【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューSTL編
目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(21).ジョーダン・ウォーカー(Joradn Wlker):3B:右投右打:6-5/212:Decatur HS:$2.9M:$3.13M
パワーポテンシャルの高さは今ドラフト随一。メジャーリガー顔負けのサイズを活かし、ハードヒットを量産する。ブレーキングボールに対するもろさを指摘されており、ヒッティングスキルに難ありか。アームは強いが、スピードは平均以下。3B守備はそつなくこなすが、体重増加が危ぶまれており、将来も留まり続けることができるかは微妙なところ。
アマチュア時代はヒッティングスキルが危ぶまれていましたが、プロでは全く苦にしていません。21年のプロデビュー以降打率は常に高水準を維持しており、23年以外は打率は.300以上をマーク。
一方で、3年連続で2桁HRをマークしていますが、キャリアハイのHR数が20HRとパワーがベストツールと評されていた割には物足りない数字になっています。アマチュア時代のスイングと比べると足を挙げる動作とテークバックが格段に小さくなっており、コンタクトしやすくなったのと引き換えに爆発的なパワーが失われてしまったようにも見えます。
メジャーに昇格してもK%を平均レベルに抑えており、一定の効果も表れていのも事実。まだプロでは3シーズンしか過ごしていないため、今後現在のスイングでも自慢のパワーを発揮できるように調整できるようになる可能性もあるでしょう。
打撃ではポジティブな要素が多いのですが、守備は壊滅的。本職ではないOFでの起用に苦しみ守備で大きなマイナスをたたき出してしまっています。
2(54).メイソン・ウィン(Masyn Winn):RHP/SS:右投右打:5-11/180:Kingwood HS:$2.1M:$1.34M
90マイル中盤の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。スピードは申し分ないが、明らかに外れたボールが多くコントロールに苦しむ場面も。アウトピッチのパワーカーブはキレがよく、空振りを奪えるボール。フルエフォートなデリバリーが懸念材料。野手としては、小柄ながらも鋭いスイングでハードヒットを飛ばすパワーポテンシャルが魅力。SSに残れるスペックも有している。
アマチュア時代は二刀流でしたが、プロでは野手に一本化。プロデビューイヤーの21年こそ平凡な数字に終わりましたが、22年にブレーク。12HRに加え36二塁打、8三塁打とコンスタントに長打をマークするパワーを発揮しました。
続く23年もAAAでコンスタントに長打をマークし、8月にメジャーデビューを果たしました。しかし、メジャーでは打撃で成果を挙げることができず、しりすぼみなシーズンとなってしまいました。
空振り自体は少なくメジャーの投手相手に全く対応できていないわけではありませんでしたが、ハードヒットを飛ばすことができず自慢のパワーを発揮できていないようでした。
身体能力の高さが最大のウリで、送球のスピードも注目されましたが守備ではまさかのマイナスとなりました。サンプル数が少ないためまだ判断するには早いのですが、守備の評価が高いプロスペクトがメジャーではマイナスの数字になるのはよくあることなので、過度な期待は禁物でしょう。
CBB(63).ティンク・ヘンス(Tink Hence):RHP:右投右打:6-1/175:Waston Chapel HS:$1.15M:$1.05M
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップの速球。速球は最速で96マイルをマーク。ベストピッチは速球でシンカー系を好んで投げるが、4シーム系のノビのある速球も投げることができる。ブレーキングボールは大きく曲がるカーブの評価が高い。コントロールも球速も日によってバラつきがあり、安定感はない。
プロデビューイヤーはRkで8試合のリリーフ登板に留まりましたが、フルシーズンをAで過ごした22年に本格開花。失点が少なく終わったことはもちろんのこと、K%が40%を超える驚異的な奪三振能力を見せ注目を集めました。
23年もA+で好投してAAへと昇格しましたが、AAでは打ち込まれる試合が増えてしまいました。
アマチュア時代から球速が3~4マイルほど速くなっており、現在は最速で99マイルをマーク。平均でも95~6マイル出ているようです。シンカー系から完全に4シーム系へとシフトしており、Cが高めにミットを構えることが多くなっています。
ベストピッチのカーブもさらに磨きがかかっており、4シームと上下の対となって空振りを奪う強力な武器となっています。
課題としてはコマンドとチェンジアップの精度の低さが挙げられています。スタッフ先行型の高校生上がりの投手の典型例ですが、そのスタッフがずば抜けているため仮に課題が克服されなくともセットアッパー/クローザーレベルのリリーバーには収まりそうです。
まだ体の線が細く筋肉をつける余地があり、今後体づくりに成功すればコマンドも安定するようになるかもしれません。来年はメジャー昇格よりも、スタミナをつけてキャリア初の100イニング超えが目標となりそうです。
2C(70).アレク・バールソン(Alec Burleson):1B:左投左打:6-2/212:East Carolina
ごつい体格とは裏腹にHRよりも二塁打を量産するミドルヒッター。ノーステップのスイングで確実にコンタクトし、ラインドライブの打球を広角に飛ばす。ノーパワーというほどではないが、1Bにしては少し物足りないか。非常に早打ちで三振も四球も少ない。動きは鈍くレンジは1B周辺のみだが、スクーピング等捕球は上手い。投手としてもプレーしているためアームは強い。
プロ入り後はようやくローパワーを発揮し、プロデビューイヤーの21年から2年連続で20HR以上をマーク。22年はAAAで好調を維持し、9月にはメジャーデビューを果たします。
続く23年はフルシーズンをメジャーで過ごし、107試合に出場しました。ただ、メジャーではマイナーでのような好成績を残すことができず苦戦しています。メジャーでも持ち前のコンタクトスキルは発揮されており、K%は300打席以上立った選手の中ではトップ15に入る数字を記録しました。
打球角度の数字も悪くなく、マイナスの要素は少ないのですが如何せん打撃成績が伸び悩んでいます。その一因としてハードヒットの少なさにあるでしょう。コンタクト重視で打席に臨むとメジャーレベルのボールに差し込まれてしまうのかもしれません。
守備での貢献度はマイナスであるため、出場機会を確保することにさえ苦労することになるでしょう。
総括
1巡目のジョーダン・ウォーカーに加え既にメジャーデビューした選手が3人とドラフトしたプロスペクトの戦力化に成功しています。特に高校生上がりの2人が既にメジャーに到達している点はSTLの育成システムの強さを表しているでしょう。
一方で、メジャーに到達したもののメジャーでの貢献度は低くなっています。ほとんど出場機会がなかったメイソン・ウィンはともかく、守備で足を引っ張っているウォーカーとアレク・バールソンが打撃で大きなプラスを生み出せなかったことが原因でしょう。
いずれも三振を少なく抑えることに成功していますが、パワーツールが十分に発揮されておらず、長打数は2人ローパワーを考えると物足りない数字になっています。
この2人を戦力化しようとするとやはり長打数の増加は避けては通れません。コンタクト重視のアプローチの見直しもあり得るでしょう。