【MLBドラフト】3年後...2021ドラフトレビューSTL編

目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(18) マイケル・マクグリビー(Michael McGreevy):RHP:右投右打:6-4/215:UC Santa Barbara:$2.75M($3.48M)

90マイル前半の速球とカーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。昨秋から上昇傾向の速球は最速で96マイルをマークし、課題を克服。キレよく曲がるスライダーと大きく曲がり落ちるカーブで空振りを狙う。チェンジアップは発展途上。非常に優秀なコマンドの持ち主でOBのシェーン・ビーバーとも比較されている。

成績

 ドラフトイヤーにRkでデビュー。すぐにAに昇格し、慣らし運転として9試合に登板しました。
 2022年はA+からスタート。8試合に先発し好成績を収めると、すぐさまAAへと昇格。しかし、AAではなかなか空振りを奪うことができず打ち込まれることが多くなり、失点数も跳ね上がってしまいました。
 2023年はAAからスタート。前年の反省を活かしただゾーン内に集めるだけでなく、ピンポイントにコマンドする繊細なピッチングを心掛けたことでAAの打者を攻略。わずか3試合でAAAへと昇格します。前年同様昇格のタイミングで失点が増えてしまいましたが、毎試合2~3失点程度に収めることができており、大量失点の多かった前年から成長した姿を見せます。キャリアハイとなる153イニングを投げてこのシーズンは終えました。
 今年はAAAからスタート。たまに炎上する試合はあるものの、前年と変わらず安定した内容のピッチングを見せていると7月末にスポット先発としてメジャーデビュー。初先発初勝利を飾りAAAへと戻りましたがシーズン最終盤に再度昇格。3試合に登板していずれも好投を披露し、来シーズン開幕メジャー入りへの猛アピールに成功しました。
 球速はアマチュア時代のままで95マイルをマークすることさえまれになっていますが、激しいムービングを見せるシンカー系の速球はゴロアウトを狙うには最適なボールとなっています。毎年50%近いGB%をマークしており、最低クラスの球速帯であるにもかかわらず被長打数は非常に少なくなっています。
 大学時代を合わせると4年連続で100イニング以上を消化しているタフネスさも魅力。三振にこだわらないピッチングスタイルのため、球数をそれほどかけずに打者を打ち取ることができるため長いイニングを投げさせるにはもってこいです。
 エースクラスにまで上り詰めることは難しいかもしれませんが、アマチュア時代から予想されていた通りソリッドなスターターへと成長してくれました。

5(151) ゴードン・グラセフォ(Gordon Graceffo):RHP:右投右打:6-4/210:Villanova:$500K($353.7K)

90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。シンカー系の速球を果敢にストライクゾーンに投げこむ。アウトピッチのスライダーは大きく鋭く曲がり左右関係なく空振りを奪うことができる。チェンジアップの評価も悪くない。コントロールもまとまっており、プロでもスターターとして活躍できるだろう。

成績

 ドラフトイヤーにAでデビュー。リリーフをメインで投げ、26イニングで37奪三振を奪う活躍を見せました。
 2022年はA+からスタート。8試合に登板してわずか5失点、防御率も0点台の好投を見せると早々にAAへと昇格。AAでは失点は増えたものの安定したピッチングを続け防御率は3点台に収める好成績を残すと、マイナー全体のプロスペクトランキングにも顔をのぞかせるようになりました。
 2023年はAAAからスタート。IL入りこそしなかったものの肩の故障もあって5月は1度も登板しないなど本調子ではなく、成績も軒並み前年より悪化。フルシーズンAAAで過ごしたにもかかわらずメジャーから声がかかることはありませんでした。
 今年は再度AAAからスタート。6月後半と7月頭にスポット的にメジャーへと昇格し登板機会も与えられましたが、定着することはできず登板してすぐにマイナーへオプションされてしまいます。故障に苦しんだ前年と異なり今年はフルシーズン健康に投げ切ることができましたが、成績は前年と大きく変わりませんでした。
 2022年に99マイルをマークするなど、アマチュア時代の低出力なイメージを払拭したかのように見えましたが2023年に肩を痛めてからはアマチュア時代の球速帯に戻っています。
 4シームをメインに投げていますがムービングに乏しくスピードがあっても空振りを取れない球種だったため、球速が落ちると拍車がかかってよりコンタクトされやすくなってしまっています。そのためか年々K%は減少傾向で今年はついに20%を割り込みました。
 そんな状態でもAAAまで到達できたのは、アマチュア時代と変わらな優秀なコントロールと縦方向に変化するスライダーのクオリティのおかげでしょう。
 1巡目のマクグリビーのようにシンカーを多投するグラウンドボーラーといった強みがあればいいのですが、現状スライダーの1ピッチでなんとか打者を交わしている状態。いっそリリーフに転向して1イニングを全力で投げて2年前のように100マイルに近い速球とスライダーの2ピッチで勝負するようにした方が戦力化しやすいかもしれません。


