【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューNYM編
目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(19).ピート・クロウ-アームストロング(Pete Crow-Armstrong):OF:左投左打:6-1/175:Harvard-Westlake HS:$3.36M:$3.36M
打撃では、「マシーン」とも形容される崩されることのないスイングでラインドライブの打球を飛ばす。あらかじめプランを明確に立てて打席に入り、容易くシフト破りを敢行する等高校生とは思えないほど熟達している。パワーは平均レベル。スピードがあり、打球反応がいいため難なくCFを守ることができる。アームも強く、送球も正確。愛称は頭文字をとった「PCA」。
プロデビューイヤーの21年は試合中に右肩を痛めたためろくに出場機会を得られず、シーズン途中でハビアー・バエズらとのトレードでCHCへと移籍することになりました。
22年に健康体で戻るとようやく本領を発揮します。A/A+で100試合以上に出場し、打率は.300超えをクリア。16HRをマークし、アマチュア時代からのパワーレスな印象を払拭しました。
続く、23年も好調を維持。打率は.300超えとはなりませんでしたが、20HRをマークするなどクラスが上がっても成績をキープ。シーズン終盤にはメジャーデビューを果たしました。
CHCではよりハードヒットを飛ばすことを意識し始めたようで、長打数も多くなりアマチュア時代よりもよりパワフルになった印象を受けます。ハードヒットを狙うことで三振が増えましたが、より鋭い打球を飛ばせるようになったためか打率が低迷することはありませんでした。
守備はアマチュア時代と変わらず好プレーを連発しています。メジャーでは初ヒットこそお預けとなりましたが、守備ではハイライトリールとなるようなプレーを見せており24年のGG賞も狙えるでしょう。
2(52).JTギン(JT Ginn):RHP:6-1/210:右投右打:Mississippi:$2.9M:$1.4M
90~95マイルの速球と80マイル後半のスライダーのコンビネーション。高校時代は、95マイルの4シームを高めに投げ込むピッチングスタイルだったが、大学入学後はモデルチェンジ。スピードよりもムービングに力点を置き、コントロールも安定。スライダーのキレもよく、奪三振能力も高い。デリバリーも若干ながら力感が抜けた。
ドラフトイヤーにトミー・ジョン手術となりましたが、プロデビューイヤーとなった21年に復帰を果たします。A/A+で18試合に先発して防御率は3点台前半とまずまずの成績を残します。
22年シーズン開幕前にクリス・バシットとのトレードでOAKへと移籍すると再び故障との闘いが始まります。
右前腕の故障がつきまとい、球速は90マイルを少し超える程度でまともにコマンドができず、どのクラスで投げても打ち込まれる始末。
故障が満足に癒えていないのに復帰して投げては打たれるということを繰り返しているため24年こそ完治後の完全復帰が望まれますが、あまりに長引く故障を考えると元の姿に戻れるか甚だ疑問です。
5(150).エリック・オルゼ(Eric Orze):RHP:右投右打:6-3/185:University of New Orleans:$20K:$357.1K
90マイル前半の速球とスライダー、スプリッターのコンビネーション。トレーニング施設のブルペンでの記録だが、速球は最速で96マイルをマーク。実戦でもこの出力を維持できるか見ものである。アウトピッチはスプリッター。キレイに真下に落ちるタイプのもので、容易に空振りを奪える。コントロールは悪くないが、スライダーのクオリティを考えるとリリーフ向きだろう。精巣ガンと皮膚ガンの治療のため、2年ほど公式な試合からは離れていた。
プロデビューイヤーの21年に34試合に登板し、いきなりAAAにまで昇格する早出世を果たします。翌22年も主にAAAで34試合に登板。23年こそメジャーデビューの年になるかと思われましたが、AAAから昇格できずに長く足踏みが続いています。
おそらく23年こそメジャーデビューをさせる予定だったのだろうと思われますが、キャリアワーストの年となってしまいメジャー昇格が見送られたのでしょう。
プロでもスプリッターを武器に高い奪三振能力を見せており、短いイニングを投げさせるにはもってこいのタレントです。
23年はメジャーデビューを果たせず、ルール5のプロテクト漏れとなりましたが、既にAAAで81試合を投げておりマイナーでやることはないようにも見受けられます。24年にもメジャーデビューを果たせない場合はアジア球界も視野に入るかもしれません。
総括
1巡目のピート・クロウ・アームストロングはアマチュア時代の最大の武器にパワーツールをプラスし理想的な姿になりつつあります。三振が増えてしまったことは気がかりで、ハイレベルな投手との対戦経験を積んで適応するだけの能力はあると思うので今後の活躍に期待したいです。
守備では文句なしの動きを見せていますが、走者有利なルールに改正されても2桁の盗塁失敗を記録しており暴走気味の走塁面は見直す必要がありそうです。
1巡目以降の指名はほぼ壊滅。実力的には1巡目クラスだったJTギンも度重なる故障でまともに投げることすらできていません。バリューが落ちる前にトレードで放出できたのは不幸中の幸いでしょう。