上田麗奈 New Album『Nebula』についての殺意と解決
こんにちは初めまして、よだんです。
2021年8月18日に上田麗奈さんのNew Album『Nebula』が発売されました。3月14日に開催された『上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors』のMCにて制作と夏ごろの発売が告知されてからおよそ5ヶ月たった今日、アルバムを通して聴いた感想を綴ろうと思います。
はじめに
今回のアルバムを聴くにあたって事前にMVが公開された「anemone」を除いて、ラジオや試聴動画で公開されたほか全ての楽曲を意図的に聴かず、また雑誌や音楽情報サイトでのインタビュー記事なども一切目を通さずにアルバム発売日を迎えました。
そのため、最初にアルバムを通して聴いた感想は事前に皆さんが見聞きした楽曲やアルバムについてのお話しと大きく食い違います。「それは本人が話してるよ」ということもあるかもしれませんがご了承ください。
また、自分の感想を正直に表現するために不適切な言葉を用いることがあります。不快に思われた場合はすぐにブラウザを閉じてください。
加えて、私には音楽についての知識が乏しいので音楽理論やジャンルの流れなどについては詳しく書けません。そのため、楽曲の音や空間、歌詞から得られる印象を主として綴ります。自分と合わないなと思いましたらあなたの感覚を大事にすることを優先してください。そして不躾ながら、どこかでその感想を書いていただきたいです。それは私にとって、また誰かにとってとても貴重な物語です。
この記事をきっかけにこのアルバムを聴く方がいらっしゃいましたら以下のリンクからアルバムの購入やサブスクによる配信に飛ぶことができますのでご活用ください。
アルバム購入リンク:https://lnk.to/LACA-15884
サブスクリンク:Aniuta, Spotify, Apple Music, LINE MUSIC
個人としては、是非実物を購入してブックレットを読みながら聴くことをおすすめします。アルバム自体のデザインもとても力が入っており、曲を聴くのみで得られる印象以上の世界を感じることができます。(というより、聴いたあとに見るのでは後悔すると思います。)
そしてどうか、アルバムを1曲目から順番に聴いてください。
この『Nebula』の深淵をトモに呑まれましょう。
よろしくお願いします。
以下 上田麗奈 New Album『Nebula』感想
01. うつくしいひと
作詞・作曲・編曲:rionos
ピアノ、ペダル、声。
静かに穏やかに、しかし意志を持つイントロ、揺蕩いながら上昇するメロディ、理想となるように努力をする今と決意から過去作との繋がりを感じました。今までの楽曲とリンクする部分を持ち、新たな世界に誘う1曲目としてこれ以上に美しい導入はないと思います。
同じ空間にいるようなイントロから1サビに向けて夜空まで世界に広がっていく。2番から自分の周りや足元の注目させて再度、内と広い空間を対比させている。
また、アルバムタイトルやコンセプトである「夏」などを連想させる歌詞を、"自分"との関係や曲の展開に合わせて配置しているのもずるいなあと感じました。
Bメロの入りや音価の伸ばし方などから「もしかして?」と思いましたが、作曲は「sleepland」や「誰もわたしを知らない世界へ」などを提供されているrionosさんでした。本当にありがとうございます。
02. 白昼夢
作詞:ChouCho 作曲・編曲:村山☆潤
1音目から「(こちらを)落としてきたな」と笑顔になってしまいました。
センセーショナルなピアノやノイズと"怒"を帯びた歌声。ダークな雰囲気で始まる中で感情を自覚してどうにか発散するやるせなさ、緊迫感と焦りを加速させるコーラスによって焦点の定まらない感情のやり場、周りからの視線が刺さるように表現されています。
落ちていく自分の気持ちに対して理想を祈ることでなんとか自分を保っている、しかし黒い感情はいつもすぐ後ろにまとわりついているように感じました。
ネガティブな感情を吐露する強い語調に対して、柔らかで求めている言葉が諦めていないのだな、という印象を受けました。アウトロではまだ顔を上げています。
03. Poème en prose
作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
おっアーバンなやつか~ → ダメなやつだこれ
死ぬんだな、壊れるんだな、壊れたな、と聴きながら思いました。
拒絶を示しながら落ちるのだなあ。
ただでさえ重い楽曲が集まることが予想されていたアルバムの中で3曲目でこんなになる?今では心を遠いところに置かないと聴き返すことが怖いです。
04. scapesheep
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
リズムを引っ張り続けるエレクトロなベースラインで挑戦してきてるな、と思いました。こういうダークな世界観が大好きです。
鳴き声や環境音のようなノイズと有機的に刻み続けるリズムが人間臭さを増長しています。ところどころで喉が詰まっていたり、段々と「」書き部分や同じ言葉の声音が乖離/変化していくのも印象的です。
対象への期待が全く無い一方で娯しむモノとして囲っていたい、でも逃げ出したり喚くことを煙たがっているように感じました。その対象は遊ばれている自分たちなのか、はたまた諦観して見る自分なのか。と思っていたらこの曲名は単数形なんですね。
聴き終わったあたりで「あっこの感じbad guyだ」って思い出しました。
05. アリアドネ
作詞・作曲:山田かすみ 編曲:Saku
華やかな3拍子なのにずっと狂気を感じる。
1節目から嫌な予感がしていたのに歌詞に目を落とした瞬間「うわぁ」と声が出ました。ひたすらに空虚で痛みを慰められず踊り続ける人形ピエロ。