8(241) マイク・アンティコ(Mike Antico):OF:右投左打:5-10/200:Texas:$20K($171.2K)

17年のフレッシュマン時から昨年の短縮シーズンを除き毎年40試合以上に出場してきた大学野球の申し子。エネルギッシュなプレースタイルで、守備では常に全力で打球に向かい、出塁すれば次の塁をうかがう。打撃では粘り強いアプローチが魅力だが、その他は平凡。チームメイトから厚い信頼を寄せられるリーダーシップを持っている。

成績

 ドラフトイヤーにAでデビュー。ドラフトイヤーとしては多めの39試合に出場。OPS.829と好成績を残し1年目を終えます。
 2022年はA+からスタート。粘り強いアプローチとアグレッシブな走塁を見せ、高出塁率と大量の盗塁をマーク。シーズン途中に昇格したAAでは打撃成績が伸び悩みましたが、足はくさらせずひたすらに盗塁を繰りかえしシーズン合計で67盗塁をマークしました。
 2023年はAAからスタート。前年の苦戦から立ち直り打撃成績を盛り返すことに成功。特に長打数を伸ばしキャリアハイとなる18HRをマークしました。
 今年は再度AAからスタート。前年と遜色ない成績を残しているとシーズン途中にAAAへと昇格。クラスが変わっても成績を落とすことなく、すぐさま適応することに成功しました。
 アマチュア時代はひたすら四球を稼いで出塁することを主眼に置いていましたが、プロでは年々四球が減少傾向にあります。K%は増加していないためゾーンの外のボールに手を出すようになったというよりは、早めに勝負を決めに行くようになったのだろうと思われます。それでヒットの数が増えていればいいのですが、ローパワーが低い割にはフライを打ち上げることが多いのでそれほど打率が伸びないのは悩みの種でしょう。
 盗塁も年々減少傾向にあり、ベストツールを活かしきれていないように映ってしまいます。
 一方で、プロ入り後の3年半常に試合に出続けているタフネスさはアマチュア時代と何も変わっていません。第4のOFあるいは代走の切り札としてベンチに置いておく分には無駄にならないので、リザーバーとしてメジャーを渡り歩くことになるでしょう。


総括

 1巡目のマイケル・マクグリビーはドラフト当時の予想通りソリッドなスターターへと成長。毎年オールスターに選ばれたり、サイヤング賞で得票を得たりすることは考えづらいですが、故障せず試合を壊さずローテーションを回し続ける縁の下の力持ちになってくれそうです。
 投手主体の指名でしたがマクグリビー以外に戦力化できそうなのはゴードン・グラセフォくらいでしょう。グラセフォもスターターとして投げ続けていますが、ストロングポイントが見いだすことができずリリーフ転向も選択肢に入るでしょう。
 野手は8巡目のオールドプロスペクトであるマイク・アンティコまで潜らなければメジャーに到達できそうななタレントは見当たりません。マクグリビーで作ったアンダースロットの浮き分の大半を費やして2巡目で指名したジョシュア・バエズはプロ3年目でようやくAに対応してきたというかなりのスローペース。同じく2巡目指名だったライアン・ホルゲートは現在独立リーグでプレーと上位指名陣は全滅。
 マクグリビーが予想通り戦力化しそうなこと以外は明るいニュースが少ない、物寂しいドラフトとなっています。

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