天の川を綺麗に撮ろう

天の川のシーズンになりましたがいかがお過ごしでしょうか。私は平成最後の撮影と令和最初の撮影でよい条件に恵まれ、念願だった天の川の撮影が出来ました。それまで様々な本、サイト等で勉強して来ましたが「カメラのパラメータをこうすれば撮れます。ね?簡単でしょう?」的な物ばかりで、カメラで天の川を綺麗に映せない理由を数少ない撮影日ではなかなか検証できず苦労しました。
もしかしたら私のような苦労をしている人が他にもいるのでは?と思い記しておきます。

使用機材

CANON EOS Kiss X8i。型落ちしてリーズナブルで扱いやすいカメラです。私はこれ一台ですね。(コンデジは星空撮影ができるPowerShot G9Xです)
レンズキットのCANON EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMは大体のシチュエーションに使える万能レンズでまさに学ぶための一台と言えます。
ただ星景撮影においてはF値が低く広範囲を捉えられる広角レンズの方が適しています。
私が使っているのはこれまたリーズナブルで端の歪みが強いというクセのある広角レンズSAMYANG F2.8/10mmです。
これに三脚(必須)、レリーズ(必須)、レンズヒーターが私が星空を撮影する時に使う基本セットです。(他にはヘッドライト、赤色に発光するペンライト、レンズヒーターに使うモバイルバッテリー)

撮影時の基本パラメータ

保存画像は当然RAW。星のピントの合わせ方は他のサイトを見て頂くとして、パラメータはサイトによってバラバラです。どれが正解というのはなく、夜空の明るさ(光害の多さ)など条件によって変わってきます。
私の場合F2.8、シャッター30秒、ISO3200からスタートします。主に調整するのはF値とISO感度です。
スマホのAR星座アプリで天の川の位置を掴んでレンズを合わせ、試し撮り。
全体が明るすぎるならF値を少しずつ上げて、星、天の川の露出が足らなかったらISOを上げてといった感じでバランスよく調整します。
私の場合天の川だけでなく月明かりのある時や光源(光害)が多い場所で星空を撮影していたので自然と身につきました。

大切なのはロケーションと条件

これから天の川撮影に挑む皆さん、肉眼で天の川を見たことはありますか?
こちらの記事によると現代では肉眼でほとんど天の川が見られない地域状況のようです。かく言う私も星景撮影を始めるまでは見たことはありませんでしたし、初めて見た時はただ星が集まっているように見えただけでした。調べたサイトなどのように綺麗な天の川が撮れず悩んでいた私は「本当に天の川のあの姿が見られるのか?高解像度のいい機材じゃないと映せないんじゃ?」と疑念に狩られます。
しかし後で動画で条件次第では肉眼でも綺麗に天の川が見えることを知りました。
その条件とは、天の川銀河の中心部が見られる初春から初夏にかけて、快晴克つ月が出ていないこと。光害が(少)ないこと。空気が澄んでいること。


春で天の川銀河の中心が見え、標高が高く快晴、光害無しと条件がよいと現像前でもこの様に映ります。F2.8 30秒 ISO6400。(肉眼では少し薄く見えます)


特に光害が重要で光害マップを頼りにロケ地の候補をいくつか決めて実際に赴いてと言うのを繰り返しました。
北陸ですと福井県の大野自然公園はかなりメジャーなのですが、駐車場の明かりや星を見に来る人の車の明かり等があるため、あまりいい場所とは言えませんでした。冬は人もほとんど来ず、駐車場も早めに消灯されるのでよいですが、季節柄天の川は光の雲が無く、星の集まりにしか見えませんでした。
石川県の白山登山口である別当出合。ここは最高でした。マイナーで行くまでの道は険しいものの、標高が高く光害は皆無。肉眼ではっきりと天の川が確認できるほどでした。惜しむらくは山に囲まれているので満天の星空を映せないですね。
他にも標高は平地でも光害が少なければ天の川をぼんやりと見ることが出来ますし、見えずとも星空を綺麗に撮影できる機材ならばうっすらと天の川を捉えることは出来ます。

4月末、海に近い場所で。快晴だけど光害が少しあってぼんやりと映る天の川。F2.8 30秒 ISO1600。(これ以上パラメータをいじるとバランスが崩れる)

撮影に成功したら現像

現像は天の川撮影のキモと言えるかもしれません。様々な天の川の写真をご覧になったかと思いますが黒いガスが浮かび上がり、光の雲も綺麗でしたでしょう。
撮影した段階ではその状態ではなく画像処理を施して(現像)仕上げる必要があります。処理の仕方が分かるならインスタグラムのアプリで出来ないこともないのですが、やはりAdobeのLightroomでの編集が基本となります。
現在ではCC(クリエイティブクラウド)のフォトコースなら月々安く利用できるので調べてみてください。
望ましいのはPCでの処理ですが、私はRAW現像が出来るようになったのでiPadでやっています。RAW形式のまま現像するので綺麗な仕上がりになりやすいのです。
天の川の現像もサイトを調べると大体の調整の仕方はあったりするのですが同じLightroomでもクラシックとよばれるものがほとんどです。(私が使っているのはLightroomCC)
なので全てが参考になるわけではなく、ある程度自分で勉強が必要です。
パラメータ値もこれが正解というものはありません。天の川現像の基本として「明瞭度」を高めにするとガスの部分などがはっきりしますが、天の川の映り方が光害などでぼんやりしている時は光の雲を強調するために明瞭度を落とす場合もあります。

上の写真は別当出合の好条件で撮影したものをくっきりと現像。
下の写真は光害がある条件でぼんやりと映った先ほどの写真を現像。

共通してるのは全体をみながら調整すると言うことだけだと思います。
もちろん映り方がよいと現像も楽になります。

私の今後の課題

ここまでざっと記述しましたが漠然とした部分が多くわかりにくいかもしれませんね。でもロケ地の条件だけは絶対と言えますし、この条件が重なった時だけ、天の川の美しさを捉えることが出来るのです。
厳しすぎですね?(しかも北陸は天候が変わりやすいので更に困難です)
この厳しさをひとつ緩和できる道具があります。「光害フィルター」とよばれるもので、レンズのタイプによってフィルターのホルダーが必要だったり、フィルターを直接レンズに取り付けられます。
私が使ってるSAMYANG F2.8/10mmはホルダーが必要です。ホルダー+フィルターで大体4万円。しかもレンズを変えたら2万もするホルダーが使えないかもしれないんです!
よって購入を今まで見送ってきたんですが、天の川+地上の景色という本当の意味での「星景」を撮るためには光害のカットは必須なのです。光害フィルターがあればロケ地も増えることが予想されます。
購入したらレポートを書きますのでお楽しみに。

おまけ。星空の撮影が出来るコンデジのPowerShot G9Xで撮った別当出合の天の川。解像度などの関係で荒いですがF2.0 シャッタースピード30秒、ISO3200でこの通りです。


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