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SportMeme創業ストーリー
スポーツテックスタートアップSportMeme(スポーツミーム)のCEO長野と申します!弊社はこの度、株式投資型クラウドファンディングによる資金調達への挑戦を開始しました!
募集ページをご覧頂いた上で、応援頂けますと幸いです!
より多くの方に弊社のことを知って頂きたく、創業に至った経緯から現在、またどのような未来に向かっていきたいか、についていくつかのnoteを通して発信していきたいと思っています。今回のnoteでは創業時のストーリーを中心にお伝えできればと思います!
弊社は創業以来、スポーツ選手の「評価」に関する研究に取り組んできました。例えば「プレーが派手なだけで実はあまりチームに貢献していない選手」や逆に「地味なだけでチームの勝利に大きく貢献している影の立役者」などを、バイアスをかけずに中立的に評価するためにはどうすればよいか?と言った研究をしております。
現在は研究で培った評価データを応用する形で、プロスポーツクラブのチーム編成などを中心に様々な経営の意思決定をご支援するサービスを開発しております。
繰り返しになりますが、詳細は近日中に別途記事にしたいと思っておりますので、もしよろしければご一読下さい!
原体験から来る「評価」に関する疑問
振返ってみると、一競技者として「評価」をされる際に用いられる数値になんとなく違和感を感じたことが原体験になっています。
私自身はアマチュアレベルではありますが、アイスホッケーでゴーリー(いわゆるGK)というポジションをやらせてもらっておりました。このポジションではセーブ率という数値が良く「評価」に用いられています。セーブ率というは「何本シュートを打たれ、その内止めたシュートの割合はどれくらいか」という数値であり、アイスホッケーの場合は一般的には90%以上のセーブ率を求められる傾向があると思います。
しかしこの数値だけでは完全にその選手の実力を「評価」出来ているは言えません。
例えば、明らかに対戦相手との実力に差がある中で、ゴーリーにとって理不尽とも言えるシュートシーンを何度も作られた上で70%止めている選手と、止めて当たり前と言えるイージーシュートを90%止めている選手(10%も決められている選手)では、技術的には前者の選手の方が優れているケースは多くあるように思うからです。
代表的な例では、映画「マネーボール」はまさにクラシックな評価指標に一石を投じた物語だったと思います。
例えばヒットを打つことと四球で出塁することは、チームにもたらす得点期待値は同じ(どちらも無死無走者から無死一塁に盤面を変えておりプロセスが違うだけ)である、という考えから打率のようなクラシックな評価指標では漏れてしまっている過小評価されている選手を発掘してくる、と言ったシーンが描かれていました。
このように私たちが良く見る選手の数値(スタッツ)と言うのは、非常に断片的で、不完全でバイアスのかかりやすいものになっているのではないか?という疑問を持ったところが出発点となっています。
週末の研究活動を開始、論文が評価される
原体験に加え、もう一つきっかけがありました。それが当時世界最先端だった「評価」に関する研究論文との出会いです。
当時私は会社員としてキャリアをスタートしており、たまに趣味の一環で週末にスポーツアナリティクス関連のコミュニティに参加しておりました。そこで「評価」に関する論文が紹介されており、上述したような過去の体験もあったため、とにかくもっと知りたい、実際に開発してみたい、と言う衝動に駆られるようになりました。
参考までに、その論文が以下のものです。
ただ実際に深く読み込んでみると、私にとっては非常に難解だったので(笑)会社同期の優秀なエンジニアメンバーを中心に協力を仰ぐことにしました。私の実家をオフィス代わりにして、週末に手弁当で論文の解読と実装をすすめ、やってみたい研究に力を貸してもらいました。(今でも力を貸してもらっていて、本当に感謝してます。)
そして研究の成果として人工知能学会に出した論文が幸いにも優秀賞を受賞させていただき、そこから現在に至るまで「評価」というテーマにのめり込んできた、と言う流れです。
当時の論文も載せておきますので、もしご興味があればご一読いただけますと幸いです。
「評価」データをどう価値に変えるか
素晴らしい評価指標があるとして、今後それをどう価値に変えていくか?というテーマが次に取り組んできたことになります。現在も日々試行錯誤している、という前提にはなりますが、振り返りも含めまとめてみたいと思います。
映像表現を試みた「EmoQ」事業の失敗
一つ目に取り組んだ事業は「EmoQ」という映像関連の事業でした。
当時仮説として持っていたのは、多くの人にとってスポーツ観戦は実は結構難しいのではないか?というものです。細かいプレーやチャンスになりそうな展開など、ライト層が競技に詳しい人と同じ沸点で盛り上がるのは難しいはずだと。そこで弊社が良いプレーを「評価」し、それを映像上に分かりやすく表現出来れば、多くの人にとって素晴らしい観戦体験を作れ、裾野を広げることに貢献できるのでは、と考えました。
