【MLBドラフトレビュー】3年後...2021ドラフトレビューLAA編

目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(10) サム・バックマン(Sam Bachman):RHP:右投右打:6-1/235:Miami University:$3.85M($4.95M)

90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。元々90マイル前半程度だった球速が、半年で最速100マイルをたたき出すようになり評価もうなぎ上り。右打者の手元に食い込みながら浮かび上がる速球は脅威と言っていいだろう。小さく縦に曲がるスライダーとチェンジアップのクオリティも高く、奪三振能力は高い。コントロールに不安を抱えていたが、難なくストライクを取れるようになってきており、欠点がなくなりつつある。

成績

 ドラフトイヤーにいきなりA+でデビュー。5試合に登板し翌年の本格的なデビューに備えました。
 2022年はAAでスタートしましたが、度重なる故障でシーズンの大半をILで過ごし12試合のみの登板に終わります。登板しても四球を連発しまともにイニングを稼げない始末でした。
 2023年もAAからスタート。相変わらずの四球の多さでしたが、5月にはメジャー昇格を果たします。リリーフとして登板し、内容はともかく失点を少なく切り抜けていましたが7月に肩を痛めてシーズンエンドとなりました。
 今年は前年痛めた肩の手術からのリハビリに費やします。Rk-AAAにかけて16試合に先発。メジャーでの登板はありませんでしたが10月にアクティブロースターに戻されており、来年はおそらく開幕からメジャーで投げることになるでしょう。
 アマチュア時代に克服したとお漏れていましたがプロ入り後は再度コントロール難に苦しんでおり、毎年20%近いBB%をマークしています。この点を改善しないかぎりは、ローテーション入りは難しそうです。
 ベストピッチの速球も球速が乱高下しています。2022年に90マイル前半しか出なくなったかと思えば、2023年は最速100マイルの速球を取り戻し、今年は故障もあって再び90マイル前半に戻っています。現在シンカー系の速球をゾーン内に投げ込んでひたすらゴロアウトを待つスタイルになっているため、バックマンにとって球速は生命線。せめて常時90マイル中盤程度出さないとメジャーで通用しそうにはありません。
 耐久性の低さも気になるところで、スターターとしてメジャーに定着するにはクリアしないといけない課題が多そうです。


2(45) カイ・ブッシュ(Ky Bush):LHP:左投左打:6-6/240:St. Mary's College:$1.75M($1.65M)

90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマーク。ノビがあり空振りを奪えるボール。これに縦に割れるスライダーを組み合わせ大量の三振を奪う。スライダーに続くサードピッチに欠けており、将来はリリーバーとして活躍することになりそう。

成績

 ドラフトイヤーはバックマン同様にA+で5試合に登板しました。
 2022年はAAでスタート。開幕からローテーションを守り続け、21試合に先発し103.1イニングを消化。内容も三振こそアマチュア時代ほど奪えませんでしたが、四球で余計なランナーを出すことなく安定したピッチングを続けることができました。
 2023年は故障のため6月にようやく初登板となります。故障の影響を引きずってか復帰後はコントロールが安定せず、四球を多く出してしまいました、シーズン途中にはルーカス・ジオリトらとのトレードでCHWへと移籍します。
 今年は三度AAからスタート。好投を続け7月にAAAに昇格するとその1ヶ月後にはメジャーに昇格となりました。メジャーでは好投もありましたが、四球の多さが悪目立ちする内容となり、8月末にオプション。9月にIL入りしシーズンエンドとなりました。
 アマチュア時代の長い登板間隔ではなくなった影響もあってか速球の球速帯が落ちてしまったことと、相変わらずスライダーに続く球種がないことも相まってプロではアマチュア時代ほど三振が奪えなくなっています。
 ただ、ストライクゾーンを広く使いどのコースでもストライクを稼げるため、相手に的を絞らせない投球をすることができているようです。
 故障があったのは2023年以外は20試合以上の先発と100イニング以上をクリアしているタフネスさも魅力。来年もメジャーチームは大きな補強はないと思われますので、先発する機会を多く与えられるのではないでしょうか。


総括
 1巡目のサム・バックマンは故障の多さとコントロールに悩まされスターターは落第寸前。アマチュア時代にコントロールの悪さを克服したとばかり考えていたため、今の体たらくは予想できませんでした。
 出力の高さが故障の原因と思われますが、現状速球以外にプラスのツールがないため、故障をケアして出力を下げると打ち込まれてしまうというジレンマに陥っています。
 登板機会を得るためには、90マイル中盤のシンカーをひたすらゾーンに投げ込むグラウンドボーラーのリリーフになるしかないように思えますが果たして。
 上位10名中2名がメジャーデビューを果たしていますが、本人の実力よりもチーム事情によるところが大きいため素直に褒められません。
 この2名以外も全て投手指名でしたが、いずれも成果を挙げられておらず11位指名のチェイス・シルセスが一番の出世株となっています。


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