【MLBドラフト】2022ドラフトレビューTB編
上位10人の簡易レポと総括になります。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
1(29) ザビアー・アイザック(Xavier Isaac):1B:左投左打:6-4/240:East Forsyth HS:$2.55M($2.55M)
風体はすでにメジャーリーガー並みの高校生。規格外のパワーを有しているが、確実にハードヒットを飛ばすことを心がけており、無理に長打を狙わないクレバーな一面も。スピードは皆無で、守備の動きも鈍い。昨夏は足を故障し、ハイレベルな投手との対戦がなかったことが悔やまれる。
Xavier Isaac (‘22 NC) sits back on a breaker & hammers it back to the middle for a knock in his first at-bat. Immensely physical, did a good job of fighting stuff off in this at-bat. #Gators commit. #PGShowdown #PGDraft pic.twitter.com/22C23rOham
— Perfect Game Scout (@PG_Scouting) March 3, 2022
2(65) ブロック・ジョーンズ(Brock Jones):OF:左投左打:6/197:Stanford:$1.08M($1.08M)
アメフトを諦め野球に専念したことで才能が開花。アメフトとの二刀流選手にありがちな粗雑なプレースタイルではなく、打撃守備ともに洗練されている。打撃では要所では引っ張って長打を狙うが、それ以外の場面ではフィールド全体を使ったヒッティングツールを披露。アプローチも優秀。守備でスピードを活かしたレンジの広さが武器だが、アームの弱さがネック。
CBB(70) チャンドラー・シンプソン(Chandler Simpson):SS:右投左打:6-2/170:Georgia Tech:$750K($953.3K)
桁外れのコンタクトスキルとスピードを武器に高い出塁率を残すことができる。パワー皆無だが、ギャップを抜くスキルとバントヒットの上手さは天下一品。守備ではボディバランスに欠ける点などが指摘されており、広いレンジをカバーできるCFへの転向が理想的か。
CBB(71) ライアン・セルマク(Ryan Cermak):SS:右投右打:6-1/205:Illinois State:$750K($929.5K)
派手なプレースタイルを好む、スピード&パワータイプのアスリート。シンプルなスイングで強烈な打球を飛ばし、長打を量産する。ピッチセレクションに難があるところとプルハッピーな点が懸念材料。スピードは優秀で、守備/走塁ともに反応の良さも相まって好プレーを連発する。アームもマウンドで95マイル以上をマークすることもあるほど強く、長くCFを守ることができるだろう。3Bの経験もあり、チーム事情によってはIFを守らせてもいいかもしれない。
🤩 𝐆𝐎𝐋𝐃𝐄𝐍 🤩
— Illinois State Baseball (@RedbirdBaseball) June 22, 2022
Ryan Cermak has earned an ABCA/Rawlings 𝙂𝙤𝙡𝙙 𝙂𝙡𝙤𝙫𝙚! 👏 pic.twitter.com/vArUuriFYK
3(104) トレバー・マーティン(Trevor Martin):RHP:右投右打:6-5/238:Oklahoma State:$586.2K($588.7K)
90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。糸を引くようにノビていく4シームを投じる。投球のほとんどがこの速球で、変化球は見せ球として使う程度。コントロールが安定せず、スターターとして使うには厳しいか。
4(134) ドミニク・キーガン(Dominic Keegan):C:右投右打:6/210:Vanderbilt:$397.5K($439.6K)
フィールド全体を使った打撃を披露するアベレージヒッター。ストライクゾーンを広げることもあるが、左右に打球を散らしヒットを稼ぐ。今年から本格的にCのレギュラーとしてプレー。改善はされているが、全体的には平均未満。
5(164) ジャレン・バトルズ(Jalen Battles):SS:右投右打:6-2/210:Arkansas$247.5K($328.4K)
守備で華麗なプレーを度々披露する名手。プロ入り後もSSに留まるのは内定済みで将来GG賞、果てはフィールディングバイブル賞を取れるかが目下の争点となるレベル。一方で、打撃は2桁HRを打つパンチ力はあるもののコンタクトスキルに難あり。カタログスペックはほぼアンドレルトン・シモンズ。
You are ridiculous @Jalenbattles2 pic.twitter.com/Z7EN7V2PQs
— Arkansas Baseball (@RazorbackBSB) June 21, 2022
6(194) ゲイリー・ギルヒル(Gary Gill Hill):RHP:右投右打:6-2/160:John F. Kennedy Catholic HS:$597.5K($255.5K)
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマーク。かなりの細身だが、これでも体重を増やしている方で、今後体づくりに励めばさらに速くなる可能性は高い。変化球のポテンシャルも高く数年後が楽しみな選手。
Gary Gill Hill (‘22 NY) did not have his best CMD but still showed substantial upside. Mostly 88-91 thru 1.2 touching 92-93 in the 1st. Plus arm spd, + proj frame; flashed hard SL @ 81 for a K & CH @ 83. @PGMidAtlantic #PGDraft #PGHS pic.twitter.com/FVZsoe1ZJo
— Perfect Game Florida (@Florida_PG) March 16, 2022
7(224) ブレイク・ロバートソン(Blake Robertson):1B:右投左打:6-5/200:Oklahoma:$198.9K($201.4K)
広角に打ち分けるヒッティングツールと辛抱強いアプローチで高出塁率をマークする。大学最終年は試合数と同じ四球数を選ぶといった離れ業も見せた。一方で、打球が全く上がらずHRは1Bとしては少なすぎる。守備ではガッツあふれるプレーを見せる。可能であるならOFに移った方が全体的な貢献度もプラスになるだろう。
Blake Robertson (‘22 Elig.) with his second knock of the day to extend the lead to 3-0 @OU_Baseball. Short & direct stroke with clear barrel feel. #Sooners pic.twitter.com/ECBLOJuna6
— PG College Baseball (@PGCollegeBall) March 4, 2022
8(254) ショーン・ハーニー(Sean Herney):RHP:右投左打:6/190:Kentucky:$47.5K($169.7K)
総括
1巡目指名のザビアー・アイザックはかなりのサプライズ指名。2~3巡目レベルの選手と目されていただけにオーバーピックな印象は否めません。打撃だけでいえばかなりのポテンシャルであることは間違いなく、ポジションがDH限定になるリスクに目をつむればそこまで悪い指名ではないかもしれません。
その後の野手は名の知れた大学生を複数指名。特にブロック・ジョーンズとスロットと同額で契約できたのは大きな収穫。以降の野手も一芸に秀でた選手を多く指名しており、選手を固定せず流動的なロースターで戦うTBらしい面子となっています。
投手では6巡目のゲイリー・ギルヒルのポテンシャルの高さが抜きん出ており、野手を含めてもアップサイドの大きさは今年TBが指名した選手の中でもトップになるでしょう。指名順位、ポジション、高卒といった点で共通点の多いタジュ・ブラッドリーは今や名実共にトッププロスペクトに成り上がっているだけに、ギルヒルにも期待がかかります。