【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューDET編
目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(5).ライリー・グリーン(Riley Green):OF:左投/左打:6-2/190: Hagerty HS:$6.18M($6.18M)
高校生離れした打撃スキルを持つスラッガー。持ち前のパワーは、どの球場でもHRを打てるほど。また、ただバットを振り回すだけでなく、しっかりと戦略を立てて打席に入り、臨機応変にフィールド全体を使った打撃ができる点も高評価の一因。一方で、守備走塁はからっきしで肩も弱いため、RF/LFに残れるかも微妙なところ。
高卒ながらもプロ入りから3年半で見事メジャーデビューを果たしました。
初のフルシーズンとなった21年はAA-AAAで124試合に出場し、24HR&.301/.387/.534をマーク。今年はメジャーのSTに招待されると、6月にはメジャーに昇格となりました。メジャーではマイナーほどの好成績とはなりませんでしたが、全くの期待外れというわけではなく実りの多い1年となりました。
ドラフト当時のレポ通り、ヒッティングツールは相変わらず優秀で無理に何でもかんでも引っ張ることはなく状況に応じた打撃を見せているようで、スプレーチャートに偏りは見られません。また、スイングを仕掛けるのも慎重でとても数年前まで高校生だったとは思えないほどの冷静さ。ただ、慎重になりすぎて深いカウントまで進んでしまうことから三振数は多くなってしまっています。それでも偏りのないスプレーチャートとHardHit%の高さを見ると、試運転を済ませた来年は健康にフルシーズンを過ごせば20HR&OPS.800以上はクリアできるのではないでしょうか。
守備でも予想外の健闘を見せており、やはりドラフト当時の守備評価は当てになりません。UZR以外の指標は全て高くはないもののプラスになっており、マイナスを計測したUZRもそれほど大きなものではないので平均程度に守れているということでしょう。平均レベルにさえ守れれば必ず貢献度はプラスに傾く打撃の持ち主なので、未来は明るいです。
2(47).ニック・キンタナ(Nick Quintana):3B:右投右打:5-10/187:Arizona:$1.58M($1.58M)
小柄ながらもパンチ力のある打撃が魅力。逆方向へと長打を打てるが、基本は全て引っ張るプルヒッター。小柄でストライクゾーンが狭いことも相まって四球は多い。空振りの多さは気になるところ。高校時代はSSだったが、スピードに欠けるため3Bへと転向。持ち前のアームの強さと反応の早さを活かした3B守備は非常に上手く、IFに留まることはできるだろう。
大学での成績は華々しかったのですが、プロ入り後は苦戦。2シーズン連続でOPSは.700未満で2桁HRクリアは0回と打撃がウリの選手なだけにバリューはガタ落ち。それでも、タッカー・バーンハートと1対1のトレードの対価となったのはやはりポテンシャルの高さを買われてのことでしょう。
移籍したCINの傘下でシーズンを開始した今年はA+-AAでいずれもキャリア初となる100試合以上出場&2桁HR&OPS.700超を果たします。ただ、いずれも契約金額と指名順位を考えると低すぎるハードル。安定したBB%とK%の減少等ポジティブな面はちらほら見えるのでIFのバックアップとしてのメジャー昇格は果たせるかもしれません。
3(83).アンドレ・リプシウス(Andre Lipcius):3B:右投右打:6-1/190:Tennessee:$733.1K($733.1K)
ヒッティングスキルに長けた攻守ともにソリッドなタレント。ボールの見極めが上手く、不用意にスイングを仕掛けない。安定してアベレージを残すことができるだろう。パワーポテンシャルも高く、長打数も多い。 守備ではスピードに欠けるが、反応の早さでそれをカバー。アームは平均レベル。大学時代に1B→SS→3Bとポジションを移しており、プロではサブポジションとして1Bを守ることもあるだろう。弟とは大学と大学での専攻が同じで、一緒に原子力工学を学んでいたが弟の方が賢いとのこと。
今年ブレークを果たし、MLB公式のチームプロスペクトランキングに食い込んできました。
大学でどれほど優秀なBB/Kの成績を残していてもプロでは三振数が増えるのが常で、リプシウスも例に漏れず三振数が増えていましたが今年はついに減少に転じました。元来の優秀なピッチセレクションと相まってBB/K=86/89と大学時代と遜色ない数字を残しました。打率も極端に低くなることはないため、高出塁率が実現しました。
一方で、パワーツールはプロでは発揮できず15HR程度が天井のようです。スピードと守備は平凡なためポジションは転々とするでしょう。ハイアベレージを安定して残せるようになれば、レギュラークラスとして活躍できる見込みはあるでしょう。
4(112).ライアン・クライドラー(Ryan Kreidler):SS:右投右打:6-4/208:UCLA:-($517.4K)
今シーズン打撃で存在感を発揮しドラフト指名にまでこぎつけた。バットスピードの速さは目を見張るものがあり、ハードコンタクトを量産することも可能。一方でコンタクトスキルに欠け、アグレッシブすぎるアプローチなため三振が多く四球が少ない。守備では、大柄な体格ながらもSSに留まることができるとの評価を得る。それ以上に評価が高いのが3B守備。キャノンアームを活かした魅せる守備は、ノーラン・アレナドやマット・チャップマンを彷彿とさせる。
個人的にドラフト当時から注目していた選手なだけに、今年メジャー昇格を果たしたのは非常にうれしかったです。
プロでも上記のレポ通りのスペックとツールを披露。21年にはAA-AAAで129試合に出場して22HR&OPS.804をマーク。K%は危険水準に達していますが、自慢のパワーツールを活かすためなら必要な犠牲と言わんばかりに三振を積み重ねています。メジャー昇格後はそれでは通用せず打率.200未満でシーズン終了となってしまいました。
ベストツールの守備ではハイライトリールを連発。打球反応の早さはピカイチで、ハードヒットをいとも簡単に手中に抑えてしまいます。アームの強さも衰えておらず、深い位置からの送球もお手の物。その守備力は当時のレポ通りマット・チャップマンらに見劣りするものではありません。
9(262).オースティン・バーグナー(Austin Bergner):RHP:右投右打:6-4/200:North Carolina:-($157.2K)
90マイル中盤の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも94マイル程度だが、試合が進んでも球速を維持することができる。また、ムービングの評価が高く一筋縄では打てない球種。チェンジアップの評価が高く、左打者に大して有効なボール。カーブは日によってバラつきがあるが、ポテンシャルは高い。コントロールも悪くないが、大学では成績が伴わなかった。小さなテークバックの独特なデリバリー。
15年のU-18大会の時に豊中ローズ球場で初めて見てから既に7年の月日が流れていることに驚きを隠せません。
高校時代から評価の浮き沈みが激しく、3度目のドラフトでようやくプロ入りとなりました。初のフルシーズンとなった21年はスイングマンとしての起用も防御率3.35&K/9=11.9の成績をマーク。AA-AAAで過ごした今年は26試合で先発と完全にスターターとしてローテンションを回し、防御率も3点台前半と好成績。この調子であれば来年のシーズン途中でのメジャー昇格の可能性は高いでしょう。
高校/大学時代は2シームのようなグネグネと動く速球をメインに投げていましたが、現在はノビのある4シームをメインに変更。これが功を奏したようで、チェンジアップ、カーブと縦方向の変化球が武器であるバーグナーにハマったようです。
総括
1巡目のライリー・グリーンは高校生で指名されたとは思えないほどの早出世ですでにメジャーデビューを達成。新人王争いに絡むような活躍こそできませんでしたが、懸念されていた守備でも悪くない動きを見せており明るい要素は多いです。
2巡目のニック・キンタナこそつまずき気味ですが、アンドレ・リプシウス、ライアン・クライドラーとマイナーで好成績をたたき出した大学生野手が複数と実りのあるドラフトになっています。
高校時代はトッププロスペクトだったオースティン・バーグナーも長いトンネルを抜けてようやくブレーク。上位指名はメジャーで戦力になりそうなタレントが多く揃いました。