3年後...2018MLBドラフトレビューCHC
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント
1(24). ニコ・ホーナー(Nico Hoerner):SS:右投右打:6-1/200:Stanford:$2.724M($2.724M)
コンタクトスキルに優れ、ラインドライブの打球を広角に飛ばすことができる。追い込まれてからも粘り強さを見せ、簡単にアウトにはならない。早いカウントから勝負を仕掛けるが、何でも打ちにいくわけではなくボールの見極めは悪くない。体格はまずまずだが、大学ではキャリアを通じて長打が著しく少なく、この点については本人の心がけ次第か。スピード、ハンドリング、レンジ等は、SSとして十分だが肩の弱さがネックであり、将来は2B転向か。リーダーシップの高さはプラス評価。
持ち前のヒッティングツールを武器にマイナーをわずか1年半で卒業し、19年にはメジャーデビューを果たしました。出世の早さは18年ドラフトクラスの中でもトップクラスでしたが、その後の活躍度合いは出世の早さに比べると見劣りします。打率はメジャーでもハアベレージを残しているため、自慢のヒッティングツールに問題はありませんが、あまりにも少ない長打がネック。21年は故障があったとはいえ、シーズン途中で自身の上位互換とも言えるニック・マドリガルをチームがトレードで獲得しており、レギュラーは安泰とは言えません。マドリガルとの夢の18年ドラフト1巡目指名二遊間を組むという可能性も否定できませんが、チームはオフにアンドレルトン・シモンズとも契約しており、競争相手は多くハードルも高いです。マドリガルやシモンズとの差別化を図るのであれば、長打を増やすことが必要ですが打球が上がらないスイング軌道なのか、内野の頭を越すかどうかという打球が多くそれも厳しいでしょう。守備ではやはりSSを任すことが難しいのか2Bをメインに守っていますが、2Bではプラスの働きを見せているようです。
2(62). ブレネン・デービス(Brennen Davis):OF:右投右打:6-4/175: Basha HS:$1.1M($1.060.9)
バスケットボールでも注目されていた身体能力先行型のタレント。打撃ではパワーポテンシャルの高さが光る。それを十分に発揮するため、トレーニングを積み、体重がついてきたとはいえまだまだ線が細い。コンタクトスキルの粗さも指摘されており、じっくりと育成する必要があるだろう。スピードを活かしたCF守備は申し分なく、肩の強さも問題なし。
19年にAでプチブレークを果たすと中断をはさんだ21年はA+/AA/AAAで100試合に出場し、19HR、OPS.869をマークする好成績を残し開幕前のMLB公式のプロスペクトランキングでも15位につけるほどのトッププロスペクトへと成長しました。身体能力の高さを上手く試合に落とし込むことができており、特に打撃では極端に打率を落とすことなく長打を打つことができています。ピッチセレクションに粗が見えますが、チームのOBのホルヘ・ソレアーのような三振が多く打率もそれほど伸びないけれど大量にHRをマークするスラッガーになるのではないかと予想しています。ドラフト時からいい意味で体重をつけており、それもパワーの源となっているようです。
2C(77). コール・ローダラー(Cole Roederer):OF:左投左打:6/175:Hart HS:$1.2M($775.1K)
パワー&スピードを体現するタレント。長い腕を上手く使ったスイングで、ハードコンタクトを生み出す。グラウンド全体を使った打撃ではないが、引っ張った時の打球は目を見張るものがある。アプローチは慎重で、四球をよく選ぶ。スピードは走塁・守備共に生かされており、試合では常に存在感を放っている。肩に強さは平凡だが、捕球から送球までの時間を短くすることでカバーしている。
指名当時はデービスと双璧をなすハイシーリングな高校生OFとして期待されていましたが、現在はデービスに大きく水をあけられています。21年は故障があったためほとんと試合に出ておらず、アピールの機会さえなかったのが辛いところです。また、アームの弱さがネックとなってLFが主戦場となっており、トレードピースとしてのバリューも落ち気味。
