スミスが選ぶ! 『スピッツ隠れた名曲』20選 <上級編>

お久しぶりです。
本当にお久しぶりすぎて、もう忘れられているんじゃないかとびくびくしております。勝手にはじめたこの企画、<初級編><中級編>と続き、いよいよ<上級編>です。なんとか、なんとかアニバーサリーイヤーに滑り込みです(本当に滑り込みすぎだけど、結成が7月と考えたらまだ余裕が(黙))。スピッツ大好き芸人・ハライチ 岩井さんの企画に乗っかってスタートした、スミスの超個人的な、独断と偏見による「推しのスピ曲発表」も、今回が一旦区切りとなります。

ひとまず、<上級編>の定義を振り返っておきますね。

<上級編>こちらは アルバム曲 に絞って選出。いったい全何曲あるかわからないスピッツのいろんな曲の中から選びます。シングル曲やB面曲は抜いて選びます。スペシャルアルバムやミニアルバムなど、とにかく「アルバム」と付くものの中から出すぞ〜。

自分で自分の首をこんなに締めることになるとは思ってもみませんでした。30年活動しているから当たり前なのですが、「スピッツめっちゃ曲数ある……」「アルバム数多い……」。紹介したい曲がたくさんありすぎて、まず選定する曲数を設定するのにも時間がかかってしまいました。

まぁ、そんなことはどうでもいいですね!
また前置きが長くなってしまっても非常にアレなので、早速! 行っちゃいましょう!(結局20曲分になりまして、めちゃくちゃ長いです、すみません……)

スピッツ大好き歴11年のスミスが選ぶ! 『スピッツ隠れた名曲20選<上級編>』 

1.ワタリ

2005/1/12リリース(11thアルバム『スーベニア』収録)
「誰のせいでもねえ すべて俺のせい」という歌詞から始まるこの曲は、スピッツの楽曲の中でもヒリヒリした切実さを内包したロックナンバー。男性的な、というか、男らしい口語的な歌詞が、その様をより感じさせます。曲の一人称のほとんどが「僕」であり、どちらかと言えば中性的(行っても「男の子的」)でかわいらしい(もしくはやわらかい)表現が多いスピッツには珍しい曲なのではないでしょうか。間奏のヒリヒリ感もとにかく良いです。
私が死ぬまでにライブでエンカウントしたい曲No.2でしたが、3050ツアーでNo.1だった“惑星のかけら”がようやく生で聴けたので、繰り上げ1位になりました、という大余談とともにお送りします(笑)

2.アパート

1992/9/26リリース(3rdアルバム『惑星のかけら』収録)
歪んだギターが特徴の、ゴリゴリな曲が多い『惑星のかけら』の中から、繊細でエコー感のある失恋ソングを。スピッツの要でもある、三輪テツヤさんのアルペジオが全編に渡りバックで流れておりまして、数ある「スピッツのアルペジオソング」の中でも最も好きな曲でもあります(個人的に)。
このアルペジオと、儚さに磨きがかかった草野マサムネの声が絶妙なんです。失恋していなくたって心が泣き出してしまうのに、本当に恋人が自分の前から姿を消した時に聴いたらどうなってしまうのだろう? と思わず不安になってしまうほど……。
間奏のブルースハープがさらに心に沁みてしょうがなく、アレンジのすべてがニクいです。

3.恋のはじまり

2005/1/12リリース(11thアルバム『スーベニア』収録)
またまた『スーベニア』より。スピッツの中でいちばん好きなアルバムは『インディゴ地平線』だと言い張っていたのですが、『スーベニア』かもしれない、と最近思いはじめてきています。
というのは余談ですが、本当に、多くの人々に聴いてほしい曲です。恋がはじまった、わくわく感、そわそわ感、ざわざわ感を、鮮やかに描き出しています。<中級編>でご紹介した“恋は夕暮れ”に並ぶ、うつくしき恋の歌です。
「それは恋のはじまり そして闇の終り/時が止まったりする」
「それは恋のはじまり そして闇の終り/花屋のぞいたりして」
「それは恋のはじまり おかしな生き物/明日は晴れるだろう」
実際に花屋をのぞいたことはなくても、のぞきたくなる気持ちはなんとなくわかりませんか?
あまり解説じみたことをするのも無粋な気がするので、とにかく、聴いて感じていただきたいです。

