松本山雅FCvsFC今治(A) レビュー【2023 J3 第13節】
はじめに
どーもこんにちは、すぴっちです。
第13節vsFC今治のマッチレビューになります。
本記事で言いたいこと
今節の収穫の1つは、霜田山雅の”バリエーション”を作れたことだ。
試合結果:2-0 (勝ち)
非常に苦しい戦いだったが、最後までゴールを死守して掴んだ勝利。どこに勝利のポイントがあったのか振り返る。
今治の狙い:暴れろ!ヴィニシウス
今治のストロングポイントは、「#10ヴィニシウス」。この怪物をいかに暴れさせるかが、今治のテーマに思えた。
ボール保持時は以下の通り。ヴィニシウス側はCH/RSBを加えたユニットで動き、ヴィニシウスが(自由に)ボールを持てる状況を作ろうとしていた。
ボール非保持は以下の通り。ヴィニシウスだけ前線に残る、異形の4-4-2。前線でボールを奪い、ヴィニシウス含めた3TOPで素早くゴールに襲いかかる意思を感じた。
*このやり方#50三門がめちゃくちゃ大変なのだが…それをこなす三門怖い。交代間際まで本当に苦しめられた。
*#50三門はボール保持時に高い位置を取る。これはネガトラ時に素早く#10のカバーに入るためでもあり、うまく設計されているなぁと。
山雅の狙い:ヴィニシウスを超えてゆけ
そんな今治に対して、山雅は”狙い通りに”先制点をゲットした。
狙いは、”ヴィニシウスの裏”を取ること。
先制点のシーンは、#15菊井のアシストおよび#19小松のゴールが非常に素晴らしかった。それと同様に、チーム全体で上記の狙いを意識してペナルティエリア前まで侵入できたことが素晴らしかった。
図を使いながら振り返る。
まず、ヴィニシウスの裏を取った#8下川に展開し、大きく前進できた。
その後、サイドチェンジを挟みながら前進を試みる。
途中セカンドボールの拾い合いになり、ヴィニシウスがいち早く攻撃に切り替えた。その後、山雅はボールを奪い返し、素早くヴィニシウスの裏を狙った。
そして、菊井→小松でゴール…と。
("ボール保持"を意識していた)特に前半、この狙いがよく見れた。16:05頃、31:46頃も同様の攻め方をしており、チームとして狙っていたことがよく分かる(特に後者が分かりやすい)。
偶然ではない、狙い通りのゴールであった。
また今節においてボール非保持の場面では、CHが相手アンカーを潰しに出ない、ミドルプレスのケースが少し多めに感じた。(相模原戦よりは少ないか?)
思惑としては、ヴィニシウス含めた相手の強力な前線のケアを意識していた…かもしれない。
全員で耐え凌いだ後半
前半は、今治の攻撃を抑え込み1-0で終了。しかし後半。75分頃に今治が選手交代するまで、非常に苦しい時間が続いた。
*46分〜75分で、ゴール期待値がほぼ”1”積み上がっていた。
こうなったワケとしては、両者の後半の狙いがうまく(?)噛み合ってしまったせいだと思う。
山雅は、リードしていることを踏まえて、リスク管理で「自陣でボールを持たない」やり方に切り替えた。GKからの再開はロングボールで前線に。クリアも"繋ぐ"よりも"前線に蹴る"ことを意識。
一方の今治。攻めの圧力をより強めてきた。具体的には、RSBが高い位置を取る + 最後尾2+2のビルドアップ。山雅のプレスをいなしながら、ガンガン侵入してきた。
結果的に今治の怒涛の攻撃を受けることになった。
しかし、リードしている状況と、相手の嫌がること(*)を踏まえれば、このやり方がベターだったと思う。
*今治は「前線で奪う&3TOPで速攻」を仕掛けられなくなった。相手の得意の形をやらせないこと大切。
5バックによるクロージング
そしてAT直前からの最終盤。山雅は5-3-2で守りを固めて、見事無失点でゲームを終わらせた。
試合終盤に何度も苦汁を嘗めてきたこともあり、この無失点は非常に嬉しい。(*以下、勝ち点を失った苦渋の歴史)
・第4節vs宮崎:1-0の状況から、76分に失点(ドロー)
・第7節vs沼津:3-2の状況から、86分/87分に失点(負け)
・第11節vs鹿児島:2-2の状況から、90分/ATに失点(負け)
終わりに
ロングボールを増やした後半然り、最後の5バック然り。これまでの霜田山雅らしくない試合だったように思える。
これは、新しい山雅への挑戦を諦めて現実路線に切り替えたのか?いや、それは違う。
鹿島アントラーズ監督である岩政大樹さんの某書籍曰く、「”中途半端”は”徹底”に分が悪く、”徹底”は”バリエーション”に分が悪い」。中途半端な武器しか持たないチームよりも、1つの武器を磨き上げたチームが強い。また、それよりも 複数の武器を磨き上げたチームが強い。すごくしっくりくる話。・・・反町さん時代は”徹底”だったし、うまくいかないときは”中途半端”だったな・・・と。
これまでの霜田山雅は、非常に”徹底”してきた。最後の最後まで”前へ”の意識を持ち続けたりと。そんな中で、より強いチームになるために、今節は5バックという”バリエーション”作りに挑戦したのである。結果、”試合終盤に無失点”という成功体験を積めて、勝ち点3も取れた。非常に価値のある試合だったと思う。
色々な武器を磨きながら強い山雅を目指していく姿が、楽しみである。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた。