3年後...2018MLBドラフトレビューMIA

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(13). コナー・スコット(Connor Scott):OF:左投左打:6-4/180: H.B. Plant HS:$4.038.2M($4.038.2M)
高校の先輩であるHOUのカイル・タッカーとは、打撃について頻繁に相談する間柄。そのこともあってか、スイングはタッカーとそっくり。パワーではタッカーに劣るが、それ以外は負けるとも劣らず。見劣りするパワーも、今後の成長次第では先輩を追い抜く可能性も。ヒッティングツールの高さもさることながら、最も評価が高いツールはスピード。そのスピードを活かしたCF守備も一級品。投手としてマウンドに上がるほど肩も強く、長くCFに留まることができるだろう。

成績

プロデビューからの2年間は苦しみましたが、A+でプレーした今年はいずれも初となる2桁HRとOPS.700以上を達成しました。課題であったパワーツールも克服しつつあります。元々ヒッティングスキルは高く、過去18~19年も少ないとまでは言えませんが、三振数は試合数と同かそれ以下の数字に抑えており、コンタクトスキルはまずまず通用していたようなのでパワーがつけばアマチュア時代の未来予想図通りになるでしょう。高めの速球への課題はまだ残しているため、高め4シーム全盛期の現代野球で通用するためにはここの克服が必要不可欠となります。スピードは衰えてはいませんが、成功率はイマイチで無理に塁上で無理をする必要はないのかもしれません。今オフにジェイコブ・スターリングとのトレードでPITへと移籍しましたが、安売りだったように思えます。


2(53). オシリス・ジョンソン(Osiris Johnson):SS:右投右打:6/181: Encinal HS:$1.35M($1.318.5M)
成長著しいアスリートタイプのタレント。打撃では鋭いスイングで、ラインドライブの打球を量産する。体格はそれほど大きくはないが、バットスピードが速く、秘めたるパワーポテンシャルは高い。一方で積極的すぎるアプローチと、空振りの多さは気になるところ。守備ではスピードを活かした広いレンジとグラブさばきはSSとして優秀だが、送球の不安定さが気になる。まだまだ発展途上だが、SSが不合格となるとOF転向も有りうる。

成績

19年に故障で全休したため2年ぶりのプレーとなった今年は、ブランクもあってか低調に終わりました。アプローチの粗さは変わっておらず、少しレベルが上がると全く通用しなくなってしまう点は致命的でしょう。また、アマチュア時代に懸念さえていた通り、SSにも留まることができておらずOF転向はもはや既定路線となっています。明るい面に目を向けると高校時代から筋肉をつけることに成功しており、期待されていたパワーツールは既に手に入れたと言えます。ただ、それを披露する機会があるのかは微妙なところ。多少アプローチが改善されればブレークも夢ではありませんが厳しいでしょう。


CBB(69). ウィル・バンフィールド(Will Banfield):C:右投右打:6/200: Brookwood HS:$1.8M($894.6K)
高校生離れしたディフェンススキルが最大の持ち味。高校生Cは打撃を買われポジションを変えることが多いが、バンフィールドに関しては例外。強靭な下半身に支えられたフットワークは軽快で、ブロッキングの反応も早く確実。フレーミングに対するこだわりも強く、大学生C顔負けのレベル。肩の強さ、リリースまでの早さ、送球の正確さはどれをとっても優秀で、盗塁を簡単に許すことはない。打撃ではパワーポテンシャルの高さは光るが、長打狙いが過ぎるため空振りが非常に多い。ボール球を追いかける場面も多く、こちらは高校生らしく荒っぽい。

成績

プロ入り後ずっと打撃で苦しんでいます。19年と今年は打率が2割に届かないといったありさまで、とてもレギュラーとして使えるレベルにはありません。唯一の取柄であるパワーツールもバットにボールがあたる機会が少なければ見せ場もなく、宝の持ち腐れとなっています。守備はいまでも問題はなようですが、このまますんなりとメジャーまでたどり着けるとは思えず昇格までさらに時間がかかりそうです。


