【MLBドラフトレビュー】3年後...2021ドラフトレビューBAL編

目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(5) コルトン・カウザー(Colton Cowser):OF:右投左打:6-3/195:Sam Houston:$4.9M($6.18M)

ヒットの数を積み重ねるピュアヒッター。柔軟なスイングでボールを拾い、ヒットゾーンへ飛ばすスキルを有している。辛抱強いアプローチも魅力だが、慎重になりすぎてしまうことも。その他全てのツールで平均かそれ以上のレベルにあるハイフロアーなタレント。

成績

 2021年はドラフトイヤーながらもRk/Aで32試合に出場。このクラスの投手ではまるで相手にならず圧倒的な数字を残して最高の形でシーズンを終えます。
 2022年はA+スタートとなりましたが、前年の勢いはなく開幕から2ヵ月が経過してもOPSは8割を切り、HRも2本のみと寂しい結果に。それでも6月に入ると調子を上げそのままAAへと昇格。AAでも開幕直後の不調が嘘だったかのように打ちまくり最終的にはAAAまで昇格しました。
 AAAスタートとなった2023年は開幕から絶好調でヒットの数を積み重ねると7月には念願のメジャーデビューを果たします。しかし、ここでメジャーの壁にぶつかってしまい、スタメンで起用され打席数を多くもらいながらも結果は残せず。約1ヵ月メジャーチームに帯同しましたが、8月の頭にはAAAに降格となりシーズンを終えました。
 今年は開幕メジャーの座を勝ち取ると序盤こそ途中出場が多かったですが、1週間ほどでスタメンに名前を並べるようになりレギュラーとしてほぼ毎試合出場することになりました。
 ドラフトから3年でメジャーチームでレギュラーの立ち位置を手中にしつつありますが、まだメジャーでは思うような数字を残せていません。
 今年はキャリアハイの24HRをマークしましたが、打率、出塁率ともにキャリアワーストの数字となりました。もともとヒッティングがベストツールでしたが、ハードヒットを打つことが最優先のチーム方針とのすり合わせの結果コンスタントにヒットを打つことができなくなっているようです。
 今はまだ調整の段階で今後現在の長打数を保ったまま打率も残せるようになればいいのですが、同じタイプのアドリー・ラッチマンはいまだにそのすり合わせが上手くいっているとは言えず、カウザーの将来にも不安が残ります。
 打撃での貢献度はそれほど高くありませんでしたが、守備での貢献度は非常に高くなりました。ドラフト当時の印象は守備もそつなくこなすという程度で、CFでは若干マイナスとドラフト当時の印象のままですが、LFに入ると数字を大きく伸ばしどの指標でもプラスの結果となりました。


2(41) コナー・ノルビー(Connor Norby):2B右投右打:5-10/187:East Carolina:$1.7M($1.81M)

ノーステップのスイングでヒットを量産するピュアヒッター。難しいボールを「拾う」かのようにヒットゾーンへと飛ばすスキルを有している。パワーツールに欠けていたが、緩いボールを強く叩くことができるようになり、平均レベルには長打が打てるようになっている。打撃以外のツールは平凡だが、IFに留まれないほどではない。

成績

 ドラフトイヤーにRkからデビュー。すぐさまAに昇格すると持前の選球眼を武器に26試合で22個の四球をもぎ取り高出塁率をマーク。ベストツールでもあるアプローチの良さをアピールします。
 A+スタートとなった2022年は開幕から調子が上がらず打撃成績は低空飛行を続けていましたが、6月にAAに昇格するとそれまでの不調が嘘だったかのように打ち始めます。64試合で17HRとこれまでにない長打力を見せ、最終盤にはAAAにも昇格しました。
 2023年はAAAでスタート。前年のAAでプレーしていた時ほど成績は伸びませんでしたが、それでも4月以外は毎月OPS8割以上をマーク。安定して打ち続けていましたが、メジャーチームが優勝争いをしていたことに加え、同じポジションでジョーダン・ウェストバーグがレギュラーの座つかみつつあったためメジャー昇格は果たせませんでした。
 今年は再度AAAからスタート。開幕から好調を保っていると故障者と入れ替えのタイミングでメジャー昇格を果たしましたが、わずか4試合の出場でマイナーに戻されます。1か月半後の7月後半にまたもや故障者との入れ替わりのタイミングで昇格しスタメン起用されていましたが、今度はトレードでMIAへと放出されました。
 MIAでは2週間ほどAAAで過ごした後、メジャーに昇格。MIAではオプションされることなく、3Bのスタメンとして出場し続けシーズンを終えました。
 低めのボールを拾い上げる上手さは今も変わっておらず、バレルフィーリングの高さも相変わらずです。
 一方で、上記のカウザーと同じく長打を意識しすぎるあまりか、大学時代ほど丁寧にボールを見極められなくなっておりゾーン外のボールを追いかけて空振りすることが増えました。長打は確かに増えましたがもともとカウザーほどパワーツールもないため、この路線を続けてもじり貧になりそうな匂いが立ち込めています。
 守備ではアームが弱いのに3Bを守らされており、大きなマイナスをたたき出す原因となりました。2Bでさえ危ぶまれていただけに、3B転向は無謀にも思えます。
 ポジションが限定的になりそうなので、打撃でより存在感を示さなければ安定して出場機会を得られないかもしれません。


