ソローモデルを勉強した話
ソローモデルを勉強しました。式変形が独特だと感じたので共有したいと思います。
ソローモデルとはそもそも、経済成長を分析していくために用いられます。資本と労働の比率の成長率をいろいろ操作して分析がされます
成長を表現する
成長とはどのように表現できるのでしょうか。成長は「変化率」を使うことで考えることができます。「変化率」とはこの記事で解説していますが、軽く説明します。
去年100円だったお菓子が今年120円に値上がりしたら、「20%あがった」と直感的にわかると思います。これは、100円という元の値段のうち、差額の20円の割合だけ上昇したので、20÷100で20%と求められます。
ようするに、変化率は割合なのです。差額を変化量、元の値段を元の量と置き換えますと、$${変化率=\dfrac{変化量}{元の量}}$$で求まるのです。
変化量を$${\Delta}$$で表記すると、Xを元の量とし、$${変化率=\dfrac{\Delta{X}}{X}}$$となります。
式変形開始!!
一人当たりの資本変化率
ソローモデルでは、資本$${K}$$と労働$${L}$$の比率$${k}$$から分析が始まります。
資本と労働の比率は
$${\dfrac{K}{L}}$$と表し、$${\dfrac{K}{L}=k}$$とします。
一人当たりの資本と考えてもよさそうです。この一人当たりの資本の変化率は数式で表すと
$${\dfrac{\Delta{k}}{k}}$$
と書きます。$${\Delta{k}}$$が変化量(微分などで用いられるよくあるあれです。)、$${k}$$が元の量です。
式は$${k=\dfrac{K}{L}}$$からスタートし、$${\dfrac{\Delta{k}}{k}}$$をゴールとして変形を頑張っていきましょう、
まず、$${k=\dfrac{K}{L}}$$の自然対数をとります。???となると思いますが、最終的になんとかなるので、とりあえず見てください。
$${\log{k}=\log\dfrac{K}{L}\\\,\\\log{k}=\log{K}-\log{L}}$$ となります。
次はこれを$${時間t}$$で微分します。これは合成関数の微分が出てくるので難しいです。詳しくはこの記事で解説しますので、ここでは割愛します。$${t}$$で微分すると
$${\dfrac{\Delta{k}}{k}=\dfrac{\Delta{K}}{K}-\dfrac{\Delta{L}}{L}}$$
となります。ひとまず左辺は導けました。ですが右辺はまだ式変形ができます。
右辺の変形(資本)
$$\Delta{K}$$について考察します。意味的には「時間的な資本の変化量」です。これを資本の増減を言い換えてみましょう。
資本を得るには、お金が必要です。資本は元は金融市場の投資から来るものでした。ようするに、「資本の変化量は投資と等しい」と解釈するのです。また、金融市場の均衡から、投資と貯蓄は等しいのでした。また、GDPの分配面から考えると、所得の一定量($${sY}$$)を貯蓄すると考えます$${s:限界貯蓄性向}$$。まとめると、
資本の変化量 ⇒投資 ⇒貯蓄 ⇒所得の一定量
数式に直すと
$$\Delta{K}$$ ⇒$${I}$$ ⇒$${S}$$ ⇒$${sY}$$
となります。ようは$$\Delta{K}=sY$$です。
$${\dfrac{\Delta{K}}{K}=\dfrac{sY}{K}}$$です。あと、もう一つ変形させてください。これを一人当たりに直しましょう。$${L}$$で割るのです。あと、一人当たりのGDPを$${y=f(k)}$$とします。
$${\dfrac{\Delta{K}}{K}=\dfrac{sY}{K}=\dfrac{sY/L}{K/L}=\dfrac{sy}{k}=\dfrac{sf(k)}{k}}$$
右辺の変形(労働)
$${\dfrac{\Delta{L}}{L}}$$は労働人口の成長率ですね。なので$${\dfrac{\Delta{L}}{L}=n:労働人口の成長率}$$とします
定常状態(均衡)
$${\dfrac{\Delta{k}}{k}=\dfrac{\Delta{K}}{K}-\dfrac{\Delta{L}}{L}は\\\,\\\dfrac{\Delta{k}}{k}=\dfrac{sf(k)}{k}-n}$$
となりました。
ここで、資本の成長率が0のとき、$${\dfrac{\Delta{k}}{k}=0}$$である状態を定常状態といいます。$${\dfrac{sf(k)}{k}=n}$$であると言い換えることもできます。
詳しくは明記しませんが、定常状態のときは資本が成長しないので一人当たりの資本量$${k}$$は一定と考えられます。$${k}$$が一定なので一人当たりの生産関数$${y=f(k)}$$も一定です。労働人口成長率$${n}$$が増加し続けると仮定すれば、GDPも増加していくと考えられます。
ソローモデルに触れて初日の者が作ったアウトプットですがお役に立てれば幸いです。