3(89). トリスタン・ポンペイ(Tristan Pompey):OF:右投両打:6-4/200: Kentucky:$645K($642.6K)
TORのダルトン・ポンペイの弟。スピードはダルトンに劣るが、パワーポテンシャルで勝る。大量にHRを打てるわけではないが、コンスタントに長打を打つことができる。その分三振が若干多い点は、気になるところ。ケープコードリーグでスランプに陥り、木製バットへの対応力に疑問が持たれる。兄に負けるとはいえスピードがないわけではないが、上手く活かすことができていない。特に守備では打球反応の鈍さから、CFを守ることは難しいとも。肩は強いため、将来はRFに収まるだろう。

成績

プロデビュイヤーこそ好成績を残し、一気にA+まで昇格しましたがそのあとはしりすぼみ。故障もあったものの19年、21年と打率は.200以下に沈んでいます。自慢のパワーポテンシャルもあまりのGB%の高さが足を引っ張って2シーズン連続でHRなしといいところなしです。AAAまで昇格していますが、こんな状態でメジャーに昇格しても、プラスの貢献度になることはないでしょう。


4(117). ニック・フォーテス(Nick Fortes):C:右投右打:6/210:Ole Miss:$425K($474K)
打撃では卓越したアプローチが光る。大学最終年には三振の倍近くの四球を選び、高出塁率をマークした。コンタクトスキル、パワーポテンシャルも高く、打撃はCとしては非常に優秀。守備では肩の強さとリリースまでの早さが目立ち、盗塁阻止で存在感を放つ。キャッチング等もそつなくこなし、元々1Bだったとは思えないほどのセンスの高さを見せる。リーダーシップも高く、Cとしては理想的な人物。

成績

プロデビュー後はソリッドなアプローチを見せるものの、OPSが.700を切るシーズンが続きましたがメジャーデビューすると14試合で4HRと打撃が爆発しました。ただ、これはできすぎな成績なのは明白で今後もこの打撃が続くとは考えづらいでしょう。それでも、最低限の出塁率を稼ぐことはできるのではないでしょうか。守備でプラスをたたき出せる選手ではないのが痛いところです。


5(147). クリス・バリモント(Chris Vallimont):RHP:右投右打:6-5/220: Mercyhurst College:$300K($354K)
常時90マイル中盤の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。奪三振能力が非常に高く、イニングを大きく上回る三振を奪うことができる。一方で、一塁側に倒れこむようなデリバリーは不安定で、コントロールを大きく乱す原因ともなっている。多少四球が多い程度なら問題ないが、ストライクゾーンにボールが入らないといったことが頻繁に起きるので将来はリリーフに転向するのが無難な策だろう。

成績

プロデビュー後もスターターとして投げ続け、19年には23先発で120イニング以上を投げ防御率も3点台前半と好投を見せます。このシーズン途中に好投が認められてか、ルウィン・ディアズとのトレードでMINへと移籍しました。アマチュア時代からの課題だったコントロール難を克服しており、ブレークを果たしたかのように見えました。満を持して今年もスターターとして投げていましたが、コントロール難が再発し防御率も跳ね上がる結果となりました。シーズンの中でコントロールの浮き沈みがあるのではなく、シーズンごとに浮き沈みがある不思議な選手です。ただ、K/9は高水準で安定しているので、やはりリリーフに回した方が扱いやすい選手であることは間違いなさそうです。


6(177). キャメロン・バースタッド(Cameron Barstad):C:右投左打:6/160: Junipero Serra HS:$300K($268.9K)
線が細くまだ力強いスイングを見せることができていないが、優れたヒッティングセンスを持ち合わせており、打球を広角に打ち分けることができる。パワーツールはまだまだこれからといったところだが、長打を打つ意識は強く、それに体がついていければCとしては優秀な打棒の持ち主となるだろう。守備では改善の余地はあるものの、高校生としては十分なスキルを持ち合わせている。肩も強く、Cに留まれる可能性はある。

