ジョン・ウィック交遊録
本年9月22日ついに公開されたジョン・ウィックシリーズ最新作「ジョン・ウィック チャプター4 コンセクエンス」。
引退した伝説の殺し屋であるジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)が愛犬と愛車を奪われたことから裏の世界に復帰するというシンプルなストーリーながらも、過激すぎるアクションと裏世界の洗練された独特な世界観で映画ファンの心をわしづかみにしました。
数字でもそれは現れており、興行収入はシリーズを重ねるごとに増えています。(無印で約8600万ドル、チャプター2で約1.7億ドル、チャプター3で約3.2億ドル、公開されてから一週間ほどの最新作は約4.3億ドル)
この超人気のガンアクションシリーズの特徴の1つとして主人公が非常に無口であることが挙げられます。
主人公であるジョン・ウィックの性格が無口で無愛想なので、会話もほとんど説明であったり、短い返事といった味気のないものばかりで、およそ主人公とは思えないほど話しません。
最新作ではジョン・ウィックがわずか380単語しかしゃべらないことがニュースとなりました。
https://eiga.com/news/20230404/7/
そんな無口で無愛想なジョン・ウィックはいかにも馴れ合いなどしない一匹狼のようですが、意外にもお友達がたくさんいます。地元のニューヨークだけでなく、世界中に友達がおり、さらには作中でも友達作りをしています。
無口で無愛想なのにどうやってそんなに交友関係を広げたのか。映画に出てくるだけでも、かなりの数のお友達がいるので実際はもっとたくさんいるのかもしれません。
そんな実は友達が多いジョン・ウィックの交友録を無印から振り返ってみましょう。
※以下ジョン・ウィックシリーズのネタバレを含む内容となります。
「ジョン・ウィック(無印)」に登場する友達
※以下登場順です。
マーカス(ウィレム・デフォー)
ジョン・ウィックシリーズで初登場するジョン・ウィックの友達であり、初登場のスナイパーキャラでもあります。
ジョンとは旧知の仲であり唯一無二の親友です。ジョンの妻の葬式には裏世界の住人で唯一現参列しており、このことからもマーカスとジョンの仲の良さがうかがえます。
また、ヴィゴからジョンの殺害依頼を受け一度は引き受けた後も、最終的にはは金や名誉よりも友情をとってジョンを助けており、情に厚い親友と呼ぶにふさわしい人物でした。
ジョンとの過去の話はほとんど紹介されませんでしたが、お互い多くを語らずとも分かり合える仲なのでしょう。もしかしたら、最新作に登場するケインやシマヅ・コウジとも友達で4人はズッ友だった可能性もあります。
仲良し度:★★★★
オーレリオ(ジョン・レグイザモ)
ジョン・ウィック行きつけの自動車修理工場の責任者。ヴィゴの下で働いていますが、車を探しに来たジョンを追い払うどころかむしろ協力するような態度を見せます。
2でもボロボロになったジョンの愛車の修理を快く引き受けています。会話の内容もほとんど車に関することで、車を愛する者同士ジョンと通じ合うところがあったのでしょう。
仲良し度:★★
ジミー
ジョン・ウィックがヴィゴの手下を自宅で迎え撃った後に、ジョンの自宅を訪ねにきた警察官。ジョンと扉越しで会話しますが、完全にヴィゴの手下の死体が見えているのにそれについて何の指摘もしません。
ジョンがかつて殺し屋だったことを知っている様子で深くは追及しないようにしています。扉越しのわずかな時間でしたが、親しげに会話しており友達といってもいいでしょう。実は2にもちらっと登場しており、相変わらずジョンの裏の仕事は見てみぬふりをしています。
一般人でも警察官になる前から友達でないとなかなか警察官の友達を作れないのに、嫌われ者になりがちな警察官とも交友関係を持っているジョンの顔の広さに驚かされます。
仲良し度:★
シャロン(ランス・レディック)
殺し屋が集まるホテル、コンチネンタルホテルニューヨークの受付を担当するコンシェルジュです。
仕事柄ジョン・ウィックと知り合いであることは当然ですが、ビジネスライクな関係ではなく、久し振りにホテルに顔を見せたジョンに「あなたをお迎えできるのは光栄です」と声をかけたり、ホテルのサービスにはないペットの預かりを個人的に引き受けたり、時には主席連合に逆らって共闘したりと顔見知り以上の間柄であることは間違いありません。
ホテルの従業員にも横柄にならず礼節を持って対応する真のプロフェッショナルであるジョンに心を許すようになったのかもしれません。
仲良し度:★★★★