4.ラズベリー

1994/9/21リリース(5thアルバム『空の飛び方』収録)
こんなにもかわいく官能的な世界を描けるなんて、男性ならば草野マサムネしかなし得ない技なのではないでしょうか……。音楽誌・MUSICAの社長、鹿野さんが、「スピッツのことを語るのに『魔法』や『宇宙』といったワードを使わずに表現することの大変さ」みたいなものについてツイートされていましたが、私は言います、もうこれは「マサムネマジック」だと。
「泥まみれの汗まみれの短いスカートが未開の地平まで僕を戻す」
「おかしいよと言われてもいい ただ君のヌードを/ちゃんと見るまでは僕は死ねない」
1番と2番の歌い出しだけ見ても確実にいやらしさはあるはずなのに、なぜだか「ムズきゅん」してしまうんです。快活なオーケストラアレンジが、それを手伝っている節もあるのかもしれません。
「もっと切り刻んで もっともてあそんで/この世の果ての花火」
ほんのりとマゾっぽさも垣間見えるのに、やっぱりかわいい。草野マサムネ以外の男性には歌うことすらもしてほしくないと思わせる曲です。

5.Holiday

2000/7/26リリース(9thアルバム『ハヤブサ』収録)
ソングライター・草野マサムネ曰く、「ストーカーソング」。たしかに、
「もしも君に会わなければ もう少しまともだったのに」
「いつかこんな気持ち悪い人 やめようと思う僕でも/なぜか険しくなるほどに すごく元気になるのです」
と歌っています。“ラズベリー”に続き、ここでも垣間見えるマゾっ気。それでも、アルペジオが小気味よいギターや、軽快なキーボードのアレンジが、曲にさわやかな風を吹かせていきます。この歌詞とメロディのギャップにヤラちゃいますよ。

6.1987→

2017/7/5リリース(コンプリートボックス『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』、シングルコレクション『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』収録)
シングルコレクション収録だしなぁ、と入れるの迷っていましたが、他のアルバムにも未収録なので、スピッツの最新曲を。イントロやギターソロのフレーズには、インディーズ時代の名曲、“泥だらけ”のものがそのまま入っています。歌詞も、バンドのはじまりから現在、そしてこれから先を見据えた内容になっていて、まさにスピッツのこの30年間を総括する曲です。この夏、ツアーで何回も聴いたのに、演奏されるたびに泣いていました。どんなに売れても、「ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのままだろう」と歌える姿勢。それはこの30年間、ひとつも変わっていないスピッツの姿で。そして、「醒めたがらない僕の 妄想が尽きるまで」バンドを続けてくれるという宣言。安心してついていけるバンドがいること、それがファンにとってどれだけ心強いことか。結成から現在まで、一度も活動休止もメンバーチェンジもないスピッツだからこそ、響かせることのできたメッセージなのではないでしょうか。

7.愛のしるし

1999/3/25リリース(スペシャルアルバム『花鳥風月』収録)
「ヤワなハートがシビれる 心地よい針の刺激」。このフレーズ、どこかで聴いた覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか? 女性ボーカルユニット・PUFFYが歌っているこの曲、実は草野マサムネさんが作詞作曲をしていました。そのセルフカバー版が、スペシャルアルバムという形でリリースされています。実はあまり知られていないので、あえて出してみました。
この曲はぜひ、MVと一緒にたのしんでいただきたいです。スピッツのメンバーが代わる代わるコスプレをしていくので、視覚的にもおもしろいですよ(個人的おすすめは7人の小人と学生服!)。

8.海を見に行こう

2002/9/11リリース(10thアルバム『三日月ロック』収録)
軽やかなアコギのイントロで始まるこの曲。スピッツの曲だと、他にも“青い車”で「海へ行こう」と歌っていますが、うつくしく不穏な覚悟がなんとなく漂うこちらとは違って、“海を見に行こう”は春の陽だまりの中を、目を細めながらバスに揺られていくような、あったかい情景が浮かびます。
「明日海を見に行こう 眠らないで二人で行こう 朝一番のバスで行こう 久しぶりに海へ行こう」。この歌詞の通り、まさに海を見に行くために旅立って行くような感じが音にも現れているんですね。聴いているだけでワクワク感が増していく曲です。

