私の存在はグローバルの成功に欠かせない「多様性」の象徴【CTOインタビュー】
日程調整ビジネスカレンダーを展開するSpirでは、2022年4月に英語版Spir(β版)をリリースしました。同時に、CTOに就任したのが、Izzy(イジー)ことIsmail Haimoura(イスマイル・ハイモウラ)です。外資系ITとスタートアップ経験が豊富なエンジニア出身でモロッコ国籍のIzzy。グローバルに本格的に進出するSpirで、何を成し遂げようとしているのでしょうか。Spirに参画を決めた理由とともに、じっくりと語ってもらいました。
個人が成長できるのはスタートアップだからこそ
──SpirのCTOに就任したIzzyさんですが、これまでどんなキャリアをつんできたのでしょう。
僕は12歳から自分でウェブサイトをつくったりしていたので、大学ではコンピュータサイエンス以外を学ぼうと、大学では物理学を専攻。アメリカの大学で2年、その後、日本の早稲田大学に留学して卒業しました。
就職先として大企業とスタートアップを比較すると、スタートアップではプロダクトをつくるだけでなく、より大きな課題に挑戦することを求められ、異なる役割を果たす必要もあります。個人として大きく成長したいなら、少なくとも若いうちはスタートアップで経験を積むべきだと考えていました。
そこで、日本のスタートアップ、オープンエイトでソフトウェアエンジニアとして、キャリアをスタートしました。当時のオープンエイトはネットの広告会社で、動画を作成するソフトウエアの開発をしました。それが、今、オープンエイトの主力製品であるAIを活用したビジネス動画の制作・編集サービス「VideoBRAIN」になっています。
その後、クラウドコンテンツのグローバルプロバイダであるブライトコーブ、フランスで最も成功した広告のスタートアップCriteo、米国のクラウドコンピューターの監視アプリソフト会社Datadogなどを経験。グローバルスタートアップで、プログラミングや開発エンジニアとしてだけでなく、チームマネジメント、顧客管理やコンサルタント業務も行ってきました。
──そういったグローバル企業では、日本を拠点に業務をされていたのですか。
日本にある支社での勤務もありましたし、日本からリモートで勤務していたこともあります。基本は日本で働いてきました。
グローバル企業では、あらゆるタイムゾーンにいるメンバーがひとつのチームとして働きます。ですから、自分が米国にいる、日本にいるということは、ほとんど問題になりませんでしたね。
直前の会社ではチームマネジメントを担当していましたが、もっとプロダクト寄りの仕事がしたいと思い、転職先を探していたところSpirと出会うことができました。
日本発、日程調整カレンダーのポテンシャル
──いろいろな国のスタートアップで成長過程を体験してきたIzzyさんが、次のフィールドとしてSpirを選んだのはなぜですか。
Spirへの参画を決めた理由は主に2つあります。1つは、日程調整カレンダーというプロダクトに大きなポテンシャルを感じたということです。
今の日本では日程調整カレンダーにフォーカスしたプロダクトはごくわずかです。しかも、日本における日程調整はまだまだアナログ。海外では、日程調整カレンダーとしてCalendlyが普及していますが、日本語バージョンはまだありません。Spirは、Calendlyより優れている点も多くあり、オリジナルは日本語です。そこにプロダクトとしての可能性があると感じました。
もう1つは、Spirが、PLG(Product-Led Growth)を成長戦略にしている点です。スタートアップがセールス重視のSLG(Sales-Led Growth)を取り入れる中、SlackやZoomといったグローバルで成功しているスタートアップはPLGを採用しています。
日本のスタートアップがグローバルで成功していない理由の1つが、国内マーケット重視でSLGを採用していることにあると思っています。結果的にプロダクトが国内仕様に最適化してしまうのです。顧客体験を重視するPLG戦略でプロダクトを磨いていけば、グローバルで先行するCalendlyより優れたプロダクトに成長できる。私はそう確信しています。
グローバルを目指す野心とオープンマインドを実感
──入社前、経営陣に対してどのような印象を持ちましたか。
入社前から経営メンバーとはじっくりと話しました。「よりよいプロダクトを生み出すには、どうしたらいいのか」というディスカッションです。
自分自身でSpirを使ってみて、大きな可能性を感じたのです。その可能性を正しい方向に発展させることができれば、グローバルでの成功もありうるというのが私の意見でした。
例えば、プロダクトのUI・UXでの具体的な改善案を伝えました。私の意見に、経営陣は真剣に耳を傾けて前向きに対応したいと話してくれました。そういうやり取りからもオープンマインドの会社だという印象を持ちましたね。
もうひとつ、感じたのはSpirを日本から飛び出して、世界中の人が使うサービスにしたいという野心です。「Slackやzoomのような存在になる」という強い意思を感じました。
私が、アーリーフェーズのスタートアップで働くことに魅力を感じる理由は、まさにそこにあります。チームのメンバーそれぞれが最善を尽くして、共に大きな目標を達成しようとするパワーがSpirにはあります。
マネージャーはチームのために働くのが理想
──CTOとして、これからどのようにSpirを成長させていきたいですか。
常に「なぜ」と「改善」を繰り返して、よりよいマーケット、よりよいプロダクトを追求していきたいですね。大切なのは、その思いを経営トップだけでなく、現場のメンバーも全員が持つことです。そのためにメンバーに多くの自由と権限を与えて、彼らの声に耳を傾けることも大切にしたい。それによってチームは強くなるし、進化し続けることができます。
イメージとしては、一般的な組織ピラミッドを逆にしたような組織をつくってマネジメントしていきたいと思っています。現場の人間は「よいプロダクトをつくる」ことだけに集中できるように、マネージャーはチームのために働くというのが理想です。
──様々な国とスタートアップを経験してきたイジ―さんから見て、Spirはどんなカルチャーですか?
Spirでは、誰もが非常に意欲的であり、自分とは違う意見に対しても非常にオープンマインドです。だからこそ、住んでいる場所や国籍、言語は大きな問題になりません。実際、オランダからフルリモートで働くエンジニアもいますし、経営陣には私だけでなく共同創業者の韓国籍のKangもいます。
このようにオープンで多様性のあるカルチャーは大きな強みです。違う意見を聞く耳を持つことで、よりよいプロダクトを生み出すことができるからです。
その点、シン(大山晋輔)はすばらしいCEOです。しっかりしたビジョンを持ちつつ、海外経験から多様性への理解も深い。しかも、真摯でオープンマインドを持ち合わせています。トップが中心となって、そういうカルチャーをつくっているので、自然とビジョンとオープンマインドを持つ人材がSpirに集まってきていますね。
多様な視点がスタートアップを強くする
──そんなSpirに、どんな人にジョインしてほしいですか。
今いるメンバーとはまた違った視点を持つ、何か新しいことをもたらす人材にぜひ加わってもらいたいですね。みんなと違う意見を言えることが、自律的なチームをつくります。できるだけ異なるタイプがたくさんいるほうがいい。スタートアップにおいては、多様性が重要な武器になるでしょう。
──最後にCTOとしてこれからSpirで実現していきたいことをぜひ聞かせてください。
Spirは、これから「日本発のグローバルスタートアップ」として新しい物語をつくっていきます。それは日程調整カレンダーだけにとどまらず、まったく違うプロダクトへと変化していくかもしれません。Spirがどのように進化していくかは、まだ誰にもわかりませんが、私たちは成長し続けていくことだけは確信しています。
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