具体的には、以下の動画のような世界観を量産できる「EmoQ」というプロダクトを作ろうとしていました。(マリオテニスのように、良いと「評価」されたショットにはオーラが着いて、悪い「評価」を受けたプレーにはそれとわかる効果音が出る、と言った観戦体験を量産するプロダクトの構想)
ただ結果的には事業をクローズすることにしました。
いくつか理由はあるのですが、主にはプロダクトアウトの発想で作り過ぎたことが原因だと総括しています。
実はあまり求められていなかったり、求めてくれる人がいても彼らの機材環境とはマッチしなかったり、改修しようとするオープンソースからいじらなければならないので膨大なコストがかかるなどなど、、自分よがりにプロダクト開発を進めたことが結果として多くの方に迷惑をかけてしまったと反省しています。
ヒアリングからヒントを得た「DePosta」事業
EmoQ事業のピボットを検討していた時に、ご縁でつないで頂いた某Bリーグクラブの役員の方とお話する機会を頂きました。
そこでクラブのGM(チーム編成責任者)が日々の選手獲得業務で忙殺されている、というお話を伺い、クラブのチーム編成を支援するために「評価」データを活かせるかもしれないと考えるようになりました。
前回事業の失敗もあり、次はヒアリングを通じてマーケットインで事業を作りたいと思っていたので、ピボットは早く決断しました。
その後、実際にGMの方とヒアリングする機会を何度か頂き、チーム編成のプロセスや何に困っているのか、と言ったお話を聞かせて頂く中で課題の解像度が高まっていきました。
例えば、クラブのGMはエージェント(選手の代理人)から毎年千人を超えるような膨大な獲得候補選手のリストを受領しています。しかし受領するリストには意思決定に必要な情報が十分に付与されておらず、「誰をどれくらいの価格で獲得すべきか?」「その選手を獲得するとチームの目標勝率は達成できるのか?」という判断をするために夜を徹して映像を見続ける、と言うのが実態でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715942331147-cv3GIlSw7U.png?width=1200)
そこで私たちは、世界中の選手の「評価」データを算出し、提供することでこれらの課題解決に貢献していこうと考えました。
2024/5/17, 22:30追記:余談
映画「マネーボール」をご存じの方にはより具体的なイメージを持っていただけるかもしれませんが、この事業はまさに「マネーボール」的世界観をサービス化する取組みとも言えると思います。
あの映画自体は既に20年以上前のものになりますが、競技を問わず未だに大半のクラブは勘と経験に基づいた選手評価や編成の意思決定がなされている状態となっております。
はじめての導入実績
その後も継続してヒアリングさせて頂き、プロトタイプ作りを進めて行きました。
例えば、クラブが求めているリーグのデータは何でどう収集するか、またGMの業務に必要な「評価」指標の粒度や精度を満たすためにアルゴリズム自体の改善を進めていきました。
結果として、最初にヒアリングをさせて頂いてから1年弱かかりましたが、2022年12月にBリーグの代表的なクラブ様からのご契約を頂くことができました。(権益の関係でクラブ名を申し上げることは出来ないのですが、2024年5月時点でもまだ継続利用して頂いております。)
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現在に至るまでのサービスと事業の成長
その後はチーム編成に留まらず、現場の要望を受けながら複数のプロダクトに展開して、少しずつではありますが着実に成長させることが出来ています。
プロダクトの詳細や実際に得られる体験などについては、次回のnoteで記載させて頂きますので是非楽しみにお待ちください!
5/27追記:事業詳細に関するnoteを公開しましたので是非ご一読下さい!
![](https://assets.st-note.com/img/1715914552688-BovgDKQqch.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1715914633657-WvDaThTy0n.png?width=1200)
最後に
今回は研究や事業を中心に記載致しましたが、弊社がこの領域でチャレンジ出来ているのは一重に投資家や周囲でサポートしてくださる皆さまのおかげです。
W fund服部さんには本当に何もないタイミングから単独出資を決めて頂き、またニッセイ・キャピタル高口さんにはまだ売上が立っていないタイミングにも関わらず強く後押しして頂きました。
oneroots西口さんには専門性の高い技術的支援を、アイスホッケー仲間の中村謙太郎さんやライムズスポーツコンサルティング平さんにはビジネス面でのアドバイスやメンタリング(?)と言ったご支援を頂きながら今日までチャンレンジしてこれました。(弊社メンバーも含め、ここには書ききれていない方も沢山います!)
そして現在、イークラウド社のお力を借りて株式投資型クラウドファンディングに挑戦させて頂いております!
アナリティクスを通じてスポーツはまだまだワクワクし魅力的なものになっていきます!スポーツテックの最前線で一緒に世界を変えていきましょう!ぜひ応援頂けますと幸いです!