【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューCIN編
目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(12).オースティン・ヘンドリック(Austin Hendrick):OF:左投左打:6/200:West Allegheny HS:$4M:$4.37M
今ドラフトクラスの高校生ではトップのパワーポテンシャルを有するスラッガー。力感のないスイングながらも、鋭い打球を簡単に飛ばすことができる。その分、空振りが多いのはご愛敬。スピードは平均以下だが、アームは強く、RFとしてなら平均レベルには守れるだろう。
21年のプロデビュー以来空振りの多さと低打率に苦しみ続けています。過去2年は連続で2桁HRをマークしており、スラッガーとしての片鱗を見せていますが、三振数の多さの前ではかすんでしまいます。
プロデビュー以降毎シーズン三振数は100個以上となっており、K%が35%を下回ったことがありません。もはやご愛敬では済ませられないレベルに達しています。
少しずつでも改善されている傾向であればポジティブに考えることもできるのですが、今年はキャリアワーストの数字を残しており、クラスが上がるごとに対応できずに成績が悪化しているように映ります。
毎年どころか3カ月に1回くらいのペースでスイングを微妙に変えており、試行錯誤している様子がうかがえます。よく言えば柔軟ですが、悪く言えば一貫性がなく自慢のパワーが発揮できていない原因のようにも思えます。
打撃以外にプラスのツールはなく、打撃でプラスの貢献度をたたき出せないとメジャーに昇格することさえ難しいでしょう。残された時間はもうそれほど多くはないため、早く納得できるスイングの形を見つけつ必要があります。
2(48).クリスチャン・ロー(Christian Roa):RHP:右投右打:6-4/220:Texas A&M:-:$1.54M
90マイル前半の速球とカーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマーク。2シーム系でムービングに富んでいるが、へばるとフラットな軌道になってしまうのが欠点。カーブ、チェンジアップに高い評価を得ている。コントロールがよく、大学ではキャリアを通じて四球が非常に少ない。
ドラフト当時はハイフロアーなスターターとしての将来像を描いていましたが、プロ入り後は年々コントロールの悪さが目立つようになっています。
BB/9もBB%も悪化の一途をたどるばかりで、失点も毎年増えています。今年はAA/AAAで28試合に登板し、120.1イニングを投げましたが防御率は5点台と奮いませんでした。
ポジティブな面に目を向けると今年は故障なくローテーションを守ることができており、シーズンを通して投げ続けられるスタミナがあることを証明しています。また、毎シーズンイニング以上の三振数を記録しており、今年はAA/AAAでも30%近いK%をマークしています。
コントロールの悪さはいただけませんが、球種のレパートリーは豊富でいずれの球種でも三振を奪う器用さを持ち合わせているのでスターターとして投げ続ける可能性はかすかながらも残っています。奪三振能力の高さを買ってリリーフとしての起用もあり得るでしょう。
3(84).ブライス・ボニン(Bryce Bonnin):RHP:右投右打:6-2/190:Texas Tech:-:$721.9K
90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマーク。4シーム系の速球はスピンがきいておりノビのあるボール。パワーカーブにも高評価を得ている。フルエフォートなデリバリーが仇となってか、コントロールは非常に悪い。大学でのスタッツも芳しくなく、ハイリスクなタレント。
プロ入り後は懸念されていたコントロールの悪さはそれほど目立っていませんが、あまりに故障が多くまともに投げることができていません。
22年の11試合47イニングがキャリアハイとなっており、プロ入り後のイング数は通算で100にも届いていません。今年に至っては登板すらしていません。
登板さえすれば相手を圧倒するピッチングを披露できるのですが、どれほど好成績を残せても投げられなければ宝の持ち腐れ。現在のコンディションは明らかにされておらず、来年には復帰できるのかさえ不透明です。
5(143).ジョー・ボイル(Joe Boyle):RHP:右投右打:6-7/240:Notre Dame:-:382.7K
90マイル後半の速球とスライダーのコンビネーション。速球は最速で102マイルをマーク。ノビのある4シームで球威は抜群。アウトピッチのスライダーもキレがよく空振りを奪える球種。速球のスピードは文句なしだが、コントロールが滅法悪く、リリーフでも使えるか微妙なところ。サードピッチもなく、先発転向は望めない。
ドラフト当時はコントロールの悪さからメジャー昇格さえ厳しいと予想していましたが、同年CINにドラフトされたどの選手よりも早くメジャーデビューすることとなりました。
プロデビューイヤーから予想に反してスターターとして起用されていましたが、コントロールの悪さが改善されるわけでもなく大量に四球を出していました。それでも、100マイルオーバーの速球と切れ味鋭い高速スライダーでランナーは出しても返さないピッチングを繰り返し、マイナーでのシーズン防御率が4点台に乗ったことはありませんでした。
今年の夏にサム・モルとのトレードでOAKへと移籍。OAKへの移籍後は若干ながらも四球の数も減り、シーズン最終盤にメジャーへと昇格しました。
メジャーでもスターターの役割は変わりませんでしたが、3試合のみの登板ながらも四球でランナーを貯めることがなくキャリア最長の7イニングを投げ切るピッチングを披露。
OAKに来てからはとにかくゾーン内にボールを集めて打ち取ることを優先しているようです。奪三振数は減りましたがそれ以上に四球が少なくなった効果は大きいでしょう。アバウトにゾーン内に投げ込んでもムービングも球速も優秀な4シームはそう簡単には打たれないだろうという自信を感じさせます。
相変わらず速球とスライダーの2ピッチで投球を組み立てており、欲を言えばやはりもう1つ信頼できる球種が欲しいところです。
総括
20年当時高校生No.1の打者だと思われていたオースティン・ヘンドリックでしたが、コンタクトツールに進歩がなく未だにAAにすら昇格できていません。A+でも通用しているとは言い難く、この調子では来年のルール5のプロテクトから漏れてもどこも指名することはないでしょう。持ち前のポテンシャルの高さを発揮する日は来るのでしょうか。
投手は全員コントロールに難有りでしたが、その中でも割と四球の少なかったブライス・ボニンが故障で開店休業状態なのは痛いところ。四球の多さに限界を感じてリリーフ1人と交換したジョー・ボイルが移籍先で好投しているのは歯がゆい結果となりましたが、移籍前の成績を考えるとトレードチップになっただけでもましな方かもしれません。