2C(78). ポール・リチャン(Paul Richan):RHP:右上げ右打:6-2/200: University of San Diego:$450K($762.9K)
常時90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球の球威に欠ける分、タイミングを外す変化球を駆使し、打者を打ち取る。コントロールがよく、全ての球種をストライクゾーンに投げ込むことができる。一方で打者を圧倒するほどのクオリティの高い球種はなく、デリバリーもシンプルなため簡単に打ち返される場面が多い。デリバリーに癖がなく体格も先発として十分であるため、将来は耐久性のあるローテーション4~5番手か。
当時のレポ通りのままで、プラスピッチはないもののストライクゾーンに集めるコントロールのよさでスターターとして投げ続けています。19年のシーズン途中にはニック・カステヤノスとのトレードでDETに移籍しました。ストライクスロワーなのは悪いことではないのですが、細かいコマンドも球威もプラスの変化球も備わっていないため、AAで投げていた21年は被本塁打が多くなりました。打球を上げられることが多く、遅い球速帯でGB%が30%台なのも不安材料です。メジャー一歩手前までは昇格できるとは思いますが、メジャーでわざわざ使うメリットがあるかと言われると微妙です。
3(98). ジミー・ヘロン(Jimmy Herron):OF:左投右打:6-1/195:Duke:$520K($570.6K)
アプローチのよさが最大の武器。ボールの見極めが非常によく大量の四球選ぶことができる。コンタクトスキルにも優れているため、三振は少なく大学でのBB/Kは毎年素晴らしい数字を残していた。パワーに欠け、長打にはそれほど期待できない。スピードも平均以上で、高い出塁能力が活かせるリードオフマンタイプ。CF守備も上手いが、肩の強さは平凡。
優秀なアプローチはプロでも見せており、19年は110試合に出場してBB%は10%弱をマークしました。一方で、それ以外の成績はジリ貧に陥っており、全体で見ると打撃は平均かそれ以下。自慢のスピードで存在感を示したいところですが、同年は21盗塁で10個の失敗と突出しているわけではありません。19年途中で金銭トレードでCOLに移り、迎えた21年でしたが故障でほぼ出場なしと厳しい状況が続いています。
4(128). イーサン・ロバーツ(Ethan Roberts):RHP:右投右打:5-11/170: Tennessee Tech:$130K($426.1K)
ソリッドなタイプのリリーフプロスペクト。速球は最速でも、93マイルと球威に欠けるが、キレのいいカッターのように曲がるスライダーとのコンビネーションで大量の三振を奪う。チェンジアップ、カーブといったタイミングを外すボールも投げられるが、試合ではそれほど使わない。コントロールがよく、四球は少ない。高いK/BBの数字をたたき出すことができるが、いかんせん球威不足のため一発に泣かされる可能性も。セットアッパーにつなぐまでのリリーフという役割に収まるだろう。
トラックマン等計測機器の発達により注目をあつめるようになりました。速球のスピードは2マイルほど上がりましたが、それ以上に4シームのスピンレートの高さが目立っています。高めに投げ込んで空振りを奪うことに成功しており、当時懸念していた被本塁打はプロ通算94試合で3本と非常に少なくなっています。アウトピッチのスライダーもスピンレートマシマシで、縦に割れる変化で空振りを大量に奪っています。マイナーでは主にクローザーを務めており、メジャーではその役割の本命が不在であるためシーズン途中でメジャー昇格、クローザー抜擢もあり得るでしょう。
5(158). アンディ・ウェバー(Andy Weber):2B:右投左打:6-1/190: Virginia:$400K($317.6K)
