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スイスへ行きたいか〜⁉︎ハイジに逢いたいか〜⁉︎国境横断バスに乗って、ウルトラお高い国の都に、ウルトラお安く旅する方法。

「うん、行きて〜!行きてぇよ〜!!ハイジ婆ちゃ~〜ん!!!」
チェコに暮らしていた時分、行かなきゃ死ねない外国の街No.1が、スイスの首都ベルンだった。
とは云え、ヨーロッパの中で、物価や所得水準が割かし凡々なチェコからでなくとも、スイスと国境を接するドイツ・オーストリア・イタリア・フランスのリッチな国民にとってさえ、その国境跨ぎは、お財布的に二の足を踏む越境なのではないだろうか?唯一、リヒテンシュタインだけはフランケンシュタインの如く謎であるが。。
スイス自身も、自国がアルプスの様に高飛車に留まっている事情を重々承知していて、外国からの旅人に対し、事前にスイストラベルパスやハーフフェアカードを販売して、交通費や遊興費を還元する事により、観光客を繋ぎ止めている。但し、のんびりとアルプスを登って行くユングフラウ鉄道には、適用不可なので要注意(><)。私ぁスイス政府の回し者ではありませんが。。

 私の場合、ベルンには行かなきゃ死ねなかったけれど、他のスイスの街や山には行かなくても充分に死ねる心境だったので、その都に如何にリーズナブルに辿り着き、旅を最大限魅力的に彩ってくれる道のりと時季を、来る日も来る日も思案し続けた。

 ジュネーブやチューリッヒ、バーゼルにもヨーロッパのいろんな街からRyanairなどのLCCが運航してはいるが、我が丸眼鏡には、さほど魅力的に映らなかったし、ベルンと直行便を結んでいる路線は、記憶が確かならば、キプロスなどレアな数ルートのフライトに限られていた。で、私の選択肢は、ベルンに国境を跨いでバスでアクセス出来るドイツのミュンヘンか、オーストリアのインスブルックか、フランスのリヨン経由の3択に絞られた。その内、ミュンヘンとインスブルックにはプラハからバス旅で簡単に旅出来るので、今回はフランスのリヨンから国境を跨いで、4500円くらいのFLIXバスでベルンに渡るルートを選択した。ちなみに、途中で停車するスイス国内のジュネーブやレマン湖畔などから乗車すると、乗車時間は短時間なくせに、走行距離に反比例して、料金は格段に高くつく。つまり税金ばかりボッタクられることになるので要注意(><)。私ぁFLIXバスの回し者でもありませんが。。


 で、リヨンに行く前に、行かなきゃ死ねないエリアの一つだった南仏に立ち寄りたくて、プラハから南仏のマルセイユまでRyanairで3500円程の早朝便を手配した。私ぁRyanairの回し者でもないので、手荷物の追加料金を課されない為に、コンパクトなNorth Face一個で身軽に旅に出た。正解だった!御フランスの南海岸は、実にトレビアーン(素晴らしい)!街に燦燦と陽光が降りそそぎ、バッタモンを許さぬ高貴なプライドや、さっきまで地中海を泳いでいたプリプリのシーフードまで、皆目期待を裏切らなかった。
マルセイユのバスターミナルから徒歩数分の場所に東横インが在って一泊8000円程で朝食付、しかも部屋が広い。街もデカいので、午前中に到着してどっぷり暮れるまで、くまなく歩き廻った。マルセイユからリヨンはまたFLIXバスで2500円程度だったかな。予算が浮いたと感じた分だけムール貝をガッつける。

数々の名画の舞台にもなったマルセイユ。
リヨンの街外れに在る素敵な騙し絵のアパルトマン《Le murs des Canuts》

 で、リヨンから朝イチのFLIXバスで国境を跨いで、遂にスイスに進入。途中、ジュネーブの乗り降りで一時間近く停車、レマン湖畔の不法越境パスポートチェックでも一時間近く停車して、パトロールが乗り込んで来たりした後、かっちり正午にお待ちかねのベルンに到着。かなり街外れに到着するので、のんびりとアルプスを眺めながら歩いて街に入ることになる。宿に着くと滞在日数+αの無料電子交通チケットを発行してくれる。朝食ビュッフェが美味しいと評判のホステルに泊まって一泊7500円程×2泊。朝メシ前から散歩に出て、陽が暮れるまで2泊3日、夢の中に居る様な景色に陶酔し、ひさびさに浮き足立つ様な浮き浮き感で歩き廻った。
ちなみに、東横イン・マルセイユの朝食ビュッフェに置いてあった個装のベルギーワッフルを数個もらっておいて、遠くにアルプスを眺めながらコーヒーを啜る度に一個ずつ開封した、笑。美味しい珈琲一杯千円前後かな。

Heidiって、実は超古風なお名前らしく、今やアルプスのハイジお婆ちゃん?


