【MLBドラフト】3年後...2019年ドラフトレビューTOR編
目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(11).アレク・マノア(Alek Manoah):RHP:右投右打:6-6/260:West Virginia:$4.55M($4.55M)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。今年から完全に先発に転向。それでも球速は落ちるどころか上昇し、最速で98マイルをマーク。スライダーの扱いも上々で、内外に上手く投げ分ける。チェンジアップは発展途上。課題だったコマンドにも改善され、今シーズン大幅に評価を上げた。
マイナーをわずか9試合の登板で卒業するとすぐにメジャーに定着し、今ではサイヤング賞のファイナリストになるまで成長しました。
昨年途中にメジャーにそのまま定着すると、20試合に先発し111.2イニングを投げ防御率3点台前半と新人離れした成績を残しました。新人王投票は8位に終わりましたが、もう少し票が集まってもおかしくない成績でした。
開幕からメジャーのローテーション入りすると、一度も離脱することなく31試合に先発し196.2イニングを投げて防御率2点台前半とエース級の活躍を見せました。
メジャーでの2シーズンはいずれもK/BBは3以上をマークしており、内容も上々です。マノアがここまで好成績を残せる理由はハードヒットの少なさにあります。高めの4シームを駆使してポップフライに打ち取ることが多く、そのためかLaunchAngleはメジャー平均より高くなりましたがBarrel%はメジャー平均以下となっています。ヒットゾーンに飛ぶ打球を少なくし、より捕球しやすいフライを飛ばさせていることが分かります。BABIPは2年連続で.240台と極端に低いのですが以上の要因によるところもおおいため単に運がいいというわけではないでしょう。
ドラフト当時課題だったチェンジアップは著しく改善されており、特に今年は被打率1割台と左打者に対して有効な球種となっています。
2(52).ケンドール・ウィリアムズ(Kendall Williams):RHP:右投右打:6-6/190:IMG Academy:$1.55M($1.4M)
90マイル前半の速球とカーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は日によってスピードにばらつきがある。2シームを右打者の内角に投げ込む果敢なピッチングスタイル。カーブを多投していたが、徐々にスライダーの割合を増やしつつある。高校生にしては、チェンジアップの扱いに長けている。コントロールも高校生としては安定している。
ロス・ストリップリングとのトレードでLADに移籍したため、現在はLAD傘下でプレーしています。
昨年、今年と2年続けてフルシーズンを投げましたが、成績は芳しくありません。昨年こそA防御率は4.58といい数字ではありませんでしたが、K/BBは3.95と悪くなく今年の飛躍に期待がかかりました。しかし、A+に途中で昇格した今年はK/9は微減しBB/9は激増と成績は著しく悪化します。防御率は昨年を下回ったものの成長が見れたとは言い難い1年でした。
成績に不安もよぎりますが、それ以上に気になるのが球速の低下。元々ムラのあるタイプでしたが、90マイル以下を何度もマークするような球速はさすがに危険信号です。変化球のクオリティは相変わらずのようですが、これからどんどん速くなっていくと見込まれていた球速が逆に遅くなっているとあっては今後のブレークも見込めそうにありません。
3(88).ダサン・ブラウン(Dasan Brown):OF:右投右打:6/185:Abbey Park HS:$800K($678.6K)
カナダ出身のアスリート。ベストツールはスピードで、走塁・守備で存在感を遺憾なく発揮する。特に守備では広いレンジをカバーすることができ、非常に高い評価を受ける。課題は打撃。バットスピードの速さは目を見張るものがあるが、ブレーキングボールに簡単に空振りする場面も目立つ。また、根本的なパワー不足も指摘されており、メジャー昇格までこぎつけるかは打撃成績次第だろう。
昨年はプロでの初のフルシーズンの年となるはずでしたが、故障で51試合の出場に留まり成績も低調に終わりました。しかし、今年は主にA-A+で84試合に出場しOPS.800以上をマークしプチブレークを果たしました。
ドラフト当時から指摘されていた打撃が上向いた要員の1つに今年になってGB%が上昇したことが挙げられるでしょう。スピードツールは複数媒体で20-80スケールで80の評価を得ており、TOR傘下、マイナー全体、果てはメジャーでも有数のスピードの持ち主であることは間違いありません。それを活かそうとするのであれば足りないパワーでフライを上げるよりも効果的でしょう。ただ、ノーパワーというわけではなくスラップヒッターで終わるようなポテンシャルではないと考えています。
優秀なスピードの割に盗塁失敗数が多い点は気になりますが、守備ではスピードを十分に活かせており高い評価を得ています。ドラフト当時から派手なプレーが多い割には大きなミスが少ないのが特徴です。
5(147).タナー・モリス(Tnner Morris):SS:右投左打:6-2/190:Virginia:$397.5K($367.9K)
優れたヒッティングスキルの持ち主で、どの方向にもラインドライブの打球を飛ばすことができる。ギャップヒッターでHRを量産することはできないが、二塁打の数は非常に多い。ボールの見極めも成熟しており、三振数以上の四球を選ぶことができる。守備ではスキルとアームは十分だがスピードが平凡でレンジをカバーできないため、将来は2Bを中心としたユーティリティに収まるだろう。
プロ3シーズンで出塁率が.380を下回ったことがないソリッドさをプロでも見せています。キャリアワーストでもBB%は12%以上と四球数はいずれのシーズンでも高水準を維持しています。バットを振らないという点で好成績を残していますが、バットを振っても昨年はA+で高打率をマークし、今年もAAで打率.300以上と結果を残しています。AAAで絶不調に陥ったのは気になりますが、今年のオフに傘下したAFLでは好成績をマークしており、来年以降の巻き返しに期待がかかります。
ポジションは当初の予想通り転々としており、ユーテリティに落ちつきそうです。
Play number 6 on our Top 10 countdown is Tanner Morris taking the first pitch of the season deep for the first home run of the year against Portland on 4/8! pic.twitter.com/IATKqUP5SE
— New Hampshire Fisher Cats (@FisherCats) September 25, 2022
総括
1巡目のアレク・マノアは当初の予想を上回る活躍をここまで見せています。ドラフト当時はソリッドなローテーション投手になるだろうと見込んでいましたが、サイヤング賞のファイナリストにまでなるとは予想できませんでした。今年に入って奪三振数が減ったのは多少気がかりですが、長くメジャーで活躍できるスターターになりそうです。
マノア以下は厳しい状況の選手が多いですが、今年に入ってダサン・ブラウンが持ち前のポテンシャルを開花させつつあるのは朗報です。身体能力系にしてはそれに依存せず、クレバーなプレースタイルを貫く選手なため成績以上にチームへの貢献度が高くなるだろうと予測しています。
ケンドール・ウィリアムスの伸び悩みは当時の姿からすると残念極まりないですが、いいように考えると市場価値が高い内に捌けたともとれるのでTORにとってはそれほどダメージはないのかもしれません。