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永田しおり、決意のデンマーク武者修行

昨年末、熊本での第24回世界女子選手権終幕の余韻冷めやらぬままに、広島で日本選手権があり、それが終われば年明け最初の週末から日本リーグが開幕し、そのまま3月のプレーオフまで連戦続きと、日本女子界は目まぐるしく時を刻み続けている。

キャプテン原希美の負傷離脱により、急きょ、その荷を負うことになった永田しおりは、「彼女はそういう立場の方が合っていると思う」という、所属チーム・オムロンの水野裕紀監督の言葉どおり、プレーで、言葉で、態度で、おりひめジャパンを率いて大会を駆け抜けた。

そして、日本選手権を終えて、新しい年を迎えたばかりの1月3日、オムロンが今シーズンの日本リーグ初戦を戦う1日前に、永田はデンマークでの2ヵ月弱の武者修行へと旅立った。世界選手権で改めて痛感した「世界との差」を少しでも埋めるために。

3月のプレーオフ出場に向けて、大黒柱の永田が抜けるのはオムロンとしては痛いに決まっているし、永田本人もそれは理解している。それでもこのタイミングで一歩を踏み出したのはどうしてなのか。永田本人に聞いた。

「向こうでは(同じ日本代表の池原綾香がいる)ニュークビンで練習や試合をやらせてもらうことになっています。契約ということではないので公式戦には出られないけれど。

私の(DFでの)ポジションは、相手のポストを守ることが必要になるし、そのための接触の強さやパワーをつけるには、日本でやるよりは海外の方がいいんじゃないかと以前から感じていました。

じつは東京オリンピックや熊本世界選手権が決まった時点で海外に行きたいということはチームと話していたんです。

ただ、チームの事情だったり、あとは、日本は組織的なプレーが多いから、海外に行くことで、DFの3枚目のリーダーである私が代表合宿に参加できなかったり、遅れて参加することになったりということが重なるとマイナスになるんじゃないか、と黄さん(慶泳、前オムロン総監督)に言われたこともあって(行かなかった)。

でも、今季はリーグ戦が3ヵ月しかないし、その3ヵ月の間に日本のプレー基準に合わせてしまうと、世界選手権まで対海外勢に積み上げてきたものが国内基準になってしまうというか。

それだったら、試合勘がなくなるのは一種の賭けではあるけれど、ヨーロッパに行って、当たりの強さとかを意識して経験を積んでいくことが大切だと思って。

とくに、世界選手権では大きなポストに対しての守備など、ヨーロッパ勢に対してまだできていない部分も多かったので、ニュークビンには(世界選手権で試合をした)スウェーデンのポスト(ラーゲルクヴィスト)の選手もいますし、そうした選手といっしょにプレーできたら、オリンピックに向けて意味があると思っています。

世界選手権ではDF面で相手のポストにやられて7mTを取られたり、退場が出たりしたのが痛かったから、そこを守れたらオリンピックではいい試合になるはずです。

熊本での10位は満足していないですし、日本、東京での開催ということで、自分にとっても、ウルリク(キルケリー日本女子代表監督)にとっても4年間の集大成になるこのオリンピックでは、しっかり結果を出したいと思います」

プレーオフがけっして保証されていない状態でチームを離れる今回の武者修行は、簡単な決断ではなかったはず。

この永田の決意が結果につながることを願わずにはいられない。


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