【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューSEA編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績

1(20).ジョージ・カービー(George Kirby):RHP:右投右打:6-3/205:Elon University:$3.24M($3.24M)
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマーク。コンスタントに90マイル中盤をマークするようになっており球威は十分。パワーカーブもプラス評価を得ており、アウトピッチとして優秀。チェンジアップは発展途上。ストライクスロワーで四球は少ない。大学最終年で圧倒的なスタッツを残し評価を上げた。

成績

 プロデビューイヤーは23イニングを投げて無四球と早速圧巻の成績を残すと、21年はA+-AAで15試合に先発し防御率2.53&K/BB=5以上をマークしました。今年は春先の試運転もそこそこにメジャーデビューを果たすとその後は欠けることなくローテーションを回し続け、ポストシーズンでも先発を任されるほどの信頼を得るに至りました。
 大学時代よりも3マイルほど球速が上がっており、かつて最速であった96マイルは今では平均球速となっています。球速が上がってもコントロールを乱すことはなく、プロ入り後のシーズンBB/9のワーストは2と驚異的な四球の少なさを見せています。BB/9が低い=ゾーン内のボールが多いということになるので、えてしてHR/9の数字が高くなりがちなのですがカービーについてはそんなことはなく平均以下の数字に収まっています。
 その理由としてはやはりコントロール/コマンドの優秀さが挙げられるでしょう。投球チャートを見てみるとノビのある4シームは胸元に、スライダー、カッター系の逃げていくボールは右打者の外角へ、チェンジアップは左打者の外角へとキレイに分布が分かれており投げミスの少なさが際立っています。ボールゾーンに投げた球でなかなか空振りを奪えないという課題はありますが、逆に言えばこれほどコンタクトされてもイニング以上の三振を奪える能力があるということなので、未来は明るいでしょう。


2(59).ブランドン・ウィリアムソン(Brandon Williamson):LHP:左投左打:6-5/210:TCU:$925K($1.19M)
90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。スライダーのスピードは主に80マイル中盤だが、90マイル程度までスピードを上げてカッターのように投げる時もある。昨年は短大に在籍し、MILから指名を受けるも契約に至らず。NCAAに挑戦したが、洗礼を食らい成績は低調。コントロールの悪さを改善したいところ。

成績

 昨年A+-AAで19試合に先発し、防御率3.39&K/9=14と圧倒的スタッツを残すと今年の開幕前にジェシー・ウィンカーらとのトレードでCINに移籍しました。今年は低調でAA-AAAで27試合に先発し防御率4.11とまずまずの成績を残しましたが、BB/9=5.6とアマチュア時代のコントロール難が再発し、K/9も10を下回りました。
 今年は低調に終わりましたが、それでもチームからの期待度は高くルール5ドラフト前には40人ロースター入りを果たしています。投げているボールのクオリティ自体は高く、ノビのある4シーム、落差のあるカーブ、フリスビーのように曲がり落ちるスライダーはいずれも容易に空振りを奪うに足るレベルにあります。奪三振能力の高さを買ってリリーフとして使うという方法もありますが、ポテンシャルの高さと長いイニングを投げることができるスタミナを考えると先発しているところを見てみたいです。チームはコンテンド期ではないので、しばらくはスターターとして使ってもらえるのではないのでしょうか。

CBB(76).イサイア・キャンベル(Isaiah Campbell):RHP:右投右打:6-4/225:Arkansas:$850K($818.2K)
90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、スプリッターのコンビネーション。本来のドラフトイヤーは昨年だったが、低調な成績と耐久性・コントロールの不安から低い指名順位に終わり大学に残留。変化球でもストライクを稼げるようになり一皮むけた。スライダーは、カット気味に変化するキレのいいボール。ポルトガル生まれ。