9.海ねこ

1992/4/25リリース(1stミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』収録)
スピッツの音楽の世界観を広げるために制作されたコンセプトアルバムで、全曲にオーケストラアレンジが加わっています。“海ねこ”はイントロからホーンの音が高らかに響いていて、収録曲の中で最も軽快なリズムでついつい歌い出したくなります。間奏はエフェクトのかかったボーカルも入っていて、なんだかおもしろいアレンジ。なのですが……、「明日になれば僕らもこの世界も/消え失せているのかもしれないしね」などという歌詞もあり、諦観というか儚さというか、そういったものも感じ取れます。個人的に『オーロラになれなかった人』とは「死ねなかった人」のことではないのかと思っておりまして、アルバム全体からそんな雰囲気が感じ取れます(曲じゃなくてアルバムの内容で〆るんかい!(笑))

10.サンシャイン

1994/9/21リリース(5thアルバム『空の飛び方』収録)
直訳すれば「陽の光」なのですが、決して明るい曲ではありません。白黒映画を観ているような、薄ぼんやりとした色彩の薄い映像が頭の中に現れます。言い切らず、書き切りもしていませんが、どことなく曲の歌詞全体に「死」が匂いたっているからなのではないでしょうか。初期の頃は「俺が曲を書く時のテーマは『セックス(※ 個人的注釈:生・性も含む)と死』しかない」と言っていたマサムネさん。そのくらい彼の中では大きなものなのだと思います。私がスピッツに惹かれてしまう理由のひとつに、そういった「死生観」みたいなものがあるような気がしています。
サウンド的にはシンプルなバンドサウンドなのですが、キーボードアレンジが効いていて、切なさと儚さが胸にグッときます。

11.グリーン

2016/7/27リリース(15thアルバム『醒めない』収録)
初めて聴いた時、曲のタイトル通りの瑞々しさと疾走感にはもちろんのこと、バンドとしての色あせなさに本当に胸打たれました。2016年はデビュー25周年で、個人的な話でいうと、私がスピッツを好きになってからちょうど10年が経った年でした。ですが、それでも相変わらず新曲を聴けばドキドキして、ますますスピッツを好きになって。これほどうれしいことは他にないなぁと感慨深くなってしまったのを覚えています。
あと、やっぱり歌詞がすばらしくて。
「コピぺで作られた 流行りの愛の歌/お約束の上でだけ 楽しめる遊戯/唾吐いて みんなが大好きなもの 好きになれなかった/可哀想かい?」
年齢や経験年数など関係なく、とがったところは鋭利なまま。そしてぶれないスタンス。彼らのセールスが全盛期だった90年代後半、雑誌のインタビューで「表は売れてるミュージシャンに任せて、スピッツは裏道を行かせてもらいます」などと言っていたことを思い出しました。マジョリティに染まり切らず、マイノリティな視点を忘れない。そういうところに強く惹かれてここまで来たんだよなぁ、私……。

12.14番目の月

2012/2/1リリース(スペシャルアルバム『おるたな』収録)
かの松任谷由実の名曲のカバー。もともとユーミン30周年記念のトリビュートアルバムに収録されていたものなのですが、今作に収録するためリミックスされています。
もうしている人いるかもしれません。「なんでカバー曲が入ってんねん!」というツッコミ……。でもめげずに説明したい。なぜなのか。それは、「スピッツに女目線で書かれた曲がないから」なんです。貴重なのです。女性の気持ちを歌い上げる草野マサムネと、それを彩るスピッツが(基本的にスピッツの曲は「草野マサムネの妄想」なので、女性目線の曲がないのです)
しかも「イケない恋のはじまりとその駆け引き」を歌った曲なのに、そのサウンドをつくっているのがディストーションがかかったギターと重厚感があるリズム隊という男前さが、余計に詩世界やボーカルの繊細さを際立たせているような気がしてならないのです。ある意味「スピッツらしくない」側面をスピッツで体感するには、カバー曲を聴いてみるのをおすすめいたします(マサムネさんのみのカバーですが、筒美京平さんのトリビュートで“木綿のハンカチーフ”もおすすめです。とっても)。