「あの山裾まで旅してみると、ハイジみたいな娘や、爺さんの愛犬ヨーゼフみたいなんが駆け回っとるんかの〜?」などと空想も交えながら、お高い珈琲をウィスキーの様に、ちびりちびり啜って、甘いワッフルを流し込んた。でも《ハイジ》って女性のネーミングは、日本で云う《カメさん》や《ウメさん》みたいに一昔前のお名前らしく《ハイジ婆ちゃん》に遭遇するのは、なかなかレアなご時世らしいで、笑。
大正14年に、この物語が我が国に初めて紹介された頃には《ハイジ=Heidi》は、当時の民衆に憶え易いように、日本名で《楓=かえで》と改名され、タイトルも《アルプスの少女ハイジ》ではなく《楓物語=かへでものがたり》と云う和風に改題されてしまっている。
ついでにペーターは《辨太=べんた》クララは《久良子=くらこ》アルム爺さんは《爺=おやじ》デーデ叔母さんは《伊達さん》ロッテンマイヤーさんは《古井さん》などなど、笑笑。で、肝心のヨーゼフは原作に全く登場しないと云う点が唯一残念過ぎるが、そう考えると、尚更、1974年にこのアニメシリーズをニッポンのお茶の間に届ける際、ヨーゼフなどのキュートなキャラを軒並加えて、日本人のハートを胸キュン射止め、時代を跨いで世に愛を振り撒き続けた宮崎駿や高畑勲の仕事は、珠玉の功績である。

初秋のベルンめちゃくちゃ綺麗!街もアルプスの眺めも最高!

 帰り道、仕事の〆切に追われていた私は、鉄道とバスでベルン駅からバーゼル空港へ急いだ。50ユーロ紙幣を券売機に挿入すると、お釣りの2スイスフラン硬貨が一枚、チャリ〜んと落ちて来た。空港から最終便のRyanairでプラハまで3000円程で、最後まで激安く飛んでしまったが、時間に余裕ある方は、ミュンヘンにFLIXバスで横断する東西スイス国境跨ぎ旅がドススメである。ミュンヘンに着いて、物価がスイスより断然割安に感じられたところで、美味しいソーセージで生ビールを呑みたいではないか。ちなみに、FLIXバスでミュンヘンからノイシュヴァンシュタイン城近くの村《シュヴァンガウ》にも一日一往復かな?運行しているはず。

ベルン駅〜バーゼル空港間の釣銭2スイスフラン硬貨は、我が旅の戦利品なり。


 で、チェコ以外のヨーロッパの街に《恋に落ちたランキング》第1位は、やはりベルン!2位ボローニャ、3位パリ、4位ヴロツワフ、5位ローマ、6位ブラショフ、7位リスボン、8位ベルリン、9位ドゥブロブニク、10位タリン...ヤバい、カッパドキアもウィーンもブダペストもヘルシンキもクラクフもバルセロナも前述のマルセイユもランクインさせたいのに。。枚挙に暇なく、やはり、陸続きの欧州に暮らしていると、特に夏旅の空の見晴らしが、すこぶる良好でござる。

余談、
 スポーツ狂の私的には、2014年のサッカーW杯ブラジル大会で、メッシの君臨する隣国・アルゼンチンを延長戦土壇場まで追い詰めたスイス代表にも、ぞっこん惚れた。寛容な移民受け入れ策の恩恵に与り、人種の坩堝と化した欧州の涼しい永世中立国代表チームは、豊かなイマジネーションと堅守からカウンターを仕掛ける所謂《弱者のフットボール》ながら、その理想型をピッチに堂々と体現し、南米の熱く滾るサッカー王国をジタバタと慌てさせ、新たなサッカー勢力図をアップロードさせ、ビビッドな赤に染め抜かれた純白の十字架を、そのマップのハートにクールに撃ち込んで《スイスここにあり》と、世界のフットボールマニアに強烈なインパクトを残したまま、ブラジルを去った。

追伸、
 現在、ドイツで開催中のEURO2024でもスイスがイイ味出しています。去る日曜日のドイツvsスイスも、後半アディショナルタイムまで、完全アウェイのスイスが1-0でリードを奪う波乱含みの大熱戦を演じてみせました。(結局、逃げ切れずに1-1で引き分け)

ウチの近所のスラヴィアプラハのスタジアムで、生観戦したチェコvsスイスのスイス側サポーター席。野郎ども、ウルトラマンみたいでバリかわいいの〜〜!!

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