転職したけどまた辞めて、カフェをはじめたいと考える。路頭に迷い、占いにも行く
銀行を退職後、職業訓練校でPCの使い方を教えてもらって、今度は食関連の会社に転職した。わからないことを聞けば最低限のことだけ教えてくれる感じの我関せずの雰囲気だったので、銀行の「たっぷり教育してやろう」気質とは真逆で、会社によってこうも違うのねと学ぶ。そういえば6年勤めて一度も個人的に飲みに行ったことなかったな、全然いいんだけど。
はじめはデクスワークOLになれただけで大満足だったけど、いざ入社してみると業界的には斜陽で、社員がどんどん退職していることに気づく。
次第に退職者が増えても人員は補充されず、業務を縮小し、それでも赤字は増大していく。
高齢の経営者の行き当たりばったりに社内はあきらめムードが漂い、おかしいのでは?と声をあげれば、「それ自分の仕事になるから言わないほうがいいよ」と上司に宥められる。
まあ適当にやって給料もらえればいいかとも思っていたが、自分もうちょっとやれますとも感じていた。
その頃休みの日に、世田谷のアンジェリーナというカフェに行ったとき、「ああ、いつかわたしもこういうお店やりたいな!」と漠然と思う。
余力があったので、いつかに備えて調理師免許を取ってみようかなと思い立つ。(カフェの開業は調理師免許がなくてもできる)
調理師免許は、調理師学校に通うか、がっつり調理の仕事を2年した後、筆記試験に合格するかの二択だったので、夜間の調理師学校に通うことに決める。なんとか2年通い、一応調理師免許を取る。(学校は楽しかった)
会社の方は経営をどうにかする気がまったくなく、ビルをまるごと植物工場にしようとか、どんどん検討はずれな方向に進んでいく。
そんな時に、無性にさばのおろし煮的なものが食べたくなって、昼食に商業施設に入っている和食系の店に入る。若い女の子で店内は満席で、隣の女の子達は、だれがどこの大学に受かったとか探り探り話ていた。店員はピリピリとしていて、後からだしをかけて食べるというような説明を事務的に伝えていた。さばのおろし煮は冷凍をチンしたような、そういう味がした。1,400円だった。
そこにはおいしいさばのおろし煮を食べてほしい!という想いとか、食事を楽しむこととか何もなくて、資本があって、立地の良い場所にそれっぽいコンセプトの店があって、アルバイトが仕事を捌いて、毎日たくさんの客が高すぎる金を払っている場所だった。
でも自分が会社で働いていることも、こういう歯車の一つと何にも変わらないと思った。自分のやりたいことを実現して、すべての責任を負ってみるのもいいんじゃないか?と考えるようになる。
3月に調理師学校を卒業し、老後にカフェをやるのではなくて、今からやったっていいんだよなあという気持ちは日に日に強くなり、でも会社を辞める踏ん切りがつかず、頭がおかしいんだけど、占いに行くことにした。
駅の広告で毎日見ていた「〇〇の父」に電話をかけて、今から行っていいかと乗り込んだ。生年月日を伝えると、父はすごい速さで鑑定書なるものを書いていき、開口一番、仕事辞めちまいなよ、事務ってタイプじゃねぇな。と言った。不動産業とか、水商売が向いているそうで、カフェをやりたいと話すと、いいじゃん!ベローチェの店長とか向いてると思うよ!とも言われる。なぜベローチェ、面白いけど。(ちなみに学生時代はずっとベローチェでバイトしていた)
こちらはお客なので、寄り添うようなことを言ってくれたのだと思うけど、単純なわたしはこれで仕事を辞める決心がつく。
それで先月とりあえず仕事を辞めたというわけです。