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母のこと、『ダリアの帯』

大前提、私は母のことが大好きです。
でも、大好きという感情だけで母を語れるかと言われると、それは違います。大好きと同時に、母を憎む気持ちもあります。でも、大好きなんです。

ふとした拍子に、母に言われて傷ついたこと、母にされて嫌だったことを思い出します。一度思い出すと黒い感情に呑み込まれてしまって、芋づる式に昔の記憶が出てきます。頭の中で、あの時されたあれが嫌だった、あの時言われたあれが嫌だったと記憶が絶えず出てきて、止めるのに苦労します。

そのようなとき、昔読んだ大島弓子さんの『ダリアの帯』を思い出します。
記憶が少し曖昧ですが、『ダリアの帯』では、主人公(女性)のお母さんが病の床で夢をみるシーンがあります。夢の中で、主人公は大きな本を持っています。そこには「何月何日 お母さんに〇〇をされて傷ついた。何月何日 お母さんが私に〇〇して悲しかった・・・」というように、びっしりとお母さんにされて嫌だったことが恨みのように書かれています。その本を、主人公がお母さんに向かって読み上げるという夢です。

私も、心の中に『ダリアの帯』に出てきた本を持っているのだと思います。
たまに取り出しては、頭の中で母に向かってその本を読み上げているのだと思います。

いつか読み上げずに済む日が来るでしょうか。
私はそのような日が来ることをまだ想像できません。

母のことは、またいつか書こうと思います。

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