成績

 プロ入り後も故障に悩まされ昨年ようやくプロデビューを果たしました。今年はリリーフとしてA+-AAで投げ33試合で防御率1.57と好成績。AAでは失点が増えましたが、K/9はA+よりも上昇しており通用していないわけではなさそうです。
 元々は豊富なレパートリーとコントロールのよさで長いイニングを投げるスターターでしたが、やはり故障の多さが引っかかるのと短いイニングを全力で投げる方が球速も球威も上がるということでリリーフ起用となっているようです。元々スターターとしてキャンベルを評価していただけにリリーフとなってしまった現状には少し物足りなくも感じますが、スライダー/速球のコンビネーションで大量に三振を奪っておりクローザーとしてメジャーのマウンドに立つ姿を見るのも悪くないかもしれません。


3(97).リバイ・スタウ(Levi Stoudt):RHP:右投右打:6-1/195:Lehigh:$339K($599.1K)
90マイル前半の速球とスプリットチェンジ、カーブ、スライダーのコンビネーション。速球は今年の春に最速97マイルをマークしており、瞬間的な爆発力を備えてる。ベストピッチはスプリットチェンジ。速球の軌道からキレイに落ちるため、空振りを奪いやすい。その他のブレーキングボールのクオリティは平均レベルだが、ストライクを稼ぐことはできる。小柄なため先発で投げられるか疑問視する声も。ドラフト直後にトミー・ジョン手術が必要と判明し、今年はプロでのプレーはなし。

成績

 昨年手術からの復帰を果たしA+-AAで15試合を投げ防御率3.31をマークし、イニング以上の三振を奪う活躍を見せました。今年はシーズン途中にルイス・カスティーヨとのトレードでCINへと移籍し最終的にはAAAにまで昇格しました。
 手術後は球速も戻っているようですが、ムービングの評価をよろしくないようでフラットな軌道になりやすくなっています。また、スプリットチェンジでかつてほど空振りを奪えなくなってしまった点も痛いところ。現状スライダーと速球の2ピッチで投球を組み立てているようで長くスターターとして投げることは難しいかもしれません。
 とはいえ、実働2年で既にメジャー目前までたどり着いている実力は本物なので、役割はどうあれメジャーでも活躍できるのではないでしょうか。


5(156).オースティン・シェントン(Austin Shenton):3B:右投左打:6/195:Florida International:$336.6K($336.6K)
滑らかなスイングでラインドライブの打球を量産することができる。安定して成績を残すことができ、途切れることなくヒットを打ち続けることができるのも強み。パワーツールは平凡だが、それを補って余りあるヒッティングスキルを持っている。スピードは平凡でアームも強いわけではないため、3Bに残れるかは微妙なライン。将来は2B/LFに収まっても不思議ではないだろう。ネイティブアメリカンの血を引いている。

成績

 昨年A+でOPS.994と大ブレークするとシーズン途中にディエゴ・カスティーヨとのトレードでTBへと移籍。今年も活躍が期待されましたが、故障に悩まされわずか52試合の出場に留まり、成績もさほど振るわず不完全燃焼のシーズンとなりました。
 ドラフト当時よりもより打撃はパワフルになり、昨年は2桁HRもマーク。BB%も大学時代同様高い数字をマークしており、打撃はプロでも通用しているようです。問題は2つポジションと故障の多さ。アジリティのなさから3Bどころか2B/LFでさえも怪しいようで、1Bくらいしか守るところがなく1Bとして使うほどの打力がるかという点。もう1つはやはり故障の多さ。キャリアで1度もシーズン100試合以上出場したことがなく耐久性の低さから長く活躍できないのではないかとも感じます。レギュラークラスは難しいかもしれませんが、主に打力で貢献するベンチプレイヤーが将来像になるでしょう。


総括
 1巡目のジョージ・カービーはすでにメジャーのローテーションに定着。新人王こそ同じチームのフリオ・ロドリゲスに奪われましたが、例年ならもっと得票数が伸びてもおかしくない成績を残しており、将来のSEAを背負って立つ存在になりそうです。
その後も大学生投手が存在感を示しており、ブランドン・ウィリアムソンとリバイ・スタウはいずれも今年のポストシーズン進出に欠かせない戦力とのトレードチップになる選手へと成長しました。まだ傘下に残留しているイサイア・キャンベルもセットアッパー/クローザーレベルのリリーフとしてメジャーに昇格しそうです。
 

いいなと思ったら応援しよう!