これぞ山雅のショータイム。 松本山雅FCvs藤枝MYFC レビュー【2022 J3 第12節】
どーもこんばんは、すぴっちです。
今回は先週末に開催された、ホーム・藤枝戦のマッチレビューになります。今シーズンの山雅の良さが濃縮された、今季ベストゲームだったと思います!!!
1.試合結果:2-0 勝ち
https://www.jleague.jp/match/j3/2022/061104/live/#recap
試合結果だけ見れば、快勝したかの様なスコア。ただ一歩間違えれば逆のスコアになってたかもしれない、そんな試合展開だった。
2.[藤枝]ポジションレスな攻撃。サイドからの侵略を目指す。
プレビューでも述べた通り、藤枝の1番の脅威はボール保持。
試合開始10分頃から藤枝がボールを保持する時間が増え、山雅のゴールに迫り始める。
試合開始の山雅の陣形は、4-4-2。
藤枝は、サイドに人数を割く & ポジションを目まぐるしく変えることによって、山雅サイドを侵略を試みる。
特に面白いと感じたのが、15:25頃の藤枝の攻撃。
まず、CHを囮にしてWBにスペースを与える。
その後、藤枝お得意のHVのオーバーラップも合わせて、山雅WB裏を取る。結果、ペナルティエリアでシュートを撃たれた。
藤枝の#7鈴木が本当に厄介だった。時には最後列でボールを持ち、以下の様に数的優位を作られたり。
ポジションが変わるのは #7鈴木だけではない。HVが大外に貼ったり、シャドーが降りたり。山雅の守備陣型を広げようとあの手この手で襲い掛かった。
3.[山雅]良い守備から良い攻撃を。今季の山雅の強みを存分に発揮。
26分頃、藤枝の攻撃に後手になる時間が増えてきたため、山雅は3バックに変更する。守備時は5-4-1。
ここからが、山雅のショータイムの始まりだった。
小松を起点に瞬く間に相手陣地に侵入し、PKから先制点を奪う。多少心理的に落ち着けたか、ここから堅牢な山雅の守備が光る展開が続く。
4-4-2の時よりも守備ブロックの重心を少しだけ後ろに下げ、藤枝の攻撃をサイドに引き込む。引き寄せてから圧縮する。人数はいるが窮屈な状態になっているので藤枝は良いボールを出せない状況に。苦し紛れの中央へのパスはカットして、カウンターに持ち込んだ。
山雅が1TOPになったことを踏まえて、藤枝は2人でボールを持つ時間を作る様な場面もあった。この時は、CH (特に#4安東)が牽制をかけて対応した。
PK以降の時間は、ほぼ藤枝に決定機を作らせることはなかった。
後半になると、藤枝はシャドーを下げて陣形の間伸びを狙ったり、#18水野を常に右HVに置いて攻撃の起点になることを狙ったが・・・山雅の守備が完封した。
ポイントは以下の2つだったと考える。
・攻撃時、1トップの小松がほぼ確実にボールを収めたこと。
・守備ブロックにおいて、コンパクトさを保ち続けたこと
1つ目について。
この試合において、山雅の攻撃の1手目は小松に預けること。そこで奪われたら、ずっと自陣に押し込まれるだけ。小松の勝率次第では流れが傾く・・・はずだったが気付けば小松が全戦全勝。ほんと何この人、恐ろしい。小松のおかげで陣地を回復できて、また相手にカウンターの恐怖を植え付けながら試合を進められた。
2つ目について。
PK以降の山雅の守備は、本当に固かった。開始直後にあれだけ生き生きと攻めていた藤枝がどんどん行き詰まっていくのは実に爽快であった。
この要因な何なのか。5バックにして人数を増したから?先制点を取れて心に余裕ができたらか?個人的には、守備陣型のコンパクトさを保ち続けたことだと思う。藤枝の攻撃を恐れて引きすぎないように、また前へ前へ意識がいすぎないように、相当集中してコンパクトを保ち続けていた。
時間がある方は、是非 第11節の福島vs藤枝を見ていただきたい。福島の守備も5-4-1だが、比較すると如何に山雅がコンパクトさを維持できていたかよく分かる。特に目立ったのが以下の2シーン。
シーン①:15:45頃。シャドーの動きにCHが釣られ、ライン間にスペースが。そこをつかれて侵入された。
シーン②:18:21頃。CHが下げられ&SHは引き寄せられ、守備陣型がめちゃくちゃに。5-2-2-1のような形。失点につながった。
最終ラインは集中してラインコントロールを行い続けて、中盤は出るところ出ない所を見極めて、アタッカー陣はカウンターの脅威となりつつサボらず守備陣型の一部に戻る。チーム全体の努力によって、J3屈指の破壊力を持つ藤枝相手を完封した。これは大きな自信になったはずだ。
4.●●を褒めちぎっても良いでしょうか
はい、突然始めました「●●を褒めちぎっても良いでしょうか」。MVPと思った選手を褒めちぎらせていただきます。・・・ただ、この試合は本当にみんな良かったですよねぇ(笑)。2得点した蓮くんは前章で褒めちぎったので割愛し、追加で2人褒めちぎらせていただきます。
4-1. 「淳一さん」のオフザボールを褒めちぎる
田中パウロ淳一さん。バリバリのWGタイプであり、ボールを持ってからのドリブルやクロスに強みを持っている選手です。
ただ、今日の淳一さんは”オフザボール”の動きで非常に輝いていました。
カウンター時は相手のスペース目指して駆け上がり、小松くんとの連携でいくつも決定機を作り出しました。ボールを受けやすい位置ではなく、いち早くボールを受けられたら決定機になる位置を目指して走っていたように見えました。
