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【フォースミル・高速振動試料粉砕機】乾燥食品の粉末化に使いました


 佐賀県工業技術センター食品工業部です!


 食品工業部が管理・運用している加工機器や分析機器について、プロフィールでもお伝えしていましたが、やっと第1回を投稿します!


 今後も、不定期とはなりますが、加工機器や分析機器を紹介していきますので、気長にお待ちください。


 初めての投稿となる今回は、「乾燥食品の粉末化」です。



食品を粉末化するとき


 一般的に粉末化(粉砕)を行うことで、用途が広がっていきます(ふりかける、混ぜる、ボリューム(体積)を減らす、など)。

 また、食品の機能性研究の場面でも、含量を調べたい成分の分析を行う場面でも、粉末化することで、抽出効率があがることがほとんどで、結構頻繁にこの作業を行っています。
 ただ、あくまでも加工しよう(又は分析しよう)とする食品が、油分や水分の少ない固体物であることが条件になります(例えば、水分の多い食品だと、ペースト状になってしまうことが多いです)。

※ 今後、ちょっとした専門用語を含めて、下記のような用語説明を入れていきます。読書の補足にしてください(わかりにくいときは、お許しください)。

【用語説明】
○ 抽出(extraction)
 あるものから、特定のものを取り出すことを言います。例えば、球状や立方体、三角すい、ラグビーボール様など、いろいろな形をした積み木が入った箱から、特定の積み木(例えば、直径5 cmの球状のもの)を取り出すこと、といった感じでしょうか。

○ 効率(efficiency)
 一つのゴール(例えば、理科のテストとか)に向けて払う複数の手段の労力を比較した割合を言います。
 例えば、テストで出そうな問題を集中して短時間で勉強した学生と、テストの範囲全体を時間をかけて勉強した学生が同じ点数を取ったときに、前者の学生の方が「効率がいい」と言われますよね。実際には、後者の方が将来を考えると前者に比較にならないぐらい良いのですが。

 「目的とする成分を取り出そうとするときに、よりたくさん取り出すこと」ができる方法を選ぶことが、「抽出効率が良い」方法を選ぶということになりますね。



今回使用した加工機器(「フォースミル」と「高速振動試料粉砕機」)


 話は戻りますが、今回は、「乾燥食品の粉末化」です。

 使った加工機器は、「フォースミル」「高速振動試料粉砕機」です。

 まずは、「フォースミル」(大阪ケミカル株式会社製「Y-308B」)。
 下の写真だけで、大きさはわかりにくいのですが、幅 10 cm × 奥行き 12 cm × 高さ 20 cm(およそです)の小さな卓上型粉砕機です。

Photo_001_フォースミル


 サンプル投入前の空の状態。

Photo_002_フォースミル_内部


 サンプルを粉砕する回転羽(上の写真でも見えていますが)。

Photo_003_フォースミル_羽


 つづいて、「高速振動試料粉砕機」(株式会社シー・エム・ティ製「TI-100」)。
 上のフォースミルよりは大きいですが、卓上で粉砕することができます(ただし、置く場所が振動に強いことが条件となりますが・・・)。
 大きさは、幅 58 cm × 奥行き 62 cm × 高さ 40 cm です。

Photo_004_高速振動試料粉砕機


 ふたを開いたところ。

Photo_005_高速振動試料粉砕機_内側


 サンプルを入れるアクセサリー。

Photo_005_振動粉砕機_アクセサリー


 使い方としては、アクセサリー内部(画像では、白い色をしている器部分)にサンプルを入れて、画像に移っているアルミナ製の円柱を一緒に入れ、画像右側に立てかけているふたで密閉します。

 アクセサリー全体を激しく揺り動かすことで、アクセサリー内部の壁面(画像では、白色の器部分)と円柱との間にサンプルが挟まれ、サンプルは細かく粉砕されます(少し化学実験をされたことがあれば、乳鉢でサンプルをすりつぶすようなイメージを思い浮かべていただければ)。

