ガチホコの二大攻撃戦術について
ガチエリアやガチヤグラのようなルールでは、①まずキルを入れて、②そのうえでオブジェクトを奪取するという戦い方が基本です。そのため、キルが入らなければカウントは(少なくとも大きくは)進みません。それに対してガチホコでは、キルはもちろん重要ではありますが、必ずしも常に重要というわけではありません。たくさんのキルが取れなくても、相手をカウントで上回って試合に勝てることがしばしばあります。
なぜでしょうか? それは、ガチホコにはガチエリアやガチヤグラのように丁寧にキルを入れてじっくりカウントを進める攻め方(攻撃戦術A)とは別に、最小限のキルで素早くカウントを進める攻め方(攻撃戦術B)が存在するからです。この記事では、ガチホコのゲームメイクについての一つの考え方として、二つの攻撃戦術のポイントや使いどころをまとめてみたいと思います。
攻撃戦術A ポゼッション
最も基本的な攻め方です。ホコ持ち以外の味方はホコを守りながらホコルート周辺の敵をキルし、ホコルートの安全を確保します。ホコ持ちは味方のやや後ろからホコショットを撃って味方の対面を援護したり、味方の攻撃が届かない高台に圧をかけ、ホコルートの安全が確保されたところで前に進みます。
この攻め方のポイントは、ホコ持ちができるだけ生存し続けるということです。ホコ持ちがデスすると「人数不利になる」「ホコショットという強力なクリアリング手段を失う」「敵に復帰の時間を与えてしまう」「ホコを割られてさらなるデスや塗り状況の悪化を招くリスクを負う」といったさまざまなディスアドバンテージが生まれ、攻撃の継続は困難になります。そのため、カウントリードを奪うか、少なくともセカンドアタックが可能な地点に到達するまではホコ持ちはデスしない/ホコ持ちをデスさせないことがこの攻め方の理想ということになります。
因みに「ポゼッション」というのはサッカー用語で、味方同士でパスを回してボールを保持しながら敵ゴールに迫っていく戦術のことです。ホコは味方にパスできませんが、ホコをしっかり所有しながらゴールを目指すという点が言葉の意味にぴったりということで、この攻め方を僕は勝手に「ポゼッション戦術」と呼んでいます。
セカンドアタックについて
先ほど「セカンドアタック」という言葉を使いましたが、初めてこの言葉を目にしたという人のために簡単に説明をしておきます。
ポゼッション戦術においては、ホコ持ちはできるだけデスしないことが重要だと述べました。しかし、ホコ持ちがあえてデスすることで状況を有利にできる例外的な場面があります。それは、①ホコ持ちが敵陣の中まで侵入でき、かつ、②味方のブキのホコ割り能力が敵よりも高い(特に、味方にボムピッチャー、スーパーチャクチ、ウルトラハンコといったホコを即割りできるスペシャルが溜まっている)場合です。
このような場合、ホコ持ちが可能な限り敵陣の奥に突っ込んでデスし、再出現したバリアを残りの味方がすぐに割るという戦術が非常に有効です。ホコ爆発で敵を巻き添えにできる可能性がありますし、広がった塗りを利用してホコをさらに進めることができます。これがセカンドアタックです。
セカンドアタックについてはヨメダス(@yomedas)さんがわかりやすい解説動画を作ってくれているので、そちらもぜひ参考にしてください。
攻撃戦術B カウンター
ポゼッション戦術では、ホコ持ちは味方の後ろに隠れてホコショットで味方をサポートしながら、味方が敵をキルしてくれたあとでゆっくりと前に進みます。それに対して、敵からホコを奪ってすぐ、敵の守備陣形が整う前にホコ単独あるいは少人数で素早く一気にホコを進めるという戦術がガチホコには存在します。サッカーでは、相手からボールを奪ってすぐにボールを前に大きく蹴り出すなどして一気に前線に運び、相手の守備陣形が整う前にゴールを奪う戦術を「カウンター」と呼びますが、それに倣って僕はこの戦術を勝手に「カウンター戦術」と呼んでいます。
ガチホコにおけるカウンターがどんなものかをイメージするには、実例を見ていただくのが早いでしょう。下記のクリップはスメーシーワールドでカウンターを決めて敵をノックアウトした場面です。
クリップでは、敵のバケソとシマネが自陣深くに侵入しつつあり、クゲは復帰中で、ホコ持ちのチャーが中央で進む機会を窺っています。一見すると敵のチャンスのように見えますが、ホコ持ちと敵前衛二人の距離が遠く、ホコ持ちが孤立しているため、ここでホコ持ちをキルしてホコを奪うとホコと敵ゴールの間に防衛は誰もいない、という状況が生まれます(クゲの動きは不確定でしたが、結果的にホコを止めに来れなかったところを見ると前衛二人のどちらかにスパジャンしたのでしょう)。そのチャンスを活かして味方ボールドの先導でホコを一気に前に進め、敵をノックアウトすることができたというシーンです。