また守備時にも良く走ってくれました。カウンターで前線に行ったはずなのに、守備時は瞬く間に守備陣型の一部に戻っていました。淳一さんが精力的に走ったからこそ、カウンターの鋭さが増したし、堅牢な守備になったと思います。
※"田中"も"パウロ"もいるチームにおいて、嫁の提案により我が家は”淳一さん”呼びです(笑)
4-2.「大野くん」の成長を褒めちぎる
直近6試合で失点はわずか1であり、堅守山雅が帰ってきた予感がします。そんな堅守を支えているのが、3節以降の試合全てに先発している大野くん。
藤枝戦においても、大野くんの成長っぷりが見れた。主に以下の2点。
1.ラインコントロール
2.HV裏のカバーリング
1について。前述した通り、今日の無失点のポイントはラインコントロールでです。最終ラインが低くなりすぎず、狭いライン間キープし続けました。(おそらく)CB中央に位置する大野くんが、守備リーダーとして守備ラインをコントロールした成果だと思います。最近の試合後コメントやインタビューでも「味方を動かして・・・」という発言が目立つので、少しずつ意識して行動し続けた成果なのかなと。
2について。身体能力の高さを生かしてカバーリング能力に強みを持つ大野くん。ただ、タイミングがずれて逆に空けたスペースを使われることもチラホラあったと思います。しかし、今日の大野くんは一味違いました。前半39:20頃のネガトラ時、相手が裏へのパスを出すのを少し待ってから・・・一気に仕留めた。前半のうちに、もう1回同じようなケースで大野くんが仕留めた。以前よりも"待てる"様になって、カバーリング能力がより向上してきたと思います。
大野くんの力によって「山雅の守備はやっぱり硬い!」と強く叫べる日が来る・・・かもしれません。
5.おわりに
少しでも読みやすくなるように、特に最近は”図多め&文章少なめ”を心がけていたのですが・・・素晴らしい試合にテンション上がって文章多めになりました(苦笑)。4章は短くすることを放棄しましたw
前節・鳥取戦は、今シーズン最悪のゲームとなりました。ただ、その反省を踏まえて挑んだ藤枝戦は、山雅の強みが濃縮された素晴らしいゲームになりました。
2018年のように、長いシーズン良いときもあれば悪い時もあります。J2昇格という目標に向かっていく上で、すぐに立て直せることは非常に大切なことです。この2試合で今の山雅にその力があることを証明でき、また1つ自信を取り戻せたのではないかと思いました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた。
*以降, 6/16に追記。4章以上に自由奔放な文章になります(苦笑
6. 書き残したことを自由に書き殴る
書き上げてから一晩経ち、「あれも書きたかったなぁ」という気持ちが膨らんでいきました。この気持ちを成仏させるため、自由に書き殴らせていただきます。
6-1. どうすれば山雅の守備をもっと苦しめられたのか?
山雅サポなのに何てことを書いているのだろう。しかし、思ってしまったものはしょうがない。どうすれば山雅の守備をもっと苦しめられたのか考えてみました。
1つ考えたのは、「裏抜けの動きを増やすこと」。
藤枝はポジションレスなカオスな攻撃を得意とします。その攻撃の狙いは「相手の2列目を引き寄せて、ライン間を広げさせて攻める」ことが多いように思えます。CHやシャドーが最終ラインに降りたりなど。
もちろんそれで広げられれば十分ですが、一方向の動きは守備側にとって分かりやすい・・・かもしれない。ここに裏抜け=相手最終ラインを下げさせる動きも加われば、守備側のラインコントロールにノイズを入れられる・・・かもしれないと思いました。
6-2.山雅の堅牢っぷりをデータで説明する
「今節の山雅はまさに堅牢」と言葉で言うのは容易いが、それは本当なのか?完封したのはたまたまじゃないのか?
分かりました、それではデータで説明致しましょう。
今節の山雅は、「少しだけ重心下げてブロック組んで、危険なエリアに侵入させなかった」ように見えました。
本当にそうだったかのか、藤枝の得点王:RWB久保と、アシスト王:CH鈴木のデータで確認してみます。
今回参照させてもらうのは、SPORTERIA様の”ヒートマップ”。前節の福島vs藤枝のデータと比較していきます。
まずは、RWB久保。
ペナルティエリア内でボールタッチした回数を比較します。
福島戦・・・4回
今節の山雅戦・・・0回!!!
久保に最も危険なエリアでボールを持たせなかったことが、完封の一要因かと。
次に、CH鈴木。
どれだけゴール近くでボールタッチをしたか比較します。
福島戦はこちら。
今節の山雅戦はこちら。
(感覚的な言い方になってしまいますが) 山雅戦の方が、よりゴールに遠い位置でボールを触っていることがわかります。
ゴールに近い位置で鈴木にボールを持たせなかったことも、完封の一要因かと。山雅は、藤枝を危険なエリアに侵入させない守備ができていたようです。
あともう1つ面白いなーと思ったのが、パスネットワーク。
まず福島戦の時の藤枝がこちら
山雅戦の時はこちら
福島戦と比べて山雅戦の方が、「CB川島&CH水野」のパス数の比率が高くなっています。山雅戦はこの2人のパスばかり。
おそらくこれは、藤枝が攻めあぐねて 2人の横パスorバックパスが増えた結果かと。これをみても、山雅の守備が機能していたと分かります
SPORTERIA様・・・いつもデータをありがとうございますm(_ _)m
・・・こんな感じで大体語り尽くせた気がします(笑)。読んでいただきありがとうございました。