それは何色か
俺はつくづく思うことがある。
なんで色って決めつけちゃうんだろうね。
そりゃ大人になれば、なんとなく決まってくるだろうけど、
子どものころはそれこそ自由でいいじゃんね、と思う。
例えば、空の色って何色?って聞くとだいたいの子どもが「青」という。
でも実際は夕方はピンクっぽかったりするし、朝は黄色かったりもする。
悲しい時に見た空は黒っぽく見えたりするかもしれない。
だから、空って何色?の答えは「青」が正解ではない。
むしろ子どもたちには正解なんてないんだよ、と言いたい。
だから空を紫や緑で塗る友達をバカにするのは違う。
それが、なぜにそうなってしまうのか。色々な要素が彼ら彼女らに、
「空は青いんだ」と思わせている。
別に自分がデザイナーだからとか、クリエイティビティ溢れる子どもになって欲しいとか、そんなんではない。
普通に考えて、変じゃね?と思うし、そこに疑問をもたない方が怖い。
だから、俺は息子にも「空は一色じゃねーぞ。」といつも言っている。
「まぁ青でしょ」と思うのはもっと先でいいと思っているのだ。まだ6才。しばらくは、モノの色なんて決めつけないでいてほしい。
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とある朝。保育園までの道のり。
敵がいつものようにサラっと唐突に攻め込んでくる。
敵「ねぇパパ。もう秋だねぇ」
今回はなんとも情緒的なことを言う。そうだなぁ季節なんて知らないうちに移ろいでしまう。歳をとる毎にそのスピードも早くなる。
夏から秋なんて知らないうちに変わっている。
「そうだね。秋だね。でもさ、なんでそう思うの?」
敵「だってさ、葉っぱの色が変わってるじゃん」
「葉っぱ?あぁそうだな。もう緑が赤に変わりはじめてるな」
敵「そうそう。あとさ、オレンジとかさ」
「おお、そうだねオレンジね」
敵「あとピンクとか」
「ピンク?」
こいつ、どこを見ているのか。ピンクに見える葉っぱなんて見当たらない。
「どこがピンク?」
敵「いやだからさぁ、そこだよ」
(どこだ・・・・・・わかんねーよ。)
いやしかし、いつも「色を決めつけるな」と教えてる身としては、ここは否定してはいけない。そう、否定すること、それすなわち、自分を否定することになってしまうからだ。
「お、おおお。そうだな、そこら辺がね、ピンクだな」
敵「そうそう。なんかさ、オレンジと混ざってるよね」
「はぁ?いや、、うん、そう!そうだな。混ざってるねぇ〜」
敵「でもさ、どっちかって言えば緑が多いよね、まだ」
「お!?おお!そうな!(それなら俺にも見えるぞ!)だってまだ秋になりはじめだからよ」
敵「でもさ、だんだん変わっていくよね」
「そうだねぇ」
敵「まずは赤くなって、そのあとは〜〜」
(オレ、、ン、、、、)
敵「ピンクだ」
「お、おお!!!そう!ピンク!」
敵「で、それからオレンジでしょ」
「そ、そうな!そうだよな!!」
自分でまいたタネに毎回振り回されている。
ちなみに息子が好きな色はレインボー。
ここだけは、親の思ったとおりに育っている。