ウィンストン・スコット(イアン・マクシェーン)
コンチネンタルホテルニューヨークの支配人であり、ジョン・ウィックのことを唯一「ジョナサン」と呼ぶ人物です。
ジョンとはマーカスと同じかそれ以上に古い仲のようで、基本的には中立の立場を貫くはずの支配人という立場ながらも、ジョンのことを気遣うシーンは多数あります。2ではタブーであるホテル内の殺しをしたジョンをしばらくの間見逃し、3では主席連合の命令で自分を殺しにきたジョンと殺し合うどころシャロンと共にジョンと結託して主席連合とも戦います。
時にはジョンに厳しい言葉も投げかけますが、それもジョンを思うが故のものであり、まるで親戚の子供を心配するおじさんのようです。
3の最後ではジョンを撃ってホテルの屋上から落としますが、最新作ではそのことも水に流してもらっており、さらには決闘の介添人にも抜擢されています。シリーズで最もジョンからの信頼が厚い人物です。
仲良し度:★★★★★
アディ
コンチネンタルホテルのバーでバーテンダーをしている入れ墨がイカす女性。
要件がなければ滅多に人に話しかけないジョンが進んで話しかけに行っており、友達でないとしないような深い意味のない雑談をジョンと交わした数少ない人物です。
バーテンダーは酒を作るだけでなく客との会話もする接客業的な側面もあるので、その話術にジョンも思わず心を開いたのでしょう。
仲良し度:★★
フランシス
ヴィゴの息子が遊んでいるクラブの警護をしているロシアンマフィアの一員。
標的だけでなく、標的の手下も容赦なく殺すジョン・ウィックが情けをかけて殺さなかった数少ない人物です。
フランシスとジョンの会話の中でフランシスはジョンと最後に会った時から28kgも痩せていることが判明します。ジョンが5年以上会わず、しかも最後に会った時から28kgも痩せたフランシスを一発で見抜いていることからかなり仲が良かったと推察できます。
仲良し度:★★★
「ジョン・ウィック:チャプター2」に登場する友達
ジュリアス(フランコ・ネロ)
コンチネンタルホテルローマの支配人で、久し振りにホテルを利用しに来たジョン・ウィックを温かく出迎えます。
ジョンが復帰後コンチネンタルホテルニューヨークを初めて訪れた際は自ら支配人、ウィンストンに会いに行ってましたが、ジュリアスは逆に自らロビーに出てジョンを出迎えており、さらにはホテルで一番いい部屋の鍵を差し出しています。
また、ジョンがローマを出る時は、サンティーノ・ダントニオの手下を巻くための秘密の地下通路を用意しており、客と支配人以上の関係性であることは間違いありません。
ウィンストンと異なり、ジョンが何も言わずとも協力を申し出ており、もはや溺愛というレベルでジョンを甘やかします。
この記事のネタバレになるのですが、ジョンは作品に登場する全てのコンチネンタルホテルの支配人と仲良しです。権力者の懐に入るのが上手いのかもしれません。
仲良し度:★★★
ジアナ・ダントニオ(クラウディア・ジェリーニ)
サンティーノ・ダントニオの姉で、本来であれば主席連合の一員になるはずだったイタリアンマフィア「カモッラ」のボスです。
ジョン・ウィックの標的となり、最終的にはジョンに殺されてしまいます。この説明だけでは殺し屋と標的だけの間柄のようにも見えますが、殺害される前に「私達が友達だったのはそう遠い昔のことじゃないわ」とジョンに声をかけると、ジョンは「今でも友達だ」と返答しており、言質はとれています。
一度にジョンと会話する時間の長さがシリーズでも屈指であること、ジョンがなかなか殺そうとしなかったことからただの友達ではなく、かなり仲が良かったことが分かります。
たらればになりますが、彼女が弟に殺されることなく主席連合の一員となれれば、彼女の助力によってジョンは愛車を取り戻した後もすんなり引退できたのではないかと思わずにはいられません。
仲良し度:★★★★
カシアン
ジアナ・ダントニオの護衛を務める強面のボディガードです。
ジョン・ウィックは自分のボスであるジアナ・ダントニオを殺した仇でもありますが、ジアナ同様ジョンとは旧友でもあります。
パーティー会場ですれ違った男がジョンであることにいち早く気づいたり、お互い決まって頼む酒を覚え合っていたり、ジョンに一杯奢ってあげたりと作中の仲良しエピソードに事欠きません。
ストーリー上結局は殺し合うことになりますが、最終的には明確にとどめを刺されることはなく見逃されています。ジョンがまた命を狙われることになってもカシアンに生きていてほしいと思うほど仲良しなのです。
仲良し度:★★★★
バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)