このように、カウンターは成功すると一気に敵をノックアウトしたり決定的なカウントリードを奪うことができる強力な戦術ですが、成功させるためにはいくつかの条件があります。①敵がホコよりも前に出ていて、ホコと敵ゴールの間が無人あるいは無人に近い状態であること、②カウンターを実行する味方が、敵が防衛に戻る前に素早くホコを奪って前に進めるだけのホコ割り能力とイカ移動速度をそなえていることなどです。さらに、③ホコを先導&護衛してくれる味方がいる、④ホコルートが事前に塗られているといった状況ではカウンターはより成功しやすくなります。
私見では、このカウンターという戦術の存在は、ガチホコというルールを他のルールから区別する重要な特徴の一つです。オブジェクトが動かないガチエリアや、オブジェクトの移動速度が遅い&移動ルートが固定されているガチヤグラではそもそもカウンターは成立しえません(ガチアサリはルールが複雑なため、ここでは比較対象から除外しておきます)。そのため、攻撃面ではどれだけ上手くカウンターを使いこなせるかどうか、そして防衛面ではカウンターをどれだけ上手く防げるかどうかが、ガチホコというルールの練度を測る重要な指標であると言えるでしょう。
ホコ泥棒について
ガチホコには「ホコ泥棒」と呼ばれる行為があります。敵がホコを放置して前に出ている状況で、放置されているホコをセンプクや裏取りから奪ってカウントを進める行為のことです。これはカウンター戦術の一形態として理解するとわかりやすいと思います。一例として下記のクリップをご覧ください。
上記のような行為が成立するのも、カウンター成立の条件である、敵がホコよりも前に出ていて、ホコと敵ゴールの間が無人あるいは無人に近い状態である、という状況がガチホコにおいてはしばしば生じるからです。この試合の敵は決して弱かったわけではありません。むしろ、僕を含めた味方全員が対面で圧倒され、試合時間の大半は自陣にホコを押し込まれ続けていました。しかしおそらく、残り時間が1分を切り、こちらの攻撃ターンを凌いだという安心感が、ホコから目を離すという致命的な隙を敵にもたらしたのでしょう。このように、たとえハイレベルな試合であっても、5分間という長い試合時間の中ではカウンターやホコ泥棒が成功しうる状況が1回や2回は生まれるものです。そのチャンスを見逃さずにリードを奪うことで、劣勢を一気に覆したり、格上の敵相手に勝利できることがあるのがガチホコの大きな魅力だと思います。
ポゼッションか? カウンターか?
以上、ポゼッションとカウンターというガチホコの二大攻撃戦術(と僕が考えるもの)について解説してきました。では、ガチホコにはこのように大きく分けて二つの攻撃戦術が存在するとして、一体どのような基準で二者を使い分ければいいのでしょうか?
たとえば、敵が格上で、対面力で圧倒されているという状況では、あえて敵に攻め込ませつつ防衛で粘って敵のカウントを低く抑え、1回のカウンターで決定的なリードを奪う、という作戦が選択肢に入ってきます(というより、意図せずともそういう形でしかリードを狙えないくらい自陣に押し込まれ続けることになりがちです)。下記のクリップは、試合開始時から味方が1人回線落ちしていた試合で、そのような作戦で実際にカウンターを成功させたシーンです。
とはいえ、私見ではやはり、このような試合はあくまで例外で、ポゼッション戦術こそが王道であり基本でありファーストチョイスである、ということになると思います。カウンターは基本的に敵の出方に依存するため、初めからカウンターばかり狙っていく試合は(先ほど紹介した味方回線落ちのような特殊な場合を除いて)不安定になりがちです。さらに、パワーが高くなればなるほどカウンターに対する敵の警戒心は高まるので、カウンターの成功率は低くなります。
しかし、「カウンターでカウントを稼ぐ(あるいは、カウントは稼げなくてもホコを高い位置に運ぶ)」という選択肢を常に意識し、実行するチャンスを窺うことは、ガチホコの立ち回りを深めるために非常に重要です。カウンターという攻撃手段の存在を意識すると、基本的にはポゼッション戦術で攻めつつ、要所要所でカウンターを織り交ぜて敵に脅威を与えるといった立ち回りができるようになります。また、攻撃だけでなく防衛の考え方も大きく変わってきます。たとえば、センプクや裏取りで高い位置でホコを止めてそのままカウンターにつなげることによって攻撃ターンそのものを敵に渡さない、という攻防一体の戦術も可能になります。こうした点については機会があれば記事を改めてより詳しく考察してみたいと思います。
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