内野で複数のポジションを守ることができる汎用性の高さが魅力。2B/SS/3Bをそつなくこなすことができ、ミスも少ない。スピードは平凡なため、2B/3Bでの起用が多いだろう。打撃ではコンタクトスキルの高さが光り、広角に打球を飛ばしアベレージを残すことができる。パワーツールに欠けており、レギュラーとして定着することは厳しそう。
19年はAで120試合以上に出場し、OPS.738と及第点の成績を残しましたが21年は故障で出場試合数は激減。プレー機会を求めて出場したAFLでは好成績を収めました。相変わらずパワーレスな点は否めませんが、フルシーズンプレーした19年は36二塁打、8三塁打とHR以外の長打は多くマークしているので、最低限のものは有しているのでしょう。レギュラークラスには厳しいですが、控えのユーティリティとしてならベンチに置いておくのも悪くないでしょう。
6(188). コール・フランクリン(Kohl Franklin):RHP:6-4/190: Broken Arrow Sr HS:$540K($245.6K)
ドラフトイヤーは故障でプレー機会が限られていた。故障前は最速でも89マイルだった速球が93マイルをマーク。体格を考えると今後もスピードは上昇していく可能性がある。アームスピードが全く落とすことなく投げるチェンジアップの評価も高い。その他にめぼしい変化球がないため、先発として投げるならもう1球種ほしいところ。投げ下ろすようなデリバリーで、速球に角度をつけることができる。父親は元メジャーリーガーのライアン・フランクリン。
19年はA-で好成績を残しましたが、21年は肩の故障で登板は0に終わりました。ただ、当時のレポ通り球速は伸び続けており今年のスプリングトレーニングでは実戦形式の練習登板で99マイルをマークし話題となりました。故障歴が多く、その点では不安を抱えていますが持っているポテンシャルは非常に高いものであることも確かで、1年健康に過ごせばトッププロスペクトの仲間入りも夢ではないでしょう。
7(218). D.J.アーティス(D.J.Artis):OF:左投左打:5-9/165: Liberty University:$250K(192.5K)
出塁能力の高さがウリ。ボールの見極めに長け、三振以上の四球を選ぶこともできる。コンタクトスキルに優れラインドライブの打球を多く放つことができる。一方で出塁を第一に考えているためか、長打は少ない。スピードはCFを守るのに十分なレベルだが、肩が弱く将来はLFが主戦場となるだろう。盗塁に積極的で、成功率も高い。
故障が多いのと指名順位が低く、プレー機会が確保されてないことが相まってプロ入り後1シーズン100試合以上の出場はなしですが、持ち前の出塁能力の高さは衰えず毎シーズン四球を多く選ぶことはできています。また、盗塁成功率の高さもそのままで、ウェバーと同じくベンチ要員としては使えるでしょう。
総括(2018)
チームの方針がはっきりと分かるドラフトとなった。野手はアプローチを重視し、投手ではコントロールを重視。大学生中心のため、ハイフロアーなタレントが多く、メジャーデビューまでこぎつける選手は多そうだが、逆を言えばデビュー以降インパクトを残せそうなタレントは少なくなりそう。高校生2人を除く野手は、全員がアプローチとコンタクトスキルに高い評価を得ているが、パワーポテンシャルはイマイチというタイプ。流行りのFBRで改造できると踏んでの指名かもしれないが、ニコ・ホーナーがシーズン2桁HRを打てるようになれば御の字といったところか。野手偏重のドラフトだったため、投手のタレントが見劣りするのはしかたがないだろう。
総括(2021)
現状が当時の総括通りとなっている、良くも悪くもサプライズがないドラフトとなっています。1巡目のホーナーが早出世となりましたが、打球が上がらず長打数も伸びていません。その他大学生野手もメジャーまで一歩手前となっていますが、レギュラーとして使えるレベルではないでしょう。
一方で高校生は野手ではデービスが、投手ではフランクリンがポテンシャルを開花させつつあり、こちらはかなり期待できます。2人ともかなり粗削りですが、跳ねれば大きなリターンを得られるでしょう。