一見浮浪者に見える裏の住人こと「バワリー」の王で、かつてジョン・ウィックに殺されかけるも寸でのところで見逃された男です。
作中では珍しく、ジョンの引退前からの友達ではなくシリーズを通して友達になっていった人物です。当初はサンティーノ・ダントニオがニューヨークを支配することを嫌い、ビジネスの一環としてジョンに武器を供与していました。
しかし、3ではジョンと同じく主席連合から手ひどい仕打ちを受けたことから、コンチネンタルホテルニューヨークの屋上から落ちたジョンを助け、共に主席連合への復讐を目指す復讐友達になりました。
最新作では鍛錬に励むジョンに詩の朗読を聞かせながらスーツを運んであげたり、わざわざパリまで出張して銃を届けてクルーザーを運転してあげたりと献身的にジョンをサポートしています。
友達になったのは最近なので短期間にグッと距離を縮めることに成功したようです。
仲良し度:★★★★
「ジョン・ウィック:チャプター3 パラベラム」に登場する友達
ソフィア(ハル・ベリー)
ジャーマンシェパードを2匹連れているカサブランカコンチネンタルの支配人です。
ジョンとはかつて自分の娘と関連して誓印を交わしており、切っても切れない関係のようです。
最初はジョンの申し出を断ったり、これから砂漠を歩くジョンに自分がうがいした水を入れたペットボトルを差し出したりとかなり意地悪ですが、いわゆる悪友というものでしょう。
ソフィアは家族思いで犬好きと共通点の多いジョンをなんだかんだ言って見放すことができなかったのだと思います。
また、ジョンはソフィアの娘の居場所を知っており、ある意味家族ぐるみの付き合いとも言えます。
仲良し度:★
「ジョン・ウィック:チャプター4 コンセクエンス」に登場する友達
ケイン(ドニー・イェン)
侯爵にジョン・ウィック殺しのために強制的に復帰させられた盲目の元殺し屋です。
ジョンとは古い仲のようで、侯爵より先にジョンがケインを頼っていたら迷わずジョンを助けていかもしれません。
侯爵から渡されたターゲットが記された点字メモを解読するなり断ろうとしたり、作中序盤から終盤にかけて最後までジョン殺しに乗り気ではなく、あろうことか侯爵の手下に妨害されるジョンを助けたりと娘を人質にされたから嫌々やっている感が終始醸し出されています。
ジョンとは違いかなりおしゃべりかつ陽気な性格で、マーカスやシマヅ・コウジといった口数の少ない友達と一堂に会する時は彼が場を回していたのかもしれません。
仲良し度:★★★
シマヅ・コウジ(真田宏之)
コンチネンタルホテル大阪の支配人で、重ね着の着物と眼鏡が似合うナイスダンディ。
追放処分された上に主席連合の1人を殺したジョンを匿うほど仲良しで、ウィンストン同様ジョンと共に主席連合に反旗を翻し共闘してくれた男気溢れる人物です。
娘からジョンをホテルに置くなと忠告されても口出しするなと一蹴しており、娘のためにジョンの殺害依頼を引き受けたケインとは一線を画します。
一度は引退したジョンにウィンストン同様に「君の安らぎは見つけられたのか」と質問を投げかけており、ジョンの内面を深く理解してくれていたマーカスやウィンストンに並ぶ親友の1人です。
仲良し度:★★★★★
トラッカー(シャミア・アンンダーソン)
懸賞金が日に日に大きくなるジョン・ウィックを突け狙う犬連れの狡猾な殺し屋です。
ジョンへの片思い歴はかなり長いようで、ジョンの似顔絵やジョンにまつわることを記したメモ張をずっと持っています。
ただ、3に出てきたゼロのように初めて会えたからといってダル絡みすることなく要件を済ますと大人しく引き下がっており、ストーカーなりに身をわきまえているところが長ったらしい会話を好まないジョンに好印象だったかもしれません。
映画の最終盤まで本気でジョンを殺しにかかっていましたが、愛犬をジョンに助けられたことからトラッカーが一方的に和解し、ジョンを手助けするようになりました。
一方的な思いを募らせたうえでの友情ですが、これもまた友達の形の1つでしょう。
仲良し度:★
シリーズ開始前から付き合いがある古くからの地元の友人が多くいることはもちろんのこと、アジアやヨーロッパにも友達がたくさんおり、さらには作中でも友達作りに余念がないジョン・ウィック。
口数は少なくとも行動で示すことで友達は作れることを身をもって証明したジョン・ウィックにならって皆さんもたくさん友達を作ってみましょう。
※見出し画像は「映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』」公式Xアカウントより引用