【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューTEX編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(7).ジョシュ・ユン(Josh Jung):3B:右投/右打:6-2/215:Texas Tech:$4.4M($5.18M)
パワーとアベレージを兼ね備えるタレント。小さく足を上げてタイミングを取るスイング。ストライクゾーンの見極めに長けており、狙い球をしっかり待つことができる。パワーも申し分なくシーズン20HRは悠々と狙えるだろう。守備では3Bをそつなくこなせるスキルと肩の強さを持っている。スピードも平均以上だが、盗塁はそれほど上手くない。バットに話しかける奇癖を持つ。

成績

 メジャーカンファレンスで通算OPS10割越えのスーパーエリートはプロでも好成績を残し続けています。マイナーの3シーズン通算打率は.300超えと持ち前のヒットツールはプロでも十二分に発揮されています。既にメジャー昇格しており、来年からはレギュラー3Bとしての活躍が見込まれます。
 一方で不安材料も散見されます。まずは、故障の多さ。1シーズン100試合以上の出場は0回と耐久性に不安。それも小さなケガではなく、足の疲労骨折や肩の関節唇の断裂等今後のキャリアに長く影響を落としそうな大怪我をしており不安は増すばかりです。
 また、肩の関節唇の故障から復帰した今年は最大の武器であるソリッドなアプローチが見られず、マイナーでもメジャーでも大味な打撃になっています。サンプル数が少ないとはいえ、19-21年に0.45だったBB/Kが今年は0.14と急降下。長打を増やすという目的のもとスイングの改造に取り組んでいるようですが、最大のセールスポイントとトレードオフの関係になってしまっては元も子もないように思えます。
 来年も故障とアプローチの2点が注目のポイントとなるでしょう。


CBA(41).デービス・ウェンゼル(Davis Wendzel):3B:右投右打:6-1/200:Baylor:$1.6M($1.81M)
ヒッティングスキルの高さが魅力。慎重なアプローチのため深いカウントに持ちこむことが多いが、難なく対応できる力量を持つ。パワーポテンシャルもあり長打数もまずまず。スピードは平凡だが反応は早く、アームも平均以上のため3B守備はそつなくこなす。

成績

  大学ではフレッシュマン時から打率が.300を切ったことがなかったピュアヒッターもプロの厚い壁に阻まれています。
 故障がちなこともあってシーズン100試合以上の出場はいまだに0。打率も7試合の出場に終わった19年を除けば過去最高は.238と寂しい結果となっています。変化球に極端に弱く打率が上がらない原因となっているようです。
 とはいえ、今年は100試合未満の出場ながらもAAAで17HRをマークしており、パワーツールは衰えていません。守備でも足りないスピードを補って余りある打球反応とアームの強さが認められてか出場した試合の半分以上をSSとしてプレーしています。IFを複数ポジションを守れるパワーヒッターのユーティリティーとしてブラッド・ミラーのような選手になるのではないでしょうか。


3(50).ライアン・ガルシア(Ryan Garcia):RHP:右投右打:6/180:UCLA:$1.47M($1.47M)
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球はスピードこそ平凡であるが回転数が多く、高めに投げて空振りを奪える。アウトピッチはチェンジアップ。速球との緩急をつける術を心得ている。その他の変化球もソリッドな球種。コントロールがよく、四球は少ない。力感のないスムーズなデリバリーが特徴。

成績

 20年にトミー・ジョン手術を受け今年は復帰の年となりましたが、上々の成績を残しました。
 球速は以前からそれほど変わっていないようですが、奪三振能力の高さは変わらずイニング以上の三振を奪い続けています。速球を高めに投げるピッチングスタイルのため極端なフライボーラーである点は懸念材料。まだA+以上での登板はなくより上のレベルの打者と対戦した時にそれまでフライアウトになっていた打球がスタンドまで届くことにならないかが心配です。


4(115).コディ・フリーマン(Cody Freeman):SS:右投右打:5-10/165:Etiwanda HS:$900K($502.3K)
CLE傘下のタイラー・フリーマンの弟。兄と似たタイプでパワーポテンシャルに欠けるが、ヒッティングスキルに長けておりアプローチも成熟している。スピードがありアームも平均以上であるため、SSを守れるスペックを有しているが、送球が雑になるところがあり、2B転向が無難な選択だろう。

成績

 今年はキャリア初となるシーズン100試合以上出場をクリアしましたが、同時にキャリア初となるOPS.700未満と打撃で苦しんでいます。
 高校時代からはかなり筋肉をつけているものの、それでもまだパワー不足は否めず、2桁HRをクリアも長打率とISOはいずれも昨年よりもダウン。コンタクトスキルは以前優秀ですが、前記のパワー不足と高いGB%が足を引っ張り打撃成績にはつながっていません。今年はAFLに参戦し、BB>Kと優秀なアプローチを見せていますが11試合で長打は二塁打1本のみとなかなか殻を破れずにいるようです。
 スペックの高さを見込まれてか昨年からCに転向。経験不足ではあるものの平均かそれ以上には守れているようです。


5(145).ケレン・ストラム(Kellen Strahm):OF:右投右打:6-1/215:San Jose State:$205K($375.2K)
高校時代はアメリカンフットボールのスター選手としても有名だったアスリート。当初Oregonに進学したが大きな故障をし、紆余曲折を経てSan Jose Stateへとたどり着いた。打撃ではコンタクトスキルの高さが魅力。昨シーズンまではギャップヒッターとして二塁打を量産するタイプだったが、今シーズンはHRも打てるようになり評価を上げた。ワイドレシーバーとして活躍していたこともあって、スピードツールは平均以上。走塁でも守備でもそれを活かすことができる。

成績

 プロ入り後安定した成績を残し続けています。過去50試合以上出場した3シーズンで打率.275、出塁率.380、OPS.775を下回ったシーズンはなく、どのクラスでも安定して成績を残し続けています。アプローチも優秀でBB%は年々上昇しています。
 パワーツールはプロでもそれなりに通用しており、今年はキャリア初となる2桁HRをマーク。ただ、打球角度を上げてハードヒットを飛ばしまくると言うよりは、ギャップを狙って打球を飛ばすタイプであるためメジャーでも同じようにパワーツールが通用するとは考えにくいでしょう。


総括
 1巡目のジョシュ・ユンは故障がちな点と故障から復帰した今年アプローチが雑になっていた点は不安ですが、出場すれば一定の成績は残しておりメジャーフルシーズンとなる来年も期待がかかります。前記の通りアプローチ面で不安があるため、高打率/高出塁率は達成できないかもしれませんが、100試合以上出場すれば間違いなく20HRはクリアできるでしょう。
 デービス・ウェンゼルとコディ・フリーマンといった上位の指名権と高額の契約金をはたいた2人の野手は打撃でつまずいており、公式のチームトップ30にも入れていません。ただ、どちらもポジションに融通がきくようなので、ユーティリティーとしての活路は見出せそうです。
 思いがけず跳ねたのがケレン・ストラム。安定して成績を残し続けており、ルール5の市場に流れれば他球団からの指名もあり得るでしょう。ギャップを狙う打撃スタイルも来年からの過度なシフトを禁止するルールは追い風となっており、掘り出し物になりそうな予感。

 


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