【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューMIA編
目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(4).JJブレイディ(JJ Bleday):OF:左投/左打:6-3/205:Vanderbilt:$6.67M($6.66M)
今ドラフトクラスでも随一のピュアヒッター。ヒッティングスキルに長けており、安定してハイアベレージを残すことができる。ベテランのように落ち着いたアプローチの評価も高く、四球が三振を上回ることも。パワーポテンシャルの高さはかねてから指摘されており、今シーズンついに開花した。高校時代は投手ということもあってアームは強いが、スピードは平凡なためRFが主戦場。
既にメジャーデビューは果たしましたが、ドラフト当時予想された姿とはかけ離れています。
21年にAAでフルシーズン出場しましたが、12HR&OPS.695と成績が伸びず。特に好成績が期待された打率も.212と低迷しました。それでも、同年のAFLではOPS10割越え、打率も優に3割以上をマークし見事MVPを獲得。今年に向けて期待が高まりましたが、AAAでスタートした今年も打率は伸び悩みました。ただ、HRはコンスタントにマークしており、パワーツールで存在感を示し、メジャー昇格を果たしました。
メジャーでも打率が上がることはなく、65試合の出場ながらも打率2割未満でシーズンを終えました。プロ入り後打率が伸び悩んでいる理由としては、FB%の高さが原因かもしれません。プロ入り後FB%は右肩上がりで今年はついに50%越えとバットに当たれば2回に1回はフライになっています。LaunchAngleもメジャー平均12.1°に対しブレディは25°と異常に高い数字となっています。それでも、ハードヒットをコンスタントに打てれば長打が増えやすいのですが、それほど打球速度は速くなくただただフライを打ち上げているだけになっています。
上記の理由で打率は伸び悩んでいますが、ピッチセレクションは相変わらず優秀でゾーン外のボールを振る割合はメジャー平均よりも5%近く低い数字。フルシーズン出場となった21年からBB%は常に2桁と高い水準を維持しています。
守備ではメジャーでCFに入ることもありましたが、数字はマイナス。やはり当時のレポ通り大人しくRFで使うべきでしょう。
CBA(35).キャメロン・マイスナー(Kemaron Misner):左投/左打:6-4/219:OF:Missouri:$2.1M($2.1M)
昨年は故障があり成績は伸びなかったが、ドラフトイヤーのバウンスバックに成功。卓越したヒッティングスキルと秘めたるパワーポテンシャルの高さを兼ね備えている。追い込まれてからも、粘り強く三振は少ない。ボールの見極めにも長けており、四球が三振の数を上回る。故障のため1Bを守ることが多かったが、スピードは平均以上でアームも強く、CFを守れるという評価も。メークアップの評価も高い。
21年のオフにジョーイ・ウェンドルとのトレードでTBに移籍しました。
1巡目指名のブレディと同じく打率が伸び悩んでいますが、ブレディほど低打率というわけではなく、一方でBB%はブレディ並みの水準にあるためOPS等の数字はむしろブレディよりも高くなっています。もともとヒッティングツールよりもパワーツールに高い評価を得ていたため、コンスタントにハードヒットを飛ばすことができる点が最大の違いでしょう。未だにシーズン20HRはクリアしていませんが、それも時間の問題でしょう。今年はキャリア初となる30盗塁をマークしており、将来はパワー&スピードタイプのOFとして活躍することが見込まれます。
3(82).ペイトン・バーディック(Peyton Burdick):OF:右投右打:6/210:Wright State University:$397.5K($744.2K)
がっしりとした体格通りのパワーを発揮するスラッガー。故障のためレッドシャツとして臨んだ今シーズンはアプローチが改善され、持ち前のパワーを余すことなくアウトプットすることが可能となった。それでいて三振数を抑えることができている。スピードは平凡だが、アグレッシブな走塁を見せる。アームも平凡なためポジションはRF/LFとなるだろう。
プロ入り直後わずか半年のプレーで2桁HRをマークし非凡なパワーツールを見せつけると、21年には23HRをマーク。今年もAAAで15HRをマークし3シーズン連続での2桁HRをクリアしました。
一方で、大学最終年で抑えていた三振数がプロ入り後はぶり返し、K%は30%近い数字をマーク。打率も低迷し、上記2名のOFと同じような状況に陥りました。今年メジャーデビューを果たしましたが、マイナーでの状況とほぼ変わらず4HRをマークしたもののK%は34%、打率.207と振るわず。どの方向にもHRが打てるパワーは魅力的なだけに最低限のコンタクトスキルさえ身につければメジャーでも20HRを打てる可能性は秘めています。
4(111).エバン・エドワーズ(Evan Edwards):1B:左投左打:6/200:North Carolina State:$122.5K($522.6K)
打撃で高評価を得るスラッガー。元々打撃に定評のあるタレントだったが、今シーズンは三振を減らし、本塁打以外の長打もコンスタントに打てるようになったことでさらに評価を上げた。ポジションは1Bに限定されており、低身長というディスアドバンテージもあるが、それを覆すほどのスキルを有している。
21年シーズン前にTBへとトレードで移籍しました。
21年と今年と100試合未満の出場に留まりましたが、いずれも2桁HRをクリア。OPS.800以上をマークし既にAAに到達と順調に見えますが、やはり上記3人と同じく低打率が気になるところ。大学時代からスイングを大きく変えており、よりポイントを前に置いたことでパワーツールはさらに飛躍することとなりましたが、コンタクトスキルは置いてけぼりに。K%は2年連続で30%超と危険水準。既に25歳と若くなく、成績としてはそれほど悪くないのですがメジャーで声がかかるかというと微妙なところです。
6(171).MDジョンソン(MD Johnson):RHP:右投右打:6-6/185:Dallas Baptist:$17.5K($293.8K)
80マイル後半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも92マイルということが多いが、時折95マイルをマークすることもある。アウトピッチのスライダーは安定しており、空振りを奪える球種。コントロールが安定したことが今シーズンのブレークの要因か。動きが多くぎこちないデリバリーが特徴。
21年まではコントロールの悪さが頭をのぞかせていましたが、今年は四球数が21年の半分以下となりストライクゾーンとの勝負は終わったようです。本人曰くコントロールを崩した原因はオフシーズンの準備不足だったようで、準備万端で臨み原因が取り除かれたとのことでした。
大学時代は投球の大半を占めていたスライダーも、徐々に割合を減らしておりより速球を増やして効果的に使う道を探しているようです。
未だにAAに到達しておらず出世は遅いですが、成績は右肩上がりでよくあんっているため、メジャー昇格もそう遠くはないでしょう。
総括
上位の大学生野手はクローンのように軒並み低打率一発長打狙いの打者が揃いました。キャメロン・マイスナーやペイトン・バーディック、エバン・エドワーズは元からそういうタイプであったため特に驚きはしませんが、ソリッドなタイプに見えたJJブレディまで同じような成績になるとは予想だにしていませんでした。
ブレディがこの手のタイプになって一番まずい点は、やはりそれほどハードヒットを飛ばしまくるタイプではないところ。ゴロを打てというわけではありませんが、今までのようにフライを打ち上げ続けても先はないように見えます。
投手ではブライアン・ホイングが既にメジャーデビューを果たしていますが、A+ながらも好成績を残していたM.D.ジョンソンをピックアップしました。契約金は激安でしたが、いい買い物になったかもしれません。