思っていたチームとは異なるけれど、プロ入りを果たせた。というひとつのお話しです。
個別相談でJリーガーにお伝えしたことがきっかけとなり・・・
ある一人のJリーガーがいます。
彼が幼い頃に入りたかったチームは鹿島アントラーズでした。
けれど、実際にオファーが来たのは、地元鹿児島のチーム。
当時はJ3。
コロナになる少し前から、ベンチ入りできていませんでした。
個別面談をして、お伝えしたのは、
このプランドハプンスタンスに基づく考え方です。
その個別相談の後、その選手が私に話してくれた言葉です。
目の前の視界がパッと広くなった感じがしました。
練習へ取り組む時の自分のスタンスが明らかに変わりました。
その結果、コロナのJリーグ中断明けにベンチ入りができただけでなく、スタメンで出場することができました。
この変化のきっかけとなったプランドハプンスタンスで大切にしている考え方をお伝えします。
偶発性を活かす行動につながる3つの軸
その選手に、私が個別相談でお話ししたのは、「偶発性を活かす行動につながる3つの軸」でした。
ということです。
1、機会を活かす:
偶発的な出来事が起こった時、その機会をキャリア形成に活かすことができます。予期せぬ出来事が起きた時に「ん?これって?」と少しその出来事を観察してみること。そのあと、いつもと少し違う行動をとってみます。
例えば、このJリーガーはコロナ禍に私の個別相談の案内の投稿を見かけました。普段なら気に留めなかったかもしれませんが、予期せぬ出来事、偶然見かけた個別相談に申し込みをするという行動をとりました。
に、それに積極的に取り組み、新たな経験やスキルを獲得することができます。
2、多様な経験を積む:
偶発的な出来事に出会う確率を高めるために、多様な経験を積むことが重要です。新しいことに挑戦したり、異なる分野で経験を積むことで、偶発性が高まります。
ここでは別な事例を。スペインで3シーズンプレーをし、通算15年をプロサッカー選手を続けている鈴木大輔選手。
彼は、サッカー先進国スペインと日本の文化の違いで、自分自身の長い人生について色々な想いを持ち、濃い経験を携えて帰国。帰国後は、アスリートの価値、素晴らしさを届ける「HISTORIA」というYouTubeチャンネルをスタートします。ところが、ある日突如、制作担当者が降板することになり、チャンネルが棚上げに。そんな中、少し前にたまたま大輔選手のオンラインサロンに入会していた私が、制作企画だけでなく、スポーツキャリア全体をプロデュースするということになりました。
その時、きっかけになったのは、ヘルニアで離脱していた大輔選手に2回ほどでヘルニアを改善して、パフォーマンスを高めることができるトレーナーを紹介したことだったりします。
3、意識的に柔軟性を持つ:
偶発性を活かすためには、柔軟性を持つことが大切です。キャリア形成において、計画通りに進むことは稀であり、予期しない変化に対応するために柔軟な思考や行動が必要です。
以上のようなアイデアを活かすことで、偶発性を積極的に活用することができ、キャリア形成に大きな影響を与えることができます。
そして、最初に書いたJ3チームにいたJリーガーは、スタメン出場ができただけでは終わりませんでした。
このプランドハプンスタンスの「偶発性を活かす」という考え方を活かすアドバイスをお伝えしたことから、行動と思考が変わりました。シーズン終了後、J3のチームからJ1に一人カテゴリーアップをしました。
キャリアの選択を主体的にできるようになるために
この「プランドハプンスタンス」という考え方は、サポートメニューではないのですが、やったことのないことに取り組む時に知っているといい考え方です。
※この考え方とスポーツノートの掛け合わせで本を出版したことがあります
私自身、スポーツキャリアの仕事を始めた時、サッカー界には知り合いが1人もいませんでした。けれど、最初に取り組んだプロジェクトは、元Jリーガーで1型糖尿病の杉山新さんの取り組みで、1型糖尿病でサッカーやスポーツをやっている日本の子どもたちを連れて、レアル・マドリードの試合を見に行く企画でした。資金調達して、日本中から1型糖尿病のサッカーをやっている子を選定し、初めて会う専門医に帯同を頼み、スペインへ渡航しました。
日本のサッカー界に知り合いが1人もいない状態から、レアル・マドリードの試合を観られただけではなく、ナチョ選手に対面することができました。
さらには、先制点をDFのナチョ選手が決めて、WOWOWの実況で私たちのことが取り上げられました。
こういうことは、サッカーの中でも良く起こることです。というのも、サッカーには原理原則があり、プレーモデル、戦略、戦術があるので、想定することというのはありますが、同じメンバーで同じプレーモデル、方針のもとでサッカーをやっても、似たプレーはあるけど、まったく同じ現象というのは起きません。
サッカーには偶発性を活かす要素がたくさんあります。
だからこそ、Jリーガーには、この考え方にある1)機会を活かす2)多様な経験を積み重ねる3)意識的に柔軟性を持つという行動はしっくり来るのです。
ゴールからの逆算だけで、決めきめに目標を設定するだけでは、理想的な人生は構築できません。自分らしく、太く、長くサッカー人生を充実したものにするために必要な考え方として、これから「偶然起きること」にアンテナを立てていきましょう。