日本も世界トップクラスの五輪新競技!”スポカレ流”スポーツクライミング観戦ガイド
スポーツクライミングは、垂直、またはそれ以上に前傾した壁を、石のような突起物(ホールド)を手がかりにして登る競技。頼れるのは素手と足だけという、運動の極限を追求するスポーツです。
競技としてのスポーツクライミングは1989年に生まれたばかりですが、フリークライミングを愛好していたヨーロッパを中心に急速に人気が高まりました。日本でも気軽なエクササイズとして女性からの人気も強く、クライミングジムは全国で約600店舗も展開されています。
3種目に分かれているスポーツクライミング
競技性がシンプルな分、運動能力だけでは測れない奥深さがあるのもスポーツクライミングの特徴。スポーツクライミングでは3つの種目が公式の協議会で行われ、オリンピックでは3種目の合計ポイントで順位を競います。まずは、3種目の内容を解説します!
スピード
壁の高さ:15m
頂上まで登るタイムを競う。
2つに並んだ壁を使用し、2人ずつスタートしていく。
今年2月10日に初めて行われた「スピードジャパンカップ」の最高タイムは、男子が6秒台、女子が9秒台。あっという間に決着がつく。
以前「SBI FXトレード」のCMでは世界チャンピオンのクライミングをフィーチャーしていたので、記憶にある人も多いはず!
ボルダリング
壁の高さ:4m程度
ホールドが厳しく設置された複数の難コースを、4分以内に登れた数を競う。壁を見ながらルートを考え、体の柔軟性を駆使してクリアを目指す。知力や判断力も求められる。
ボルダリングは日本が最も得意とする種目で、実力は世界トップクラスの中でもさらにトップ!
リード
壁の高さ:15m以上
6分の制限時間でどこまで登れるか競う。高度は、ホールドに振られた番号で計測される(30番目のホールドで落ちたら、高度は30)。
頂上付近での駆け引きは、オーディエンスも固唾を呑むほどの緊張感に包まれる。
東京オリンピックの出場枠は?
東京オリンピックのスポーツクライミングに参加できるのは、男女20名ずつ。各国最大2名ずつが出場できます。
日本は開催国枠として男女1名ずつの枠を獲得済み。今後行われる指定大会で、もうひとつの枠の獲得を目指しながら代表選手を選出していきます。指定大会の複合で決められた順位以内に入ることで、その選手はオリンピックへの出場権が与えられます。
・世界選手権←上位7位
・オリンピック予選大会←上位6位
・各大陸選手権←各優勝者1名ずつ
日本代表の選考方法
日本代表の選考は、オリンピック出場権のルールをベースにしています。
・世界選手権(東京) 8/11~21
7位以内の日本選手2名までが選考対象
・オリンピック予選大会(フランス) 11/28~12/1
6位以内の日本選手2名まで選考対象
・アジア選手権(岩手) 2020/4/27~5/3
優勝者1名が選考対象
以上のとおり、最大5名までが選考対象者になります。また、上記3つの大会でいち早く選考対象となった日本人トップの選手は、「優先選考選手」として代表が内定します。
ここから先は、選考対象者の数でルートが分かれます。選考対象者数が2名の場合を除き、2020年5月16~17日に開催される「コンバインド・ジャパンカップ」(以下CJC)で内定者が決定します。
・3~5名の場合
優先選考選手1名を除いた選手のうち、CJCの最上位選手が代表内定
・2名の場合
2名とも代表に内定。CJCで選考は行われない
・1名の場合
優先選考選手の1名がそのまま代表内定。残り1名は上記3大会に出場した選手のうち、CJCの最上位選手が代表内定
・0名の場合
出場枠が開催国枠の1名のみとなる。上記3大会に出場した選手のうち、CJCの最上位選手が代表内定
※(2019年11月9日追記)
スポーツクライミングの代表選考を巡り、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が事前説明なしに選考方式を変更した可能性があり、日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)がスポーツ仲裁裁判所に提訴しました。
IFSCは10月、最大5名まで取れるとしていた出場枠は最大2名までとする解釈を通知。オリンピック予選大会などどのような扱いになるのか、注目されています。
日本代表候補の選手たちを紹介!
<男子>
楢崎 智亜
生年月日:1996年6月22日
出身地:栃木県
コンバインドのWCランキング(以下、全て2019年8月6日現在):1位
2019年ジャパンカップ各種目の成績
ボルダリング:2位
スピード:4位
リード:2位
コンバインド:1位
2019年のCJCで2連覇を達成した日本男子のエース!世界選手権の複合で金メダルを獲得。弟の楢崎明智とともに兄弟での五輪出場なるか。
藤井 快
生年月日:1992年11月30日
出身地:静岡県
コンバインドのWCランキング:2位
2019年ジャパンカップ各種目の成績
ボルダリング:6位
スピード:2位
リード:1位
コンバインド:3位
都内のジムで働きながら世界中で活躍する「会社員クライマー」。鍼灸師の資格を持つ妻が健康面でサポートするなど、家族でオリンピック出場を目指す。
原田 海
生年月日:1999年3月10日
出身地:大阪府
コンバインドのWCランキング:11位
2019年ジャパンカップ各種目の成績
ボルダリング:25位
スピード:12位
リード:9位
コンバインド:2位
2018年に初出場したボルダリング世界選手権で優勝。「アイドル系クライマー」としても注目のホープ。
<女子>
野口 啓代
生年月日:1989年5月30日
出身地:茨城県
コンバインドのWCランキング:2位
2019年ジャパンカップ各種目の成績
ボルダリング:2位
スピード:3位
リード:1位
コンバインド:2位
小学生のころから頭角を現し、2008年には日本女子として初めてボルダリングのワールドカップを制覇した。ワールドカップの年間総合優勝を4度も経験するなど、抜群の実績を誇る。世界選手権で銀メダルを獲得。
野中 生萌
生年月日:1997年5月21日
出身地:東京都
コンバインドのWCランキング:3位
2019年ジャパンカップ各種目の成績
ボルダリング:1位
スピード:1位
リード:7位
コンバインド:1位
2016年の世界選手権では銀メダルを獲得。2019年にスニーカーベストドレッサー賞を受賞するなど、スポーツとファッションの両立も追求する。
伊藤 ふたば
生年月日:2002年4月25日
出身地:岩手県
コンバインドのWCランキング:14位
2019年ジャパンカップ各種目の成績
ボルダリング:3位
スピード:2位
リード:9位
コンバインド:6位
2017年、史上最年少となる14歳9ヵ月でボルダリング・ジャパンカップを制覇。伸びしろも大きく、東京オリンピックに向けての期待も大きい17歳。
今後注目の大会は?
東京オリンピックまでに注目されるのは、やはり代表選考の指定大会でしょう。
特に、間近に迫った世界選手権は東京開催!2018年の同大会では男子3名、女子2名が6位以内に入りました。代表内定者が決まる可能性が高く、リアルタイムで観戦するには絶好の機会です!
・世界選手権(東京) 8/11~21
・オリンピック予選大会(フランス) 11/28~12/1
・アジア選手権(岩手) 2020/4/27~5/3
・コンバインドジャパンカップ(未定) 2020/5/16~17
大会の開催地や開始日時をまとめて管理するには、スマホアプリ「スポカレ」が便利です!大会の詳細や放送情報をチェックできるだけでなく、カレンダーに大会や競技を登録すれば開始前に通知でお知らせしてくれます!
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