【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューHOU編
目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
1(32).コリー・リー(Korey Lee):C:右投右打:6-2/205:California:$1.75($2.26M)
今年大学でブレークを果たし1巡目指名をゲット。パワーポテンシャルの高さが最大のウリ。豪快なスイングでハードヒットを飛ばす。一方で、スイングは必要以上に大きく、三振が多くなる原因になっている。スピードは平凡。守備は改善の一途をたどっているが、平均以上になることはなさそう。アームは強く、走られ放題というわけではない。
21年にA+-AAAで88試合にプレーし、11HR&OPS.778の数字を残すと昨年はメジャーデビューも果たしました。
打撃ではパワーポテンシャルの高さを発揮しており、昨年はAAAで25HRをマークしています。一方で、AAまでは20%以下に抑えていたK%がAAでは25%を越えており、打率も伸び悩んでいます。メジャー昇格後もこの点でつまずき低空飛行をしばらく続けた後にマイナーへと送り返されました。アマチュア時代からは、より洗練されたスイングにはなりましたが、ヒッティングツールはプロではなかなか通用しないようです。
守備もおおむねドラフト当時の評通りで、アームの強さとリリースの速さは有数ですが、それ以外は平均以下。バックアップとしてもメジャーに残されなかったのはこの点が足を引っ張っているからでしょう。とはいえ、クリスチャン・バスケスがFAで去り、その後Cの補強はないため今年は主にメジャーチームに帯同することになると予想されます。バックアップにしては守備が弱いのは今さらどうしようもないため、打撃で結果を残す必要があるでしょう。
4(136).コリン・バーバー(Colin Barber):OF:左投左打:6/185:Pleasant Valley HS:$1M($410.1K)
打撃で多大な可能性を秘めるハイシーリングなタレント。力強く無駄のないスイングはバットスピードも早く、アベレージとパワーを兼ね備えた優秀な打者になりそうな雰囲気を漂わせる。スピードも平均以上で、アグレッシブなCF守備にも高評価を得る。送球は正確だが、アームは平凡で将来はRF/LFに収まるだろう。
昨年肩の故障でほとんど出場機会がなく、昨年に復帰を果たすとA+で63試合の出場ながらも7HR&OPS.857をマークし、ハイレベルな打撃能力はくすんではないないことを証明しました。
打撃ではヒッティングツールに高評価を得ており、実際に打率.298と好成績をマークしています。成熟したアプローチも有しており、もう少し長打が増えればいう事なしでしょう。経験の少なさと出世の遅さは気になるところで、今年フルシーズンに出場して1年通して成績を残せるところを証明してほしいです。
守備ではやはりアームの弱さがネックとなってしまっているようで、CFに残り続けるのは難しいでしょう。
5(166).ハンター・ブラウン(Hunter Brown):RHP:右投右打:6-2/203:Wayne State:$325K($306.8K)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は4シーム系で最速で98マイルをマーク。90マイル前半の2シーム系の速球と使い分けている。アウトピッチはスライダー。キレがよく、空振りを奪えるボール。デリバリーが不安定で、それに伴いコントロールも不安定になり、ストライクが入らなくなることもある。大学での成績は立派だが、ディビジョンⅡなのは留意しておきたい。
21年にAA-AAAでキャリア初となるフルシーズンを過ごし、100イニング以上を達成。防御率も4点台前半にまとめ、K/9=11以上と悪くない成績でしたが、BB/9=4.5と制球難が隠しきれない成績でした。AAAスタートとなった昨年は打高のリーグながらも防御率2.55と好成績を残し、メジャーに昇格。昇格後も7試合に登板し20イニング以上投げて失点は2のみと圧倒的な成績を残しました。
大学時代から球速はさらに速くなり、現在は最速で100マイルをマークしています。ノビのある4シームで空振りを奪うのが常套手段となっています。大学時代はこれにスピードのあるカッターのようなスライダーとのほぼ2ピッチで投げていましたが、プロ入り後にスピードを殺した曲がり幅の大きいカーブを手に入れたことがブレークにつながりました。未だにチェンジアップはほぼ投げていませんが、左打者を苦にしているわけではないので、今の時点で改善が急務ということではないでしょう。
昨年はマイナーでもメジャーでもリリーフとの併用でしたが、コントロール難のボロが出ないようにするためにという理由があるのでしょう。この点については劇的に改善されたということもないので、今後もスターターの頭数次第ではリリーフとの併用のまま投げ続けることになるかもしれません。
10(316).C.J.スタッブス(C.J.Stubbs):C:右投右打:6-3/200:USC:$85K($142.2K)
大学入学時は投手としてプレーしていたが、2年前のトミー・ジョン手術をきっかけにCに転向。元投手ということもあってアームの強さが光るが、それ以外は軒並み平凡。経験不足は明らかなので、今後改善する可能性は高い。打撃ではパワーポテンシャルの高さが光るが、三振が多くアベレージを残すのは厳しいか。兄は、同じHOUでプレーするギャレット・スタッブス。
昨年A+-AAで83試合に出場し、打率は.214ながらも21HR&OPS.823をマーク。打撃が非凡であることを証明しました。
少ない試合数でも20HRをマークしたパワーは本物ですが、いかんせん低すぎる打率がネックとなっています。BB%は優に10%を越え、Isobも1割以上をマークしていますが、出塁率は.335と突出しているわけではありません。K%が40%を越え、FB%も50%以上と低打率に陥りやすい要素を兼ね備えており、今後これが劇的に変わることはなさそうです。
守備でも既に1BとCの出場数がほぼお同数になっており、改善は見られない様子。同じタイプの上位互換のコリー・リーがいるためメジャーまでの道のりは現在のレベル以上に遠そうです。
総括
1巡目のコリー・リーはメジャーにまで到達しましたが、それ以上のことは今後なしえなさそうです。打撃でプラスにならないと使う意味が薄いタイプなのですが、ヒッティングツールの拙さが足を引っ張っています。守備で成長が見られればレギュラーとしての起用もありえますが、今のところは打力のあるベンチメンバークラスでしょう。
一番のブレークを果たしたのはハンター・ブラウン。HOUお得意の4シーム&カーブの育成が上手くハマりました。多少のコントロールの悪さに目をつぶってスターター1本で投げていけるほどの実力はあると思うので、ぜひとも来シーズンはスターターとしてローテーションを守り切ってもらいたいです。
野手では期待がかかるのが、コリン・バーバー。故障での出遅れを取り戻しつつあり、健康にフルシーズンを過ごしてその名を轟かせてほしいものです。