58(227) クリード・ウィレムス(Creed Willems):C:右投左打:6/225:Aledo HS:$1M($187.7K)

がっしりとしたサイズ通りのパワーポテンシャルの高さが魅力。プルハッピーなアプローチでHRを量産するスラッガー候補。ヒッティングについてはより洗練される必要があるだろう。守備ではマウンドで最速95マイルをマークするアームの強さが光る。打撃同様他のスキルについては要改善。

成績

 ドラフトイヤーにRkでデビュー。10試合のみの出場で少しだけ経験を積んでこの年を終えました。
 2022年に本格的にAでフルシーズンデビュー。一回り年上の選手が多い環境の中で打撃成績は低迷。なかなかヒットを打つことができず、自慢のパワーも発揮できず。まるでいいところがなくシーズンを終えてしまいました。
 このままフェードアウトしてもおかしくないほどの惨状でしたが、2023年は一転Aで打棒が爆発。30試合で8HRをマークし、打率も3割に乗せます。BB/Kも20/29と完全にこのクラスに適応し、A+へと昇格しました。A+では再度壁にぶつかり全体の打撃成績は落とすことになりましたが、光明が見えるシーズンとなりました。
 A+スタートとなった今年は前年ほどではないものの、徐々にA+に適応。打率/出塁率は伸び悩んだものの長打数を伸ばしまずまずの成績を残します。終盤にAAに昇格すると、16試合で4HRをマークし非凡なパワーツールを見せいい形でシーズンを終えました。
 2022年の打撃成績の低迷からスローペースながらもプロのレベルに適応しつつあります。バットを振り回すだけのだったアマチュア時代から戦略を立てて打席に入れるようになりました。
 ただ、いまだに空振りが多くハイアベレージを残すのは難しそうです。もともとスイングを長く取るタイプで、その分小柄な体格でも長打をコンスタントに打つことができますがどうしてもタイミングが外されやすくなっています。
 守備ではあまり進歩がなく徐々に1B/DHとしての出場機会が増えています。現在の打力では1B/DHでメジャーに定着するのは難しそうなので、プラトーン要員として使われることになりそうです。


総括

 1巡目のコルトン・カウザーはレギュラーの座をつかみ、チームのプレーオフ進出にも貢献。優秀なヒッティングツールと優れたピッチセレクションで高出塁率をマークするのかと思いきや、パワーと守備で数字を大きく伸ばしました。ただ、元来ヒッティングツールが最も目立つだけで他のツールも優秀だったため、あらためてヒッティングが通用しなくともプラスの働きができることを証明しただけなのでしょう。
 2巡目のコナー・ノルビーもメジャーデビューを果たしましたが、IF若いタレントで渋滞気味ということもあって重宝されずバリューがあるうちに放出となりました。カウザーと同じく毎年20HRをマークしパワー面で目立つ数字を残していますが、前述の通り元来カウザーほどパワーツールがあるタイプではないのでとにかくハードヒットを飛ばすだけのアプローチは見直した方がいいのかもしれません。
 中位から下位にかけてはクレード・ウィレムスがゆっくりとステップアップしている以外はほぼ全滅。かろうじて10巡目のビリー・クックがトレードで放出後にメジャーデビューを果たしていますが、大金をはたいたジョン・ローズが目も当てられない惨状に陥りトレードチップにすらならないのは痛手でした。
 毎年投手を上位指名しないためコンテンドを続けるためには投手を獲得に使うトレードチップにする野手プロスペクトの存在が必要不可欠。そういう意味ではこの年は2人をトレードチップにできたので、一定の成果を上げることはできたでしょう。


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