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AppBrew CTO はじめました

AppBrew の堀江(@spinute)と申します。ここ10年くらいは Pin と呼ばれています。好きな食材は茄子と鶏肉です。

この文書では「私と AppBrew との関係」「CTO としてやっている・やっていくこと」そして「AppBrew と LIPS のこれから」について順に書きます。

AppBrew では私が LIPS の開発組織の責任者を、佐々木が LIPS のビジネス組織の責任者を、そして吉野が新規事業の責任者を務めています。

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左から順に私、吉野、佐々木

私は8月から CTO をやっていたのですが、公式に体制変更のリリースを出したこの機に、社内外に向けた決意表明的な文書を公開するため筆をとることにしました。

私について

AppBrew に来るまで

幼い頃、母が化粧品関係のしごとをしていたのを見て漠然とした尊敬と憧れがありました。

高校生の頃には資生堂美容専門学校に行くか東大に行くかで迷いました。ただ、明らかに器用さよりも頭を使う方が得意で、科学オリンピック系に燃えてたのもあり化学が好き&得意だったため、当時は東大で化学を修めて化粧品開発に携わる研究系の仕事に就こうと考えていました。

化学の国内予選で京都に行ったときの写真の写真

東大では教養学部で教養(?)を身に着け、その後総合文化研究科で総合的な文化の研究(?)をしました。色々な学問領域がごった煮になっているリベラルアーツ系の大学・大学院に7年いるうちに、実験科学から理論科学に興味が移り、計算機科学や数学等を中心に勉強したり、数理最適化やグラフ探索に関する論文を書いたりしていました。

大学を出たあとは、学生の頃からアルバイトをしていたミドルウェアを作っているベンチャー企業で、分散 RDBMS や並列計算用ソフトウェア等を実装しつつ、計算機飼育員のようなハードウェアを触る仕事もしていました。

そんな折に大学の同期 @ShotaTajima から聞いた話で、同じ学部の後輩である松井が AppBrew を創業して LIPS というサービスを作っていることを知りました。いつか携わりたいと思っていた美容関係の領域に自分の得意な情報科学やソフトウェア開発の能力を活かして関われるチャンスだと思い、ちょうど無職を始める機会があったので LIPS のアルバイトをしてみた、というのが私が AppBrew に辿り着くまでの経緯です。

AppBrew に入ってから

今では50名の社員がいて、うち20名ほどがプロダクト部に所属していますが、私が入社した当時はまだ開発者は全員1つのチームに所属していました。

最近の集合写真。久しぶりにオフィスにたくさん人がいた

AppBrew のカルチャーや行動規範(例えば Open や Lean)は当時から根付いていたと思います。意図的に設計された文化が十分浸透している組織に入るのは初めてで大変興味深かった記憶があります。(How Google works 等を読んで、なんかアメリカにはそういう組織があるっぽいけど、それは実在するのか、日本にもあるのか、それともブランディング用の架空の話なのか等、確信を持てずにいた)

AppBrew の行動指針(会社紹介資料より)

社内で情報がやたら公開されているのが面白く、無職で時間があったのもあり、正社員になる前に(1000本以上あった)社内文書を全部読むマラソンを勝手にやっていました。

また、issue やソースコード、プロダクトのメトリクス等も自由にアクセスでき、伸びしろがありそうな箇所を勝手に調べ、やりたいことを持っていったら何でもやらせてくれて楽しめたので、AppBrew に正社員としてジョインすることに決めました。(色々勝手にやっていい文化がわかってきたので、アルバイト期間の後半はかなり好き勝手やっていた気がします。)

私は「楽しくないことを継続しない」という自分ルールを持っています。
土日だけを楽しみに平日をやり過ごすようになってしまうと、人生の 5/7 を退屈に過ごすことになってしまいます。嫌です。
これまで AppBrew に入社した理由を聞かれ様々な回答をしているのですが、結局「アルバイト期間で楽しく働けることを確認できたから」というのが自分の中では一番芯を食った答えだと思っています。そして3年経つ今も日々楽しく働けていることをとても幸せに思います。

CTO としてやっている・やっていくこと

さて話題が変わって、CTO ってなんでしょう?
自分は CTO としてまだひよっこなので含蓄あることは言えないのですが、Chief Technology Officer = 「最高技術責任者」なので、字義的には組織における技術部門のトップのことを指す単語のようです。

では CTO は何をするのでしょうか?
以下の本は、エンジニアとしてマネジメント側のキャリアラダーを上がっていく際の、一般的な職責の違い等について理解するために参考になりました。(読んだのは最近ではなく初めてマネージャになる際でしたが)

組織の規模や文化、事業ドメイン、時代等、様々な要因によって CTO が何をするべきかは変わるようです。例えば(CTO として相当な経験を持つ) LayerX の松本さんが書いた以下の記事は、規模に応じた CTO の役割の変化に関するものです。

CTO になった前後で私の業務内容はほぼ変わっていません。ここ2年ほどは自分の仕事を「LIPS がどうあるべきかを考え、それを実現する仕事」と定義し、具体的には以下のようなことをしていました:

  • PdM, PjM, EM 的な仕事:OKR・KPI・プロダクトロードマップの作成、開発フロー定義・改善、1on1 の実施、施策立案・仕様策定、ユーザインタビュー等

  • 開発チームの生産性を上げる仕事:組織設計、開発基盤整備、採用、教育、オンボーディング等

  • 自分の専門性を発揮できる領域の開発:アルゴリズム・サーバーサイド・インフラ関係の開発やパフォーマンスエンジニアリング等

結局、組織・事業・プロダクト・技術と向き合い、やるべきことを考えながらやってきたその延長線上で CTO としてのロールを担っているのだと思います。

とはいえ、CTO としてこれから意識的にやるべきだと考えていることもあります。CTO になるに際して色々とインプットしたのですが、誰に話を聞いてもどの本を読んでも、組織開発・採用・教育・マネジメントと「人に向き合うこと」が一番重要だと言われているように思います。

ちょうどこの10月に社員数が50人になり、俗に「50人の壁」と言われる組織やコミュニケーション等の課題が顕現しつつあるのを感じています。
働きやすく成果が出せる環境と、面白い仕事・成長できる機会とを、組織に提供し続けていくために、やるべきことを真摯に考え実行し続けていくつもりです。(自分もそういう組織で働きたいし、多分みんなもそうなので)

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写真撮影のために仕事をしているふりをしている開発チームの方々

また、組織のスケールに伴い情報整理の重要性も(激しく)増していきます。
組織の成長に伴い、蓄積された情報量・情報の生成量・情報の古さの3軸平行で情報へのアクセスが難しくなっていく一方で、よく整理・蓄積された情報は繰り返し・複利で価値を生み出します。リモートワークや情報技術の進展によっても文書の価値は増していくため、組織構造やコミュニケーションのアーキテクチャと並行して情報整理のための仕組みづくりも積極的に進めていくつもりです。

今はまだ CTO としての経験値は多くないですが、100人の組織になる頃には今度は自分の経験と実践を元に文書を書ければと思います。

余談ですが、最近はミルグロムの「組織の経済学」を読んでいます。学生の頃にお勉強したお経済学と比べ、リアルな世界での実践がセットになりめちゃめちゃ面白いです。

やや総花的な内容(よく書かれているが扱う題材が非常に幅広い)ですが、こちらの本も常識的な内容を一通り押さえるために大変役立ちました。

業務でプログラムを書く時間は開発者だけをやっていた頃よりは当然減っていますが、アルゴリズムや機械学習、データインフラ・分析等、個人の技術者としての研鑽はこれからも続けたいと思っています。(好きなので)

AppBrew、LIPS のこれから

AppBrew は「ユーザが求めるものを再現性をもって作る」ことをミッションに置いています。(これは Paul Graham の言う “Make something people want” を索くものです。スタートアップあるあるですが Paul Graham 信者がたくさんいる会社です)

「科学や情報技術を強みに情報・機会を創出し、文化や富、幸福といった価値を社会に届ける」ことを代表の深澤は目指しているようで、ここには私も強い共感を覚えています。

AppBrew では現在以下の3つのプロダクトを並行して開発しています。

  • 美容・コスメのリアルな情報が集まる最大のプラットフォームを目指す C 向けサービス

  • ブランドやメーカーのマーケティング担当者にとってなくてはならないサービスとなることを目指すB向けプロダクト

  • 美容・コスメに限らず AppBrew のチームで社内にもっともインパクトを出せる事業を創出することを目指す新規事業

コスメや美容ドメインにおける情報プラットフォームとしての LIPS は既に一定の評価を得ています(= 美容・コスメのリアルな情報が集まる最大のプラットフォームになりつつある)。

LIPS の主要実績・KPI(会社紹介資料より)

その先、非線形な成長を作っていくための事業戦略が固まりつつあり、この先の一年は第二創業期的な動きを複数同時に進めていくことになります。今回の執行役員就任人事はこの流れに合わせたものです。

事業戦略の具体的な内容を伝え切るにはこの余白は狭すぎるので、ぜひカジュアル面談でお話させてください!(個人的にかなりワクワクする事業構想で、面白い話をできるのではないかと思います)

あとは、LIPS の成長に伴い、これまでは兼務で済ませていたロールに、より専門性高い専任の方をアサインできるようになってきました。例えば、ピークタイムだとサーバー台数は100台を越えており、インフラ費用の削減だけでも一人分の人件費がペイする事業規模になっています。

また、技術系の専門職としてキャリア形成していけるよう、グレード制を最近代表の深澤が作りました。

グレード制度(会社紹介資料より)

直近だと例えば、アルゴリズム開発のテックリードウェブ開発のテックリード、SRE、Product Analyst 等のポジションをオープンしています。(いずれもG3〜のポジションです。)
いずれも私自身兼務していたことがある職種で、プロフェッショナルな方と一緒に働けることを楽しみにしております!

もしご興味ございましたら、お気軽にご連絡ください!(Twitter で @spinute に DM 頂いても、https://calendly.com/spinute/45min から直接都合良い日時を押さえていただいても構いません。事業の話でも技術の話でも歓迎です📍)


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