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夢をもつ男
子どもの頃の夢を今でも持ち続けて、なおかつ叶えちゃってる人ってどれくらいいるのかな?
まぁ少ないでしょうねぇ。
そりゃね、「戦隊ヒーロー」だったり、「仮面ライダー」だったりするわけで、叶えるのは大変でしょ。
あれは人間じゃないですからね。
俺も、今の息子(6才)くらいのころは、それこそ「仮面ライダー」になりたかったのかなぁ。憶えていない。
夢って大人になると、現実を知って、かなりリアルなものを描き始める。「家を買う」とか「どこどこに行く」とかね。
頑張れば叶いそうなものになっちゃう。だから夢っていうか目標。
やっぱり、子どもの頃の夢っていいよな。
文字どおり夢があって。
叶う、叶わないじゃない。なりたい!っていう純粋な気持ち。
あれが、本当の「夢」っていうんだろうな。
—
風呂場で小さい怪獣が暴れておる。
水鉄砲を俺の急所(!)めがけて連射してくる。
こちらも、それならば!ともう一個の水鉄砲で応戦。
もちろんターゲットはタケノコの様な急所である。
すると怪獣はこう叫んだ。
怪獣「俺はジオウだ!」
ジオウとは、現在放送中の「仮面ライダージオウ」。
怪獣と俺は結構はまって毎週見ている。
(もっというと、前シリーズの仮面ライダービルドからはまっている)
「おまえ、ジオウなの?」
怪獣「そうさ、俺はジオウさ!」
「いやいや、お前はただのガキだぜ」
怪獣「違うよ!ジオウだよ!」
完全になりきっている。目がいっちゃってる。
こうなると止まらないので、戦いを終えるまで、
俺は敵、怪獣はジオウという図式。
まずはこの戦いを粛々と終えよう。
「や〜〜ら〜〜れ〜〜〜た〜〜〜」
タイミングを見計らって、俺はそう叫びながら、お湯に沈んだ。
無念。
怪獣は何やらポーズをきめ、徐々に6才の子どもに戻って行く。
お湯に浸かりながら、元ライダーの怪獣くんに聞いてみる。
「おまえの夢はジオウになることなの?」
怪獣「そうだよ。でもジオウは無理だよ」
「え、そうなの!?なんで?諦めんなよ〜」
怪獣「だってさ、変身ベルトがないとさ」
「あ〜そこ?」
怪獣「でもさ、変身ベルトがあればなぁ〜」
なるほど。はいはい。
そうやって買わせる作戦か。
クリスマスも近いっちゃ近いしな、けど、甘いぜ怪獣よ。
おまえは前シリーズ、ビルドの変身ベルトをもう持っているだろうよ。
家に変身ベルトは何個もいらねーんだよ。
「あ〜あれだ、前に買ったビルドの変身ベルトあるじゃん」
怪獣「パパ、バカなの?」
バカ!?
怪獣「あ〜れ〜は〜。ビルドの変身ベルトでしょ?』
「そうだよ。」
怪獣「あれじゃジオウには変身できないんだよ?わかる?」
なぜに上目線?
まるでダメな生徒にうんざりしている先生のような顔。
ちょっとまって下さいよ、先生。
息子の夢を叶えるために、変身ベルトが必要なんです!
なんて本気で思う親父がどこにいるってんだよ。
「あのね、ハッキリ言うけどね、買わないよ」
怪獣「なんで!?」
「なんで!?いやいや変身ベルトはもういらないよ」
怪獣「でもいいよ。パパがそう言っても大丈夫だぜ。
俺、サンタにお願いしたからさっ!」
「サンタ?お前バカじゃないの?サンタにお願いしたって無理だぜ」
怪獣「なんでさ」
「だって結局買うのはパパだぜ」
(もういいや。サンタの存在がどうのこうのは!もう6才だしな!)
怪獣「大丈夫。サンタ、きっと買って来てくれるよ。」
「いやいや〜どうかなぁ〜〜」
怪獣「はぁ。。もうさ、パパってさ、、、」
「なんだよ」
怪獣「夢がないよなぁ〜」
・・・・・・・・。
仕方ない・・・・・
夢のない男には、なりたくないからな。。