【MLBドラフト】3年後...2021ドラフトレビューSF編
目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(14) ウィル・ベドナー(Will Bednar):RHP:右投右打:6-2/229:Mississippi State:$3.65M($4.04M)
90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマーク。4シームと2シームを上手く使い分け、打者の的を絞らせない。カーブ、スライダーともに優秀なボール。チェンジアップの改善が待たれるところ。サイズ、コントロール共に先発としては申し分なし。
ドラフトイヤーにRkでデビュー。Aにも昇格しましたが合計で4試合のみの登板と慣らし運転程度に終始しました。
2022年はAでスタート。まずまずのピッチングを続けていましたが、6月に腰の故障でIL入り。のちに手術が必要となることが分かりそのままシーズンエンド。
2023年も故障に悩まされ、Rkで4試合に登板しただけに終わります。
今年は5月にAからスタート。A+/AAへと昇格していきましたが、アマチュア時代では考えられないようなコントロール難に陥り54イニングで47四球と余計なランナーを出しまくる始末。プロ入りから3年でプロスペクトランキングとは無縁になってしまいました。
故障による影響も大きいとは思いますが、アマチュア時代から球速が著しく低下。かつては92-95マイルの球速帯を維持していましたが、現在では90-92マイル程度と球威不足は否めません。
球速が出ずゾーン内に攻め込むことを躊躇してかゾーン外へのボールが多くなり、四球が増えるという悪循環に陥っています。
縦の変化量が多いスライダーは相変わらずのクオリティで奪三振能力は衰えていないため、球速かコントロールのどちらかを取り戻せばリリーフとしては使えそうです。
3(85) メイソン・ブラック(Mason Black):RHP:右投右打:6-3/230:Lehigh:$710.7K($710.7K)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。大学で徐々に球速を上げ、ついには100マイルの大台目前までスピードアップ。ただ速いだけでなくノビもあり、高めで空振りを奪える一級品。常々ブレーキングボールが課題とされてきたが、それも改善傾向にあり欠点をなくしつつある。コントロールも悪くなく、評価を急激に上げる可能性も。
2022年にAでプロデビュー。同年代及び高校を卒業して間もない選手が多いAでは相手にならず1ヶ月半で早々にA+へと昇格。A+では失点が増えましたが、イニング以上の三振を奪う活躍を見せます。実質プロ1年目ながらもフルシーズンをスターターとして投げ切り、100イニング以上消化してシーズンを終えました。
2023年はAAからスタート。クラスが変わっても投球内容は変わらず、安定したピッチングを続けていると7月にAAAへと昇格。AAA昇格後は四球が増えましたが、打高の環境ながら失点を増やすことなく投げ切ることに成功。メジャー昇格とはなりませんでしたが、前年よりも試合数もイニング数も増やしタフネスさをアピールしました。
今年はAAAからスタート。開幕から好投を続けると5月にメジャーデビューを果たします。ただ、先発の機会をもらいながらも失点がかさんでしまい、4試合登板したところでオプションされることとなりました。その後AAAでも乱調が続きましたが、8月にようやく投球内容が安定し始めたところで再昇格。好投続きとはなりませんでしたが、前回の昇格時より打ち込まれることはなくメジャー初勝利も挙げることができました。
アマチュア時代に最大の特徴であったスピードは今では鳴りを潜めています。テークバックを大きくとりサイド気味に投げるデリバリーでプロの登板間隔をこなそうとすると、毎試合100マイル近い速球を投げるのは難しいのかもしれません。
それでも、独特なデリバリーからシンカーとスライダーを巧みに投げ分けることで相手に的を絞らせず打ち取ることに成功しています。球速が出せなくなったのか、出なくなったのかは定かではありませんが、そのおかげもあってか毎年20試合以上に先発し110イニング以上投げることに成功しているため、仕事量をこなすという意味では現在のスタイルの方が理にかなっているでしょう。
デリバリーのエクステンションはメジャーでも有数であるため、あまりゴロに打ち取れないシンカーから4シームを主体にしてより空振りを取りやすくしてみても面白いでしょう。
総括
1巡目のウィル・ベドナーはドラフト当時息の長い選手になるのではないかと予想していましたが、腰の故障もあってアマチュア時代の輝きを失っています。球速が落ちたことに加えコントロールもままならないとあっては、到底スターターとしてメジャーに上がることはできないでしょう。
現状はスライダーの1球種で勝負するリリーフ以上の期待はできず、ドラフト当時のソリッドなスターターとしての面影は見る影もありません。
上位10名の中でメジャーに昇格したのはメイソン・ブラックのみ。前半の昇格では打ち込まれてしまいその後のマイナーでも乱調に陥りましたが、後半は試合を作ることができていたので来年も先発の機会を与えられるでしょう。ベドナー同様アマチュア時代の球速を出すことができていないのは残念ですが、1年スターターとして投げ切るという選択をした結果ならやむなしでしょう。
そのほかの上位指名陣はほぼ全員リリーフに回り、芳しい結果を残せていません。12巡目指名のランデン・ループが最大の出世株となっており、全体的に見ても成功したとは言い難いドラフトです。