13.初恋クレイジー

1996/10/23リリース(7thアルバム『インディゴ地平線』収録)
「見慣れたはずの街並みも ド派手に映す愚か者/君のせいで大きくなった未来」
「夢の世界とうらはらの 苦し紛れ独り言も/忘れられたアイスのように溶けた」
「軽いベーゼで満たされて 遠吠えしてた常日頃/違う四季はあっという間に過ぎて」
初恋に浮かされた様子の、このあまりの瑞々しさ。曲入りも弾んだピアノで、ウキウキした気持ちが伝わってきます。聴くたびに頬をゆるめ、そして赤らめてしまう曲です。
ですが、この曲のいちばんのお気に入りは、郷愁を誘うハーモニカの間奏が入ったあとの転調で。
「泣き虫になる 嘘つきになる 星に願ってる/例えば僕が 戻れないほどに壊れていても」
このあとすぐAメロに戻って軽快なメロディに戻っていくのですが、この切なげに転調したBメロの演出が本当にニクくて。浮かれてばっかりじゃなくて、恋ってそうだよな、不安になるものだよな、と。そんなところまで描き切っています。曲終わりもマイナーで〆られていて、これもまた含みをもたせていてニクい演出です。
ちなみに「ベーゼ」とはフランス語でキスのこと。初めてこの曲を聴いた15歳当時、辞書で調べてそのおしゃれさにクラクラしたものです。マサムネ辞典はきっとロマンティックな言葉で埋め尽くされているのでしょう。

14.プール

1991/11/25リリース(2ndアルバム『名前をつけてやる』収録)
スピッツの初期曲にはどれも通ずるところがあるのですが、音像が、なんだか8ミリフィルムを通して見たような、彩度が低くてざらついたような景色が広がる気がしていて。プールはその中でもかなり、そんな情景を見せてくれる曲だと思っています。
制作当時に影響を受けていた、My Bloody Valentineなどのシューゲイザー的要素を取り入れたとマサムネさんは語っていたそうですが、この儚さや終焉感はまさにそんな感じがしますね。間奏の浮遊感なんか、特に。歌詞に出てくる「夏蜘蛛」のようにたゆたっているような。

15.幻のドラゴン

2010/10/27リリース(13thアルバム『とげまる』収録)
メルヘンな曲かと思いきや、ハードロックに傾倒した、歪んだギターが特徴の一曲です。特筆すべきは「君に夢中で泣きたい」からはじまる、うつくしいサビ。歌詞も、メロも、完璧にきれい。
歌詞を見る限り、『幻のドラゴン』とは久々に思い出された恋心なのかもしれません。どの曲もそうですが、草野マサムネにかかればどんな言葉も素敵に言い換えられてしまって、本当に魔術師のように思ってしましますね……。
あと、「ありがとうとか言われたくて/危ない道あえて選んでは 突き進んでいく」という箇所が、個人的にツボです。やっぱりちょっとMっ気が出てしまうところが、マサムネ節です。

16.歩き出せ、クローバー

1995/9/20リリース(6thアルバム『ハチミツ』収録)
1995年は阪神淡路大震災があったり、地下鉄サリン事件があったり。時代的に混沌としていたことから、「生きること」をテーマにした曲になっています。しあわせの象徴であるクローバーをタイトルに持ってきて、しかも歩き出させるという力強さ。初期スピッツの中では珍しく、地に足のついた曲なのではないでしょうか。「激しい」「エナジー」「戦闘機」「削り取られていく」など、歌詞に入っているワードも心なしか強めの印象です。
「泣きながら笑い出し『嬉しい!』と何度も叫び/寝ころがって眺めた 君のカード 胸にあてる」。この曲のここの歌詞は生命力にあふれていて、前向きで。スピッツの数ある楽曲の中でも、かなり好きな箇所です。

