【MLBドラフトレビュー】3年後...2021ドラフトレビューNYM編

目ぼしい選手をピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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3(81) ドミニク・ハメル(Dominic Hamel):RHP:右投右打:6-2/206:Dalls Baptist:$755.3K($755.3K)

90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも96マイル程度だが、スピンがかかったノビのある4シームは球速以上の効果を発揮。高めに投げて空振りを奪うのが十八番になっている。ブレーキングボールはどれも平均レベルだが、4シーム以外ではスライダーをアウトピッチとして使っている。コントロールもまとまっており、先発としての起用も考えられるが、奪三振能力の高さを活かしてここぞという時のリリーフとしての起用も有り得るだろう。

成績

 ドラフトイヤーにRkで2試合に登板したのち、2022年に本格的にプロデビュー。A-A+で24先発し、119イニングを消化。1年目からフルシーズンでローテーションを回し続けながらも、内容も悪くなく30%近いK%をマーク。アマチュア時代同様に奪三振能力の高さを見せました。
 2023年はAAからスタート。再度1年間ローテーションを回し続け耐久性の高さを発揮。前年よりも奪三振数を増やしつつも、四球数を減らすことにも成功しました。
 今年はAAAでスタート。メジャーデビューも考えられましたが、登板試合数とイニング以外はキャリアワーストの数字をマーク。チームもプレーオフ争いの真っただ中だったのでシーズン後半にお試しでの昇格もなくメジャーデビューはお預けとなりました。
 スペックはアマチュア時代とほぼ変わっておらず低いアングルから、ノビのある4シームを投じて空振りを狙うピッチングスタイルのまま。スライダーを筆頭に使える球種は多いのですが、恒常的にアウトピッチとして使うにしてはクオリティはイマイチでAAAで三振が減った要因にもなっているでしょう。カッターも投げ始めており、速球以外でもコンスタントに空振りを奪える球種を模索しているようです。
 今年は四球が増えましたがコントロールが急激に悪化したというよりは、空振りが奪えず見逃されるボールが増えたことによるものと思われるので過度な心配は不要だと思います。
 今年こそ不振に陥りましたが3年連続20先発以上&110イニング以上をクリアしているタフネスさは他のプロスペクトにはない希少なツール。多少打たれてもイニングは稼いでくれる、息の長い選手になりそうです。


5(142) クリスチャン・スコット(Christian Scott):RHP:右投右打:6-4/215:Florida:$350K($386.6K)

90マイル中盤の速球とスライダーのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。アウトピッチのスライダーのクオリティも平均以上。どちらの球種もとにかくストライクに投げまくって打ち損じを狙うピッチングスタイル。不用意にストライクを取りに行くため、リリーフにしては奪三振がすくない。

成績

 ドラフトイヤーはRkで3試合に登板。いずれもリリーフとしての登板でした。
 2022年は開幕から故障のため5月からAでスタート。当初はリリーフとして登板していましたが、A+へと昇格すると完全にスターターへと転向。A+昇格後内容は悪化してしまいましたが、アマチュア時代よりも格段に奪三振能力が上がりイニング以上の三振数をマークできるようになりました。
 2023年は再度故障のため5月からのスタート。リハビリもかねてAからスタートしましたが、今回は当初からスターターとしての調整でした。最終的にAAまで昇格。クラスを上げても内容は変わらずK%は常に30%をキープ。被長打数も少なく内容に関して言えば完璧な年となりました。
 今年はキャリアで初めてシーズン開幕を故障なしで迎えAAAからスタート。被本塁打数は増えたものの、K/BBは変わらず好投を続けると5月にメジャーに昇格。5試合に先発してQSが3回とルーキーにしては上々の結果を残しましたが、枠の都合で1ヶ月足らずでAAAに降格。さらにその1ヶ月後メジャーに再昇格しますが、前回と異なり精彩を欠いた投球が続いた後IL入り。9月にはトミー・ジョン手術が必要であることが判明しシーズンエンドとなりました。
 アマチュア時代から大きく変わったのは速球の種類。主体をシンカーから4シームへと変更したことが功を奏し、容易に空振りを奪えるようになりました。デリバリーもよりエクステンションを意識したものになっており、映像だけみるとアマチュア時代とは別人です。空振りを奪える高さへのコマンドも優秀で、高いK%を維持できる要因となっています。
 また、浮き上がる軌道の4シームと対となるスプリットチェンジを習得したことも奪三振能力の向上につながっているでしょう。
 内容面では文句なしの成長を遂げていますが、耐久性は不安だらけ。毎年のようにIL入りしておりシーズン100イニング以上を投げた経験はありません。
 今年はとどめかのようにトミー・ジョン手術を受けることになっており、ガラスのエース化に拍車がかかっています。
 復帰後も稼働率を気にしながらの起用が続きそうです。


6(172) カーソン・セイモア(Carson Seymour):RHP:右投右打:6-6/260:Kansas State:$291.4K($291.4K)

90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマーク。アウトピッチは鋭く曲がるスライダー。カーブは向上の兆しを見せているが、チェンジアップはまだまだ。コントロールに不安がある。リリーフ向き。

成績

 ドラフトイヤーにRkで4試合に登板したのち、2022年に本格的にプロデビュー。Aで防御率1点台の好投を見せ早々にA+へと昇格。A+でも好投を続けるとシーズン途中にダリン・ラフとの交換要員の一員としてSFへと移籍します。不安視されていたコントロールではそれほど苦しむことなく、四球数を少なく抑えたことで長いイニングを投げられるようになりました。
 2023年はAAからスタート。開幕からローテーションを守り続け、2年連続となる110イニング以上をクリア。内容は若干悪化しましたが、打ち込まれることが増えたというほどではなく、仕事量を考えると悪くないシーズンとなりました。
 今年はAAAでスタート。打者有利な環境のためか失点が大幅に増加。内容も悪化してしまい、開幕から故障なく先発しつづけましたがついにメジャーに呼ばれることなくシーズンを終えました。
 スペックはアマチュア時代とさほど変わらず。変わったのはコントロールでシンカー系の速球をゾーン内に投げ込み続けることができるようになり、大量のゴロアウトを奪うことができています。
 変化球はスライダーに続く球種がなく、クラスを上げるにつれて奪三振数が減り続けています。ただ、上述の通りシンカー系の速球でゴロアウトを狙うスタイルのため無理に球種を増やすよりも、使える球種を磨いていった方がいいのかもしれません。
 3年間で1度もIL入りしていないタフネスさは2巡目指名のハメルに負けず劣らず。ハメル同様生きの長い選手になりそうです。


総括

 1巡目で指名したクマー・ロッカーはメディカルチェックの結果がよろしくなく契約合意に至りませんでした。しかし、この年の全体を通して見てみるとロッカーと契約に至らなかったことがそれほど大きな痛手とはなっていないようです。
 ドラフト以降で最も出世を果たしたのはクリスチャン・スコット。大胆なモデルチェンジが功を奏し、マイナーでは圧倒的な成績を残し続けました。故障続きで耐久性に不安があり、今年のトミー・ジョン手術でしばらく目にすることがない点は残念です。
 ドミニク・ハメルとカーソン・セイモアーも毎年大量のイニングを昇格しながらAAAにまで昇格しており、メジャー昇格は目前に迫っています。
 投手の戦力化は成功しつつありますが、一方で野手は厳しい結果となっています。TJシュワーツが奮闘していますが、1Bというポジションを考えるとメジャー定着は難しいでしょう。


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