「音楽新時代」における、日本音楽界のガラパゴスを考える

こんにちは。

今、ソーシャル経済メディアのNews Picksにおいて最近特集されている↑のトピック、「音楽新時代」が非常に興味深いものでしたので、「自称」音楽評論家として取り上げないわけにはいかないだろうと思い、取り上げさせて頂きました。

まず、最初に論点として挙げさせて頂くと、「日本音楽のガラパゴスは悪い事なのか」という事ですね。

↑の記事を要約すると、世界の潮流は今、

・EDMやヒップホップが非常に主流である

・Spotifyを中心としたサブスクリプション配信、YOUTUBEなどの動画配信を利用したサービスモデルが主流である

上記2つのどちらにおいても日本は関わる事なく、国内市場で独自の音楽文化を形成したガラパゴス状態である、というものです。

上記表の通り、世界では今や音楽配信売上が主流になっていますが、

この通り、何とCDなどのパッケージの売上は日本がダントツで1位なのです!

↑の柴氏の記事によれば、数年前から各国の音楽市場はサブスクリプションを中心とした配信モデルサービスによって回復・拡大傾向にある中で、日本は市場が縮小傾向にあるとの事です。

更には、日本は非常にライブが盛んというイメージがありますが、いわゆる演奏権収入においても米国などの主要国の後塵を拝する状況のようです。

そして私も驚いたのが、米国では今アジアのヒップホップアーティストがビルボードランキングを席巻しているとの事です。私がヒップホップのジャンルには疎い故でもありますが、元々米国のポップミュージックといっても過言ではないヒップホップ界にアジアのミュージシャンが割り込むというのはひと昔前では信じられなかった事です。

しかもそれは日本ではなく、韓国、中国、シンガポールやタイ人のアーティストであるのです。一時期原爆Tシャツでネガティブなイメージを日本に巻いてしまった、

BTS(防弾少年団)は米国のヒップホップチャートを席巻している、今や世界的知名度を誇るK-POPグループである、という事を知っている日本人はどれだけいるでしょうか。恐らく日本ではK-POP自体を下に見ている音楽ファンも多いかも知れませんが、米国ではJ-POPよりK-POPの方がポピュラーで売れている、というのが現実です。

これらがいわゆる日本の音楽がガラパゴス化している要素ですが、何故こうなってしまっているのかを推測すると、

今でも日本のレコード会社は配信に対して強い抵抗感を持っていて配信サービスに及び腰である事、つまり保守的な業界であるという事、そして、

世界の主流ジャンルであるEDM、ヒップホップが日本では流行らず、アイドルカルチャーやアニメ・ゲーム音楽といった独自の音楽カルチャーが主流だから

というのが大きいと思います。

そこで冒頭で述べた、「日本音楽のガラパゴスは悪い事なのか」、です。

音楽は言うまでもなくアート、芸術であります。特に日本のおいてはEDMやヒップホップが主流の世界に反してバンド、人が演奏する音楽を好む傾向があります。

そして実は世界のチャートがEDMやヒップホップで席巻される中、日本はピコリーモや電波ソングといった独自のジャンル、更にはBABYMETALのようなアイドルカルチャーにヘヴィメタルをミックスするといった新手のミクスチャーを生み出すなど明らかにジャンルが多彩です。

また、J-POPはまず楽曲ありきのスタイルが強いので欧米の楽曲よりもメロディやコード進行などの理論が細やかに組み込まれています。

人が演奏する事、そして曲に対して投資している事。売上だけで見れば費用対効果が悪い事はご法度であり、若者のカウンターカルチャーでもあるEDMやヒップホップが不景気の世の中で「稼げる音楽」である事は自明でしょう。

しかし、芸術・アートとしての価値を見るならば日本の音楽文化は今のガラパゴスである事をむしろ強みと見るべきであると思います。

BABYMETALのように独自のカルチャーが世界進出していたり、独自性でいえば、

2017年のメジャーデビューから英語歌詞でいきなり世界に打って出ている女性メタルバンド、LOVEBITES。

ドイツの世界最高峰メタルフェスのWacken Open Airに全員女性のメタルバンドとして初出場を果たし、英国のメタルアワード、Golden Gods Awardで「BEST NEW BAND」を受賞し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのバンドです。

世界的にも男社会のメタルで全員女性のメタルバンドが蔓延っているのは恐らく日本くらいのものではないでしょうか。だからこそ世界では彼女達の存在が強く見えるのだと思います。

Wackenでの活躍が認められ、世界の主要メタルレーベルの一つ、Nuclear Blast傘下のArising Empireと契約もしました。

日本は決して世界の主流に迎合する必要があるのではなく、世界の市場に打って出る勇気が足りないだけなのではないでしょうか。決して「ガラパゴス」である事を悲観する必要は無い、多様性と独自性のある文化を持っているとむしろ誇って良いものではないかと思います。

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