 「ガタガタ」(激しく機械は動くので、「ガタガタ」というよりも「ガガガガガガ」という音が正しいかもしれません)一定時間、激しく振動することで、サンプルは細かく粉砕されます。

【用語説明】
○ アルミナ(alumina)

 アルミニウム(Al)原子2個に酸素原子(O)3個が結合した化合物です。酸化アルミニウム(aluminium oxide、Al2O3(”2”と”3”は下付き文字))の別名です。
 絶縁体や研磨剤、耐火物など、幅広い分野で用いられています。



乾燥大豆を粉末化しました!


 それでは、粉末化した例を紹介します。

 今回は、まず最初に乾燥大豆を粗く粉砕しました(粗粉砕とも言っています)。

 今回のサンプルは、乾燥大豆。水分含量は10%強。
 フォースミルにサンプルを投入し(今回は、およそ 20 g 入れています)、

Photo_006_サンプル投入後


内部の回転羽を高速回転させ、乾燥大豆をがつがつ粉砕します。
 粗粉砕後は、こちら(およそ1分ぐらい)。

Photo_007_フォースミル粉砕後

 今回は、予想以上に細かく粉砕されていました。


 次に、フォースミルで粗粉砕したサンプルを、さらに細かく粉砕します(微粉砕とも言っています)。

 粗粉砕した大豆を高速振動試料粉砕機のアクセサリーに入れ、

Photo_008_振動粉砕機_アクセサリー投入後


機械にセットし、高速振動させ微粉砕化します(アクセサリーを置く場所(右側だけに緑色の「○」をつけていますが、左側にも置いています)や振動する部分は、下の写真をご覧ください)。

Photo_009_高速振動試料粉砕機_手書き情報あり


 高速振動試料粉砕機で処理した後の乾燥大豆です。参考までに、粉砕前の乾燥大豆も一緒に撮影してみました。

Photo_009_粉末大豆


 このような感じで、水分や油分の少ない食品の粉末化を行うことができます。

 今回は、「フォースミル」「高速振動試料粉砕機」を使った乾燥食品の粉砕についての紹介でした。



機器を利用するときのお願い


 佐賀県工業技術センターに設置している加工機器や分析機器については、佐賀県条例(佐賀県工鉱業試験手数料及び使用料条例、同条例施行規則)の規定に基づき、定められたご負担をお願いすることになります。

【リンクします】佐賀県工鉱業試験手数料及び使用料条例

【リンクします】佐賀県工鉱業試験手数料及び使用料条例施行規則


 今回紹介しました「フォースミル」及び「高速振動試料粉砕機」は、両方とも、機器の使用料として、佐賀県工鉱業試験手数料及び使用料条例施行規則第2条付表中

「使用料」
-「設備機械等の使用」
-「2 試作加工用の設備機械器具」
-「(工業関係)」
-「(29)その他簡便な加工装置・器具」
   → 780円(1時間あたり)

のご負担をお願いすることになります。
 また、ご依頼の内容や機器の使用に関するご相談の内容によっては、上記の項目以外の項目で対応することがあります。

 予め、ご了承ください。



 佐賀県工業技術センターでは、他にも加工機械を管理・運用しています。
 佐賀県内で食品産業やコスメ産業に関わる事業者の方において、何か試作したいときは、遠慮なくご相談ください(以下に記載のお問い合わせ先までご連絡ください)。

 また、予めお願いがあります。全ての加工技術を佐賀県工業技術センターにおいて実施できるわけではありません。ご要望に沿えない加工技術もありますので、その際はご容赦ください。


 今回紹介しました「フォースミル」「高速振動試料粉砕機」以外の件でも構いません。
 何かございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。

-----<お問い合わせ先>-------------------------
  佐賀県工業技術センター 食品工業部
【E-mail】 food_rds-sec@pref.saga.lg.jp
【Tel】 0952-30-8162
【Fax】 0952-32-6300
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