【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューOAK編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(26).タイラー・ソダーストロム(Tyler Soderstrom):C:右投左打:6-2/190:Turlock HS:$3.3M:$2.65M

パワーポテンシャルの高い打撃が魅力。バットスピードが速く、ハードヒットをコンスタントに飛ばすことができる。アグレッシブなアプローチのため、ブレーキングボールにもろくなる一面も見せる。身体能力は高いが、Cとしては活かしきれておらず、OF転向もささやかれる。アームは強いためOFとしては優秀なディフェンダーになれるかもしれない。

成績

 21年のプロデビューから才能を発揮。故障で出場機会は限られましたが、Aで打率.300以上&2桁HRをマーク。22年はキャリア初のフルシーズンでのプレーとなり打率こそ落としましたが、A+からAAAにかけて29HRとベストツールのパワーを見せつけます。23年にはメジャーデビューも果たしましたが、メジャーレベルの投手の変化球についていけずいいところがなくルーキーイヤーを終えてしまいました。
 メジャーで苦戦した理由はやはりコンタクトスキルでしょう。ゾーンの内外を問わず空振りが多く、せっかくのパワーも披露する機会が限定されていました。特に右投手のチェンジアップに弱いのですが、左打者というだけで右投手に当てられてしまいチェンジアップの多投に苦戦する場面はよく見られました。
 メジャーでは思うような数字を残せなかったものの、高校生上がりでプロでプレーして実質2年半でメジャーにまで到達している実力は本物。使い続けて我慢するだけのポテンシャルはあるのですが、MLBの中でも屈指の層の薄さを誇るOAKにあってなぜか1B/DHだけは優秀な人材がそろっておりなかなか出番に恵まれなさそうなのが不運と言う他ありません。
 心配されていたCの守備は壊滅的ではなく悪くはないのですが、こちらは我慢するほどかと言われればそうでもないのが悩ましいところです。


2(58).ジェフ・クリスウェル(Jeff Criswell):RHP:右投右打:6-4/225:Michigan:$1M:$1.21M

90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。リリーフから転向しても速球のスピードを維持。最速で96マイルをマークする。スライダー、チェンジアップといった変化球のクオリティも高く、奪三振能力は高い。一方で、動きが多くフルエフォートなデリバリーとコントロールの悪さは要改善。

成績

 プロ1年目の21年は故障のため5試合のみの登板に終わりましたが、以降2年間は故障者リストに入ることなくローテーションを回し続けています。
 ただ、22年のオフにチャド・スミスとのトレードでCOLに移ってからは故障なく投げているもののひたすら打たれ続けています。1年を通してAAAで投げていたにもかかわらず、慢性的に投手に難を抱えているCOLでさえ1度もメジャーに上げようとしなかったほどです。
 OAK在籍時はアマチュア時代のコントロールの悪さは顔を出しておらず、コマンドに欠ける点はあっても四球数は平均レベルに落ち着いていたのですがCOL移籍後は四球難を発症してしまい苦戦しています。
 また、COL移籍後は球速も落ちてしまったようでコンディション不良も疑われています。
 それでも投げているボール自体は悪くなく、以前として奪三振能力の高さを買う声もあります。豊富な球種のレパートリーと強靭なスタミナが持ち腐れになってしまいますが、コントロール難が収まらないようであればリリーフ転向も1つの手でしょう。


4(127).デーン・アッカー(Dane Acker):RHP:右投右打:6-2/189:Oklahoma:$447.4K:$447.4K

90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。球速は平凡だがシンカー気味にムービングさせゴロアウトを奪う。変化球のクオリティ自体に高い評価を得ていないが、失投は少ない。ストライクスロワーなため滅多に四球を出さず、この手のタイプにしては三振が多いところが魅力。今シーズンは名門LSU相手にノーヒッターも達成した。

成績

 21年シーズン開幕前にエルビス・アンドラスらとのトレードでOAK傘下では1試合も投げることなくTEXへと移籍しました。
 移籍後まもなくトミー・ジョン手術を受ける事となり、2年間でわずか11試合の登板に留まっていました。23年も故障で出遅れたあとようやく本格的にプロのキャリアをスタートさせました。
 アマチュア時代から球速がかなり速くなっており、現在は最速で99マイルをマーク。シンカー系からスピードの出やすい4シーム系へと速球のメインもシフトチェンジさせています。ただ、アマチュア時代のようなストライクスロワーではなくなり、BB%が12%ほどで推移するなどコントロールは悪化。
 スターターとして使うよりも1イニングを全力で投げ切ってもらう方が効果的に起用できそうです。


5(157).スティービー・エマニュエルズ(Stevie Emanuels):RHP:右投右打:6-5/210:Washington:$400K:$333.3K

90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。2シーム系の速球はスピードがなくとも、独特なテンポとデセプションに優れたデリバリーのおかげで易々と打ち返されるボールではない。アウトピッチはスライダーで、空振りを奪える球種。チェンジアップは左相手にも滅多に使わず、先発として投げるには改善が必要。コントロール・コマンド共に平均レベル。

成績

 21年のデビューから2年間スターターとして投げていましたが、2年連続で防御率は6点台。奪三振数はそれなりに多いもののそんな長所を覆い隠すくらいに四球を数多くだしてしまい、うだつのあがらない大学生上がりの投手としてフェードアウトしていくかのように思えました。
 しかし、故障で出遅れた23年はリリーフに転向するとこれまでのピッチングが嘘だったかのような変身を遂げます。
 速球のメインを4シームに据えると平均球速が上昇。コンスタントに95マイル以上のスピードが出るようになったうえに、ノビのある4シームで大量の空振りを奪い始めます。A+-AAで好成績を残し、オフに参加したAFLでも好投。24年のメジャーのスプリングトレーニングにも招待されるまでになりました。
 OAKのメジャーチームの層の薄さは他の追随を許さないため、オープン戦まで残ってそこでも好投できればシーズンの早い段階でメジャー昇格も夢ではないでしょう。


総括

 当時全体10位~15位で消えると予想されたものの大きくスリップしてきたタイラー・ソダーストロムはドラフト前の評判通りの成績を残してくれています。
 メジャーではからっきしでしたが、もはやマイナーで遊ばせておく段階にはないため今年は開幕からメジャーで見ることができるでしょう。プレータイムをどう捻出するかが最大の悩みどころです。
 トレードに出した2人の投手は明暗が分かれました。ジェフ・クリスウェルは23年のメジャーデビューも視野に入っていたのですが大スランプで足踏みとなりました。一方でデーン・アッカーは故障からの復帰後は好投が続いており、24年中のメジャー昇格も射程圏内に入っています。
 最低順位の指名となったスティービー・エマニュエルズは23年にようやく才能を発揮。上記の2人よりももしかするとメジャーに近いかもしれません。
 大学生投手3人はメジャーに近づきつつありますが、大きな戦力になりそうな気配はなくソダーストロムがスリップしていなければと思うとぞっとするドラフトでした。


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