【時間動かしてみた!!AD-AS分析導入】マクロ経済学patr18
前回のおわりに、ざっくりこんなことを綴りました。
我々は需要だけで経済を見ていた
供給量を決める関数を考えるには時間という概念を導入する必要がある
ということで時間の概念を導入しようと思います。時間といっても、物価のことです。ということで、時間を動かしてみましょう。前回はこちらから!
物価とは
マクロ経済学における物価とは、一般的な財やサービスの価格水準を指します。物価は、経済全体の景気やインフレーションなどに影響を与えます。
物価が動くとどうなるか
物価が動くと、マクロ経済学では長期の概念を考えることができます。長期=物価変動する経済状態とします。
逆に、短期の経済は物価が動かない間の経済を考えているので、IS-LM分析では物価一定の世界を考えていました。これでは、一時的な経済を考える事しか出来ず、短期的に政策が有効でも長期的には政策が効かないなどといった分析を考えることができません。そのため長期の概念を考える理由があると思います。
長期経済を考えることができれば、スーパーの値札が上下していく中で需要と供給を考えれます。
物価が動くと、インフレなどの概念を考えることができます。インフレと供給は繋がっているので、ここから供給曲線を導くことができますが、後に書きますが、応用すぎるので割愛します。
AD曲線:総需要曲線
需要面から見た、物価とGDPの関係を総需要曲線となります。右下がりの関係になることを今から導出します。
また、総需要曲線をAD曲線と呼びます。Aggregate demandの頭文字ですね。
物価という概念をLM曲線に当てはめようと思います。貨幣需要=貨幣供給を次のような関係式で表します。
$${L=\dfrac M P}$$
このシリーズでは、$${L=M}$$のみでしたが、貨幣供給$${M}$$を物価$${P}$$で割った、実質貨幣供給量$${\dfrac M P}$$で表します。
すなわち、財市場均衡と金融市場均衡は次のように考えます。(単純化のため、閉鎖経済で考えます。)
$${Y=cY+C_0+I+G}$$
$${L=\dfrac M P}$$
ここで、物価が上昇するとどうなるでしょうか。$${\dfrac M P}$$が減少してしまいます。よって、金融市場では貨幣供給が減ります。
すると、LM曲線は左シフトしてしまい、GDPは減少してしまいます。この流れは金融政策と似てますね。
つまり、物価$${P}$$が上昇すると、均衡GDP $${Y}$$は減少するという関係になります。
総供給曲線は難しい
総供給曲線の導出はかなり難しいです。インフレや実質という概念を深く理解しないといけないので、割愛します。私もここの内容は難しく好きではないので、過程は書きません。
結果を申し上げますと、総供給曲線とは、供給面から見た、物価とGDPの関係のことを指しており、右上がりの関係になります。
また、総供給曲線はAS曲線といいます。aggregate supplyの頭文字ですね。
こうみると、ミクロ経済の需要曲線と供給曲線は縦軸に価格、横軸に生産量を用いるケースが多いですが、マクロ経済では、縦軸に物価、横軸に総生産量(GDP)を用います。
価格がマクロにみると物価に、生産量がマクロになるとGDPに見えてきませんか?
次回はこの総需要や総供給がシフトするとどうなるか、その要因を綴ります。そして、これまでの話を簡潔にまとめようと思います。最後まで見て頂きありがとうございます。