成績

ドラフトイヤーは手首の故障でプレーできなかったため、実働2年となりましたが、いずれの年も満足のいく成績ではありませんでした。19年は15試合の出場に留まったためその成績で判断するのが酷ですが、47試合に出場した今年も打率が.200を下回っており厳しい状況であることに変わりありません。ツボにハマった時のパワーや四球の多さなどポジティブな面もありますが、あまりにも多い三振数が全てを台無しにしてしまっています。また、稼働率も悪く、耐久性という面でも不安を残しています。


7(207). ケイソン・シェロッド(Cason Sherrod):RHP:右投右打:6-4/215: Texas A&M:$20K($210.2K)
最速98マイルの沈む速球が魅力のリリーフプロスペクト。球威があり弱い当たりのゴロを打たせやすい。アウトピッチはスライダー。キレがよく空振りを奪える球種。左打者に対してはチェンジアップも投げるが、クオリティはイマイチ。デリバリーは低いアングルのスリークォーターで、デセプションに優れている。一方で力感が非常に強く、コントロールを乱す原因となっている。一塁への牽制がモーション、送球共に素早い。

成績

19年はクローザーを任されることもあり、まずまずの成績を残していましたが、20年はロックダウン、今年は故障と2年間プレー機会はなし。それでもリリースを免れているのは、やはり球速の速さからでしょうか。


8(237). ペイトン・カルバートソン(Payton Culbertson):RHP:右投右打:6-1/220: Arkansas State:$130K($168.4K)
最速100マイルをマークすることもある沈む速球が最大の武器。この速球にスライダー、チェンジアップを組み合わせて打者を打ち取るピッチングスタイル。コントロールが悪く、それが原因で大学最終年はリリーフとして投げることもあった。痛めたことがある前腕が懸念材料。

成績

プロ入り後2年間スイングマンのような起用法で投げていましたが、精細を欠き20年にリリースとなりました。


9(267). ジェイク・ウォルターズ(Jake Walters):RHP:右投右打:6/190: Alabama:$10K($149K)
90マイル前半の速球と、カッター、チェンジアップ、カーブのコンビネーション。特筆すべきボールもなく、コントロールも特別いいというわけではないが、毎年故障なく安定した成績を残すイニングイーター。

成績

19年、今年とソリッドな成績を残すことに成功しています。特筆すべきは被本塁打の少なさで、プロ入り後150イニングを投げてわずか6被本塁打と一発を食らうことが非常に少ないです。


総括(201)
高校生を好んで上位指名をする方針は今年も健在。例年と異なる点といえば、Cの多さだろう。上位10人中3人Cを選び、上位10人以降もう1人Cを指名していた。合計4人指名していたが、そのうち3人が高校生というのも珍しい。何か策略があるのか単にマイナーのデプスが足りないだけなのか、今は判断がつかない。野手に関しては狙い打ちといったところで、1巡目のコナー・スコットを筆頭にアップサイドの大きめなタレントが顔をそろえる。Cでは唯一大学生となったニック・フォーテスは、シーリングに欠けるがフロアーは高めで、バックアップとしてはちょうどいい存在。投手は野手とは違い、数打ちゃ当たる戦法。荒れ球速球派を集めて、誰かブルペン要員として昇格できれば、それでいいというところだろう。


総括(2021)
1巡目のコナー・スコットはようやく開花の兆しが見え始めたところでトレードされてしまいました。今が天井と見ての放出かもしれませんが、投げ売りだったように見えます。その他の野手は軒並み低調。唯一フォーテスがメジャーで爆発を見せましたが、刹那的なものでしょう。高校生指名のリスクの高さを見るような結果となりました。
投手はバリモントがプチブレークをし、トレードチップとしての役割を果たしましたが、他は散々。下位のアンダースロット中心の指名だったため、これもやむなしでしょう。


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