【MLBドラフト】3年後...2021ドラフトレビューCIN編

目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(17) マット・マクレイン(Matt McLain):SS:右投右打:5-11/180:UCLA:$4.63M($3.61M)

ヒッティングスキルに高い評価を得るピュアヒッター。足を上げずにタイミングをとり、いずれの球種にも対応する。パワーは平均かそれ以下だが、ギャップを抜くレベルには有している。この手のタイプにしては辛抱強いアプローチで、四球も多い。守備はスキルに問題はないが、スペックが足りずSSは厳しいか。

成績

 ドラフトイヤーにRkでデビュー。すぐさまA+に昇格し比較的多めの29試合に出場。いきなりのA+所属となりましたがすぐさま対応し、打撃センスの高さを見せました。
 2022年はAAでフルシーズンを経験。打率は伸びませんでしたが、15%以上のBB%をたたき出し高出塁率をマーク。また、103試合で17HRをマークし大学時代ではあまり見せなかったパワフルな一面を披露し、トータルでは好成績を収めてシーズンを終えました。
 2023年はAAAからスタート。開幕から絶好調でOPSは10割を超える数字をマーク。その好調ぶりから5月にメジャーデビュー。メジャーでも勢いが落ちることはなく、89試合で16HRをマーク。ハイアベレージも残し、活躍が認められ少ない出場機会にもかかわらず新人王投票では5位に入りました。
 今年は開幕からメジャーでレギュラーとして起用される見込みでしたが、肩の手術で1試合も出ることなくシーズンエンド。オフにAFLで復帰し元気な姿を見せていました。
 残念ながら今年は故障で全休となりましたが、復帰がかなえばすぐにレギュラーの座を用意されるクラスの選手となりました。アマチュア時代から大きく変わったのはパワーツール。とにかくコンタクト重視で低い弾道の打球を広角に飛ばすスタイルでしたが、プロではより角度をつけて打球を打つことを意識しているようです。
 打球速度は特筆すべき数字ではありませんが、ヒットになりやすい打球角度で打ち返すことが非常に多く好成績につながっています。持前の優秀なピッチセレクションもあって、メジャーの投手あいてにもつまずくことなく対応できています。
 心配されていた守備でも大きな穴となることはありませんでしたが、エリー・デラクルーズが台頭したことでSSからは離れることになりそうです。OFにも挑戦していますが、2Bの有力なレギュラー候補であるジョナサン・インディアトレードで放出されたためしばらくは2Bで使われるのではないでしょうか。


2(53) アンドリュー・アボット(Andrew Abbott):LHP:左投左打:6/180:Virginia:$1.3M($1.37M)

90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマークすることもあるが、コマンド重視で投げるため基本は92~3マイルに抑えている。ベストピッチはパワーカーブ。どのタイミングでも投げ込みストライクを稼いだり、空振りを奪ったり、見せ球にしたりと用途は多彩。今年から先発に転向。そのための準備として取り組んでいたチェンジアップ習得とスタミナ作りが功を奏し、スターターとしても問題はなさそう。

成績

 ドラフトイヤーにRkでデビュー。すぐにAへと昇格すると驚異的なペースで三振を奪いアマチュア時代と変わらない姿を見せます。
 2022年はA+からスタート。5試合に登板し27イニングを投げて防御率0点台と圧倒的な成績を残し、AAへと昇格。AAでは四球に伴い失点も増えてしまいましたが、奪三振のペースだけは落ちずこのシーズンは合計118イニングを投げて159奪三振をマークしオフを迎えることとなりました。
 2023年はAAからスタート。前年苦戦したクラスでしたが、3試合で早々にAAAへと昇格。AAAでも好投を続けると6月にメジャーに昇格。そこからは一度も欠けることなく先発し続けることに成功。マイナー時代に比べると奪三振のペースが落ちましたが、それでもイニング以上の三振を奪い防御率も3点台に収めました。
 今年は開幕からメジャーでローテーションを回し、前年と遜色ない成績を残し、安定したピッチングを披露していましたが8月に球速が落ち始めたのと同時に肩の故障でIL入り。シーズン中に復帰することなくシーズンエンドとなりました。
 大学に4年間在籍したシニアのスターターはスペックが足りず大学時代の成績をプロで再現することができずにフェードアウトしていくことが多いのですが、アボットはその点を軽々とクリアしました。
 球速は速い方ではありませんが、安定して94マイル前後のスピードを出力することができています。チェンジアップ、スイーパー、カーブをまんべんなく散らし、変化球を警戒している相手に4シームで空振りを奪うパターンを確立しています。
 今年はチェンジアップで空振りが奪えなくなりプロ入り後初めてイニング以下の奪三振数に終わったのは少し気がかりです。

総括

 1巡目のマット・マクレインはアマチュア時代の軽打でギャップを抜くタイプからモデルチェンジに成功し、シーズン20~25HRを狙えるパワフルな打者へと変貌しました。ポジションは転々とすることになりそうですが昨年は守備でプラスの数字を出しており、この点でもアマチュア時代の評価を覆すことになりそうです。
 マクレイン以外の1巡目指名を受けた野手2人はプロでかなり苦戦しています。高校生のジェイ・アレンは今年ようやくA+で10HRをマークした程度で、大学生のマット・ネルソンは昨年こそ21HRをマークしましたが今年は故障もあってAAで打率が2割を切る始末。メジャーまでの道のりは非常に険しくなっています。
 投手陣からはアンドリュー・アボットがローテーションに定着。故障がありつつも毎年100イニング以上投げており、実働数は文句なしでしょう。エースポテンシャルではないものの、ローテーションを守る優秀なイニングイーターとして長く活躍することになりそうです。
 マクレイン以外の上位指名の野手陣が苦戦している点は残念ですが、レギュラークラスの野手とローテーション投手をそれぞれ1人ずつ発掘できたと思えば十分な収穫があったドラフトと言えるでしょう。





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