華やかさを演出する楽器隊が悲痛に満ちて踊る歌声を支え、ストリングスが絡まりつくように囲う様子をただ眺めているだけ。
そして、(期待していた終わり方なのですが、)終わらない、終わってくれない終わり方で鳥肌が立ちました。
06. デスコロール
作詞:良原リエ 作曲・編曲:Babi
沈んだ場所がここなのだな。
曲名で想像していたよりずっと優しい曲だなと思いました。基本となる楽器は少なく、玩具的な音色や牧歌的な遊びがあり、続いていく日常の中にいる。歌は落ちていって、ただ地下水のような闇が心の真中を流れているだけで。
そしてまた、終わらないし繰り返されるのだなと。
07. プランクトン
作詞:上田麗奈 作曲・編曲:広川恵一 (MONACA)
広川恵一と上田麗奈さん本人だ。
シティ・ポップスに乗りながら、流れていくシンセが周りを眺める歌に捕まらず、決意の瞬間から背中を押すように変化していく様子が見えました。曲中で抗う姿勢と相対し進む意志が生まれています。そして、送り出すようなソロとアウトロ。
正直に言うと言うことありません。五体投地です。
08. anemone
作詞:Annabel (siraph) 作曲・編曲:蓮尾理之 (siraph)
このアルバムを表現するならこの曲だ。
前もってMVが公開されていたため「なぜこの曲がこのようにできたのだろう」と思っていました。今までのように上田麗奈さんの精神世界があまり反映されていないと感じ、穿った見方をしてしまいました。
しかし、アルバムを通して聴いたのでは全く別の感想になりました。
このアルバムにおいて、後ろを振り返りながら足元を照らし前を向く転換点として存在し、自分のために歌う楽曲として。
09. わたしのままで
作詞:Annabel (siraph) 作曲・編曲:照井順政 (siraph)
エンディング。
自分の弱さを認め、奮励する。希望を見る。
08.anemoneから継いでよりゆったりとしたテンポに刻まれるリフは不安定さの中で表情を変化させながら当たり前に続く情景と風景を垣間見え、浮遊感の中で宙に浮かぶことのない、目の高さで世界を覗く。
ここまで歌詞に沿ったベースライン、呼吸と合うバッキングを僕は知りません。
空の見え方は変わっていても地続きで、足は地についたまま、一歩ずつ、自分の歩幅で。
10. wall
作詞・作曲・編曲:コトリンゴ
讃歌だあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ド性癖です。白い石畳の街道と朝日の上がる草原が見えました。
希望に満ちたなかで不安を拾い上げる、歌と声の演技の間を行き来するミュージカルとしての感動を抱きました。また、ストリングスやピアノなどの弦が情景を表情豊かに演出する隣で無機質に鳴るシンセからfuture popの感触を得ます。
こんなに重たいアルバムのラストとして異様に陽だまりに満ちた明るい曲であるなと思いました。
-以下とても個人的な感想、殺意、解決-
アルバムを通して聴いた感想
全体を通して夜空と水面(水音)の存在がありました。アートデザインに引っ張られているきらいはありますが、随所に入り込む水の音やそれを表現した歌詞、またハコニワを除いて広がる空間は無為な夜空の存在を感じました、
アルバムを通して聴いた感想(Fxxk編)
まず、アルバムを聴きながら書いていたメモを載せます。
とりあえずブチギレてます。
印象は上に書いたとおりですが、主に06.デスコロールと07.プランクトンの間に空気の違いが存在し、前作にあったブリッジとなるようなトラックがなかったため全体を通した流れがぶった切れたように感じました。一度最悪に落ちて最後ハッピーエンドへ向かうという演出にしては曲間の展開が急すぎて、07.プランクトンが1つ浮いているように感じでアホボケナスと呪詛を吐いていました。メモ内の"かわいそう"はそれです。ついでに言うとサイン会参加応募券がブックレットの一番最初に挟まっていたことを思い出してまたクソデカ殺意が湧いています。これだけ完成度の高い物語を作っていて勿体ないと感じました。
このあと1時間ほどyoutubeを見たりふて寝をしたあとに購入しておいた各種雑誌やインタビュー記事を読みました。
インタビュー記事/本人の解説を聴いて
ごめんなさ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い。
上の段落で語られていることは大体解説されているので是非追っていってください。主に制作順序、デモを頂いたときの感想などについてです。
上田麗奈「Nebula」発売記念生配信特番
雑誌:Ani-PASS #14、声優アニメディア9月号、声優グランプリ9月号、リスアニ!Vol.45
サイト:febri.jp、音楽ナタリー
私はこれからラジオを追ったりしてまた情報を拾おうと思います。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。この怪物のようなアルバム『Nebula』について個人的な感想をお話ししてきました。一通り聴くだけで体力を持っていかれるだけに細かく書くことはできませんでしたが、同じように心を連れて行かれた方は多いと思っています。そこでお願いがあります。どうか、その物語を教えて下さい。私はまだこのアルバムの物語を全て理解できていません。あなたの感じたストーリーと記憶をもってその解決の糸口とさせてください。この深い闇と温もりのアルバムを光とする方が一人でも増えること願って、結びの言葉とさせていただきます。
上田麗奈さんの1st Album 『Empathy』とライヴ『上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors』に関する感想記事です。興味のある方は合わせてお読みください。今回よりとてもマイルドに書かれています。