17.フェイクファー

1998/3/25リリース(8thアルバム『フェイクファー』収録)
初めて聴いた時、驚愕した1曲です。「スピッツって、こんなにもいい曲をまだ持っていたのか」と。隠し球の威力が強すぎます……。先日Twitterで「音楽を聴いて鳥肌が立つ人は特殊」というネット記事を見ましたが、私はこの曲を聴いて鳥肌が止まらなくなって困りました(ってそのまま書くと大げさに見えてしまうのが文章のこわいところなんですが、本当なので信じてもらうほかありません……)。
歌詞はあえてもう載せないでおこうかと思うのですが(曲と一緒に聴いてほしい)、タイトルが「フェイクファー(偽の毛、本物の毛を模した織物)」ということを意識して聴いていただくと、このわずか3分半の曲の壮大な切なさを感じていただけるはずです。

18.海とピンク

1991/3/25リリース(1stアルバム『スピッツ』収録)
ライブでは準々定番くらいになっているので、ファンの間では割と人気曲なのではないでしょうか。私も2回目に彼らのライブにいった時はこの曲ではじまったのを、いまだに、しつこく、覚えています(記憶力や……)。
スピッツがクセになってしまう人の一部は、「この曲は、エッチなのか(あえてそう言う)、そうでないのか、モヤモヤ、ソワソワする!」というのがあるのではないでしょうか(※ 個人の見解です)。
“海とピンク”は特に歌詞が抽象的すぎて、かなり意味深に取れてしまう部分が多いです。だって出だしが「ほらピンクのまんまる」なの、ぜんぜん意味わかんない。語感的にはかわいいんですが、「ピンク」という単語に引きずられて妄想があらぬ方向へ。
こんな紹介の仕方でこの曲がちょっと不憫に思えてきたのですが、フォーキーでさわやかなアコギのストロークの裏でリードギターやベースがヘンテコなロックをやっていておもしろい1曲ですので、歌詞もサウンドもよくよく聴いてくださいまし。

19.桃

2007/10/10リリース(12thアルバム『さざなみCD』収録)
なんとまぁ、大人の色気がある曲なんでしょうか。私がスピッツを好きになって初のフルアルバムで、当時中学3年生だったのですが、初めて歌詞を見て曲を聴いた時、そう思いました。
「切れた電球を今 取り替えれば明るく/桃の唇 初めて色になる」の入りや、「ありがちなドラマをなぞっていただけ/あの日々にはもう二度と戻れない」、またそのあとに続く、「他人(ひと)が見ればきっと 笑いとばすような/よれよれの幸せを追いかけて」という歌詞。
どの番組だったかは忘れましたが、この曲が初オンエアになった時、ラジオで聴いた記憶があります。とっさにメモった歌詞がこの部分だったんです。隙がないくらい明るい曲よりも、ちょっと陰っている部分がある音楽の方が惹かれてしまうのは10年前から変わらないところです。

20.タイムトラベラー

1993/9/26リリース(4thアルバム『Crispy!』収録)
『おるたな』に収録されている原田真二のカバー、“タイム・トラベル”とは異なりますのでご注意を(私も時々間違える)。郷愁的で流れるようなアルペジオが繰り出されるイントロは、スピッツの曲の好きなイントロランキングの中でも上位に入ります(個人的に)。
曲のテーマは「母性」。たしかに時間旅行の中で、自分の根源をたどっていくような内容になっています。「さあ 僕が生まれる前の/さあ 君と似ていたママに 答えをきくために」。自分のルーツをたどることが、吉と出るか、凶と出るか。明るい曲調なのに、なんとなく後者の予感を覚えさせるような気がします。
前作までのアルバムが売上不振で、「次こそは売れなくては」とメンバーがプロとしての責任を感じはじめたのがこのあたり。売れる作品づくりをするために初めて外部プロデューサーをつけたアルバムでもあります。シンセやホーンを取り入れた、かなりポップに振り切った曲が目立つ中、タイムトラベラーはシンプルなバンド構成できっと聴きやすいはず。

以上です。
お、終わった〜〜〜〜!? 思い残すことなくこれで年が越せる〜〜〜〜!? 長かったです、私もあなたもおつかれさま。引き続き、スピッツライフが潤いますように。

あくまでも個人的な見解でしかないのですが、他にももちろん名曲の数々がありますので、これをきっかけにいろんな曲を聴いてもらえたらなぁと思います。

そして個人的な好みの都合で、唯一『小さな生き物』から1曲も選曲していない……ので、お別れソングは“僕はきっと旅に出る”です。バイバイ!



最後まで読んでくれて、ありがとうございます!