イデオロギーとフォトグラフ
ご無沙汰しております。
感染症騒ぎでほとんど撮影に行けてなかったのですが、専門家による「1人で車に乗ってドライブに行く事は自宅待機の延長線」というお墨付きを頂きまして、4月末にこっそり天の川を撮りに行ってきました。
ちょっとタイトルから外れますけど、まず先に行ったのが解放当日の白山別当出合。待ってましたよー。
防寒具を引っ張り出しまして登っていくこと1時間ちょっと。中継点の旅館がある場所に「新型コロナウィルスに伴い別当出合駐車場及び室堂は休業」
情報サイトにも登山口にもそんな事一言も書いてなくてここまで来てそんな~とガッカリしました。
道路は封鎖されてなかったのでまあ登るだけ登ってみよう、と車を走らせ駐車場手前まで来ました。それでも朝一で登ろうと思ってる人達の車が近くに3台ほど。
駐車場は残雪が多く、この急勾配に入ったら例えスタッドレスでも戻れなくなること必至なので手前で止めて数枚撮影、すぐに帰りました。
下山しての帰り道、まだ山道なのですが谷の向こう側に揺らめく灯りを見まして、思わず減速したらどうも炎みたい。
山火事か?とGoogleマップで向こう側に何かあるのか確認したところ単なる山肌で夜間に人が立ち入れそうにない場所なんですね。おっかしいなあ、ともう一度谷の向こうを見てみたら何もない・・・・なんだったんだあれは・・・怖いですねえ・・・・などと冗談めかしてたんですが。
次の週に行った某所峠。タイトルの写真が撮れるところです。
うっひょー!サイコー!とパシャパシャやってたら駐車場のアスファルトに響く革靴のコツコツという足音。
ゾクッとしました。思わず頭に装着したヘッドライトをつけて音のした方向に向けますが誰もいない。それもそのはず、ここは私以外に来ているのを全く見たことがない場所で、誰かが来たらすぐわかるのです。小さな落石かな、と再びレリーズを握ると
コツコツコツコツ
確実にこっちに向かっています。
急に怖気がしてレンズカバーを乱暴につけて三脚ごと車に放り込み、逃げ帰りました。今まで何か映ってたらどうしよう、と現像が手つかずだったのですが、意を決して転送してみたところ何もありませんでした。
なんなんだあれ・・・・
ちなみに今までそこに事故などがあった話は聞いてません。せっかくいい場所なのに残念です・・・
さて、前置きが長くなりましたが本日Twitterの方であまりにも馬鹿馬鹿しいツイートが回ってきました。
この写真は日経新聞の記事からの無断転載ですが、構図ありきの撮影が気持ち悪いと言っています。
えーと、構図を考えてみる人に感動を与える。何か悪いんですかね?
で、事前に練ったもので医療関係者も事前に指示したポーズだと言ってますが、そう見えます?
V時の雲と看護士さん達の並び、Vの谷間にブルーインパルスと太陽が入っている、構図だけでもとても素敵で素晴らしい作品です。
多少の立ち位置指示はあったかもしれませんが、構図を考えたら真ん中右手前の人をもう少し奥に移動してもらうか真ん中右奥の人にもうちょっと手前に来てもらうんじゃないかと思うんです。
最近わかってきたのですが、上級者であるほど撮影イメージに近い空間を見つけるのが上手なんです。恐らくこの写真を撮った人は看護士さんのパースをメインに狙っていたのではないでしょうか。
事前に指示しなくても狙える以上、その場で構えますよね。
そして雲の構図に合わせるなら刹那的な指示はいくらブルーインパルスが低速で飛んでいても難しいと思いますよ。ブルーインパルスにスマホを向けていると言いますが、前述の通り低速飛行なので簡単にその方向にスマホを向けられます。
雲は常に形を変え、移動します。ここまでぴったり合った構図は看護士さんの立ち位置を指示してたら無理なんじゃないですかね。
本当に奇跡の一枚なんだと思えます。
素晴らしい、感嘆に値する一枚です。
それをくだらないイデオロギーと知ったかぶりで構図を作る事自体を悪とするのは失礼どころかフォトグラファーに喧嘩を売ってるようなもんです。まあ無断転載しているから敬意を払う気もないのでしょうが。
クッソくだらないイデオロギー合戦はよそでやって貰いたいものです。