【MLBドラフト】3年後...2021ドラフトレビューMIA編

目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(16) カリル・ワトソン(Kahlil Watson):SS:右投左打:5-9/178:Wake Forest HS:$4.5M($3.75M)

小柄ながらもパンチ力のある打撃が魅力。慎重にスイングを仕掛けるボールを選び、一撃で仕留めるスタイル。スイングが大きく、空振りが多いが、その分サイズからは予想できない打球を飛ばすことができる。スピード、アーム共に平均以上にあり、守備も下手ではなくミスも少ないため最低でもIFに留まれるだろう。

成績

 ドラフトイヤーにRkでデビュー。9試合に出場してこのシーズンを終えます。
 2022年はAからスタート。途中故障による離脱もあり、88試合の出場に留まります。10HRをマークしサイズに見合わないパワーツールを有していることを証明しますが、K%は35%を超えお粗末なコンタクトスキルも露呈しました。
 2023年はA+からスタート前年と変わらず、大量の三振を喫しながらもそこそこの長打数を稼いでいるとシーズン途中にジョシュ・ベルとのトレードでCLEへと移籍。移籍先では多少持ち直したものの内容は大きくは変わりませんでした。前年と比べるとBB%、K%が改善傾向にあり翌年へのブレークも少し期待できる形で終わりました。
 今年はAAからスタート。キャリアハイとなる16HRをマークしましたが、相変わらず確実性とは無縁で前年改善されたK%は再び30%を突破。ポジションもSSから2Bへと移しつつあり、キャリアを重ねるごとにバリューが下がり続けています。
 今でも身体能力の高さやバットスピードなど純粋なスペックは群を抜いているのですが、いかんせんそれを試合で発揮することができていません。甘く入った変化球をスタンドに運ぶ姿を見ていると30HRも夢ではないように見えますが、ゾーン外のボールを追いかけすぎて空振りとウィークヒットが増え打撃で殻を破れずにいます。
 守備でもアームもスピードもSSに残れるスペックですが、スキルが足らずイージーミスを繰り返すためIFに残ることさえ厳しいと見られています。今年はCFにも入っており、近いうちにOFがメインポジションとなりそうです。


CBA(31) ジョー・マック(Joe Mack):C:右投左打:6-1/210:Williamsville East HS:$2.5M($2.31M)

ヒッティングスキルの高さとキャノンアームが光る守備が魅力。スムーズなスイングでラインドライブの打球を量産。2ストライク後からも簡単にはアウトにはならないクレバーさも兼ね備える。パワーは平均レベル。守備ではリリースの早さもあり、盗塁阻止で存在感を放つ。

成績

 ドラフトイヤーにRkでデビュー。19試合と比較的多い出場機会を得ましたが、不本意なデビューイヤーとなりました。
 2022年はAからスタートしましたが、故障もあって44試合の出場に留まりました。打撃成績では四球の多さが目立ち、低打率ながらも高出塁率をマーク。アマチュア時代に評価されていたアプローチをプロでも披露しました。
 2023年はA+からスタート。ようやくフルシーズンを経験し120試合に出場しましたが、打撃で再びスランプに陥り、OPSは6割を切る始末。故障なく過ごしたことだけが唯一褒められるシーズンとなりました。
 前年の大スランプもありこのままフェードアウトしていくかとも思われましたが、今年はA+で開幕から打ち続け2週間でAAに昇格。ヒットのペースは落ちましたが、HRを打つペースは上がり最終的には24HRをマーク。ベースボールアメリカが選出するMIA傘下の最優秀マイナー選手にも選ばれ過去最高のシーズンを送りました。
 アマチュア時代はパワーよりもヒッティングに高い評価を得ていましたが、現在は評価が逆転しています。前年までは消極的になりすぎて差し込まれることが多かったですが、今年はゾーン内に来たボールは積極的に手を出すようになっており眠っていたパワーポテンシャルを発揮できるようになりました。
 守備でも日進月歩の成長を遂げており今年はマイナー全体のゴールドグラブ賞を受賞。来年中にメジャーに昇格する可能性は高いでしょう。


総括

 1巡目のカリル・ワトソンはブレークを果たす前にトレードチップとして放出。放出先でも好成績を残すことができずくすぶり続けています。パワーツールは通用していますが、力負けしないことに意識が行き過ぎて空振りが多くなってしまっています。ポジションもSSに留まることができておらず、メジャー昇格さえ危ぶまれるでしょう。
 当時全体20位前後で消えると目されていたジョー・マックは今年ブレークを果たし、当時の評価が間違っていなかったことを証明。来たボールを思い切り引っ張る以外の引き出しがない淡泊な打撃は懸念事項ですが、守備の貢献度も含めるとメジャーでも十分レギュラークラスとして使えるレベルにあるでしょう。
 この年のMIAのドラフトはマック以外は思うような成績が残せていません。ワトソン同様メジャー昇格さえ厳しそうな数字を残している選手が多く、下位からの戦力供給には期待できないでしょう。





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