地域で活躍する薬剤師の紹介①    小路晃平先生(つきの薬局)



松山大学薬学部オープンキャンパスでクラフトコーラのブースに参加していただきありがとうございます。
クラフトコーラをご提供いただきました、つきの薬局管理薬剤師
小路晃平先生のご紹介をさせていただきます。





自己紹介


小路晃平(しょうじ こうへい)と申します。
大分県杵築(きつき)市で「つきの薬局」の管理薬剤師をしています。
管理薬剤師とは、薬局に必要な管理責任者のことです。

経歴は、滋賀県長浜市出身で大阪薬科大学に進学。卒業後、石川県金沢市の300床規模の病院で5年間勤務。結核病棟や循環器病棟の病棟業務も行いました。5年間で、病態と栄養の知識を活かせる専門資格であるNST(栄養サポートチーム)専門療法士の資格取得。薬学部5年生が行う実務実習を臨床現場で指導できる実務実習指導薬剤師の資格も取得しました。

その後、結婚して2020年に大分県で「つきの薬局」を開局しました。初めは1日10枚処方箋が来るのがやっとだった薬局も月に処方箋が900枚くる薬局を夫婦で営んでいます。薬局以外に、6校の小・中学校の学校薬剤師を行い、大分県薬剤師会の災害対策委員、杵築速見薬剤師会の理事をしています。
*学校薬剤師:水道水・プール検査、照度検査など学校の環境衛生を守ることで生徒の健康を守る仕事をします。薬物乱用防止教室や保健体育の授業で薬の適正使用の授業なども行います。

こんな活動をしています!


薬局外では、子どもたちに早期からのお薬教育「薬育」を行うNPO法人 日本薬育研究会(薬育ラボ)の代表を行い、行政や学童からの依頼でお薬教室を開催しながら、薬育活動を行っています。
内容は、薬物動態が学べる薬剤師体験や薬の効果・副作用を判定する薬剤師体験、薬草から蚊取り線香を作る教室、忍者の薬「兵糧丸」を漢方薬の手技で作る教室も行っています。地方にいながら全国の薬剤師と繋がり、薬育活動の支援を行っています。
興味があるかたは、薬育ラボのHPを覗いてみてください。
その他、地域の活動では、杵築市商工会青年部に所属し、地元のお祭りやイベントの企画・運営をしています。
薬学的知識を活かし、地域貢献を考えた際にきつき生まれのクラフトコーラ「もののふコーラ」を発案。
青年部員と協力して販売し、地域にブランド認定されました。

もののふコーラについて

今回松山大学オープンキャンパスで小路さんが開発された    「もののふコーラ」を提供していただきました。
この「もののふコーラ」はどういった背景で開発されたのでしょうか。

薬育活動として、子ども達に漢方薬の煎じ薬を作る方法でクラフトコーラを作る教室を行っていました。そのアイディアを、地元のハーブや柑橘類を使うことで、街おこしができないかな?と思ったのがきっかけです。
薬学部で学ぶ生薬や薬用植物の知識、衛生学で学ぶ食品衛生の知識を使い、多業種が協力しあって完成することができました。
今では杵築市の飲食店に入れば、もののふコーラが注文でき、お土産にも購入でき、杵築ブランドへの認定もされました。
薬学の知識があれば、いろんなチャレンジを安全にできるなと思いました。

もののふコーラのこだわり

コーラの香りの核となるのは、スパイスの王様シナモン(生薬では桂皮)、スパイスの女王カルダモン(生薬では小豆蔲)、釘のスパイスと言われているクローブ(生薬では丁子)です。漢方薬としては、胃を労わる目的で使われる生薬です。
そこに、100年前のコーラのレシピにも入っていたコーラの実とナツメグを加え、香りの調整にオールスパイスを加えました。
通常であれば、風味をまろやかにするためにローリエのハーブを使うのですが、薬膳の知識も活かして杵築市に自生する「どくだみ」「よもぎ」「かきどおし」「杜仲の葉」を加えました。馴染みのある和ハーブは、お茶としても親しまれるものを選びました。
また、柑橘類は香りもよく気分をあげてくれ、甘味・酸味の役割があります。地元の素材を使って仕上げました。

薬局以外で活動する理由

薬剤師は病院や薬局で働くイメージが強いと思います。
なぜ小路さんは薬局薬剤師だけでなく、薬育ラボなどの活動をなぜしているのでしょうか。

薬剤師は、薬学的に患者さんの問題を解決できるスペシャリストだと思います。治療で問題が起きた時に、まず念頭にあるのは薬学的にどうか?ということを考えます。この問題を薬学的に解決できる力を、薬局や病院だけでなく地域で活かせたら良いなと考えています。
その例として、地域ケア会議があります。地域ケア会議は、自分の薬局にきたことがない患者さんについても、地域の薬剤師という視点で、様々な問題を抱えている患者さんに対し、薬学的な解決策を考えながら対応しています。
それと同じように、地域の一員として薬剤師である自分自身を見た時に、
地域の様々な問題を薬学的に解決したいなと思いました。
市販薬の乱用、医薬品の不適切な使用による健康被害という問題。
本来、医薬品は人をより健康にするためのもののはずです。安全に、正しく使用して欲しいと思い、早期からのお薬教育「薬育」の活動を行おうと考えました。
そして、何かしたいけど何をしようか悩んでいる仲間が全国にいるので、みんなでアイディアを共有したり、広めたりする団体をNPO法人で作って薬育ラボとして活動しています。

この活動をしていると、地域住民の方が、気軽に健康相談や困りごとを私に話してくれるようになりました。そういったアプローチでも、地域の医療に貢献できているかなと思っています。

薬学部に進学した理由と薬局を選んだ理由

薬局薬剤師はお薬の説明だけでなく、地域住民との交流することで地域の医療に貢献できるのですね。なぜ小路さんは薬局を選び、薬学部に進学されたのでしょうか。

私の実家は、商店を営んでいます。父は、薬以外の日用品を置いている商店として「バラエティーショップ」に分類していると話してくれました。それならば、自分は薬も日用品も置いている「ドラッグストア」にしたいなと思い、薬や薬品を取り扱える資格である薬剤師を目指そうと小学3年生の時に思いました。そこから一途に薬学部をめざしていました。
中学生の頃、薬剤師について調べていると、患者宅や病床で薬剤師が薬物治療を行っていることを知り、ますます薬剤師になりたいという思いが強くなったことを今でも覚えています。

この記事を読んでいる方は薬学部に興味がある高校生の方です。
最後にお伝えしたいことやひとことお願いします!

薬学部に入学すれば、道は無限大に広がっています。何にでもなれます。
薬剤師の資格があるからといって、必ずしも縛られることはありません。
しかし、薬剤師の資格が得られるほどの知識や薬学部で学んだ知識を活かせば、世の中の色んな問題を解決することができると思います。
大学でいっぱい遊んで、いっぱい学んで、いっぱいチャレンジして下さい。

小路さんの活動紹介


薬育ラボ

https://yakuiku-labo.jp

つきの薬局

もののふコーラインスタ


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