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2024の反省と、映画ベストテン(暫定版)


はじめに

2024年がいよいよ終わりますね。いろいろとお世話になりました。
 
振り返ってみると、今年は環境が大きく変わりました。やりたいお仕事があって、ここ数年ずうっと準備していたのがようやく実りまして、今年はその研修に行ってたんですよ。
 
準備をやっていた数年は、仕事以外の時間をだいたい勉強につぎ込んでて、時間的にも精神的にも余裕がなかったんですね。
そうすると、少しずつ心が死んでいくというか。映画とか本に触れて感動したりとか、何か考えたりとか、友達と会ったりみたいな機会がなくなってきて。お仕事もリモートでしたから本当に人に会わなくて。
 
そのせいか、いまも心がちょっとこわばってるんです。
自分は何が好きなんだっけ?時間ができたら、何をやりたい?…みたいなことが自分で分からなくなってる。あと、人がいっぱいいる場所に毎日出勤するのもちょっとシンドかったり。
 
なので、今後の人生の布石というかセットアップのために、心を動かすリハビリ(?)をしましょう、というのが今年のテーマのひとつだったのでした。

で、映画はまえから好きだったんですけど、今年に入って「アンダーグラウンド」、「ガタカ」、「ゴーストワールド」など、お気に入りだった作品をふと二番館で見たら、こんな精神状態でもちゃんと泣けて嬉しくなってしまって。映画、またちゃんと見ていこうかな、と思って劇場に通うようになりました。 
なんとか劇場で40本くらいは見れたのかな。

ベストテン

…というわけで、以下が今の気分の、2024年映画ベストテンです(まだ見てない作品もあり、今後も変わるかもしれません)。
書いてはみたけれど、こういうのは自分のベストじゃなくて、ほかの人が、どんな映画を、どんな理由で好きなのか、読んでるほうが楽しいんですよね。いろんな人のベストテンをききたいです。

 
①  ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
②  密輸1970
③  チャレンジャーズ
④  ジガルタンダ・ダブルx
⑤  ナミビアの砂漠
⑥  デッドプール&ウルヴァリン
⑦  カンバセーション 盗聴 4k版
⑧  ロボット・ドリームズ
⑨  チャーリー
⑩  ツイスターズ
 

 映画ごとにコメントをつけました。お暇な人はどうぞ。長くなっちゃったんで、4位くらいから力尽きています。

コメントとか

 

1.ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ


 ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)の仲良し殺し屋コンビの、だらだら会話する日常シーンとキメキメなアクション場面のギャップが大人気のシリーズ第3部です(でも、いきなりここからみても大丈夫)

 バカみたいにハマりました。5回見て、ロケ地(ウチの地元の宮崎なんです。)を見学して、応援上映行って、あと役者さんと同じ衣装探して買ったりとか。
 
 池松壮亮が演じる本作の敵・冬村かえでは、ものすごく強い殺し屋なんですけど、かわいい奴なんです。普段は一人で黙々と殺しの腕を磨いているんだけど、友達が欲しいと思っているんですよ。
でも、池松が友達だと思ってた人間はこいつのもとから去っていくし、新しく友達を作りたいと思って近づいても、みんなビビったり怒ったりしちゃうの。こいつは結構自分勝手だし、人との接し方もよく分からない。そんなこと言ったら相手怒っちゃうんでない?って言葉を、大事な局面で選んでしまう。本人は必死なんだけど。

 かれは、自分がなんで他人を遠ざけてしまうのかわからないんですよね。それが見ていておかしかったり、時に悲しかったり、怖かったりするわけです。 
孤独をこじらせたアンチヒーローといえば「タクシードライバー」(76)とか「ジョーカー」シリーズ(2019、24)なんかがあるけれど、この映画の池松壮亮が類似のキャラクターたちと比べて変わってるのは、ずっと愛嬌があって、笑えるところだろうと思います。

 あと、このシリーズの主人公の一人、まひろは、極度のコミュ障で社会になじめなくて仕方なく殺し屋をやっている、みたいな人なんです。で、池松壮亮は、まひろが、相棒ちさとに出会えていなかったifの姿である、という含みがある。
この映画は、誰かと一緒にいることがどれくらい人間をつなぎとめてくれるか、みたいなお話でもあるんです。
 


2.密輸1970


 海底に眠る金塊をめぐり、あまさん軍団とヤクザと税関が、血みどろの抗争を陸で海で(サメも出る!)繰り広げる、最高のケイパー映画。税関との騙し合いは巧みな構成でハラハラするし、あまさんとヤクザがほんとに海中で戦う場面はだれも見たことないみたいな絵面で楽しいですよ。あまさんってチームで仕事するし、海の中の地形を知り尽くしているので、仲間がいて、場所が海中なら、ヤクザと互角以上に戦えるんですよ!海の中のファイトシーンって昔の007とかだとちょっともっさりしてたけど、ちゃんとかっこよく撮れるんですね。
 映画は血みどろなんですけど、ストーリーの柱は泥棒仲間のキム・ヘスやヨム・ジョンアら女たちが、かつての信頼を取り戻して真の敵と戦えるか、という硬派なドラマで、これも最高です。70sの衣装と歌謡曲が、ドラマのトーンにすごいハマるんですよ。
 

3.チャレンジャーズ


 男二人と女の人の三角関係のように見えて、実は男二人の友情こそがお話のキモである…というパターンのお話なんだけれども、男二人の間にいるゼンデイヤの特異なキャラクターと、三人の人間関係の推移が割と長いスパンで描かれていたこと、この二点のおかげでものすごく目を引く映画になっていたと思います。
 確かに男二人は、二人でイチャイチャしているときに、誰がどう見ても一番リラックスしている。ゼンデイヤもそれがわかっているんだけど、わかっていて二人を焚きつけるんですよね。いったいなぜ?ややこしく入り組んだ感情の矢印が、ラスト、こんなうまいこと決着することあるんだ!って笑っちゃいました。大好き。
 

4.ジガルタンダ・ダブルx


 映画スターになって地元の人々の尊敬を得たい、と願うギャングがいて。そんなギャングを暗殺するため、潜入捜査官が、映画監督であると正体を偽って取り入り、二人で撮影を始めたところ、二人とも映画作りにハマって少しずつ友情が芽生えて、おまけにギャングが更正して地域社会がよくなっていく・・・という、映画業界と政界の距離が近いインドならではのお話。
 ギャングは身内に捜査官が潜入していることを薄々察しているし、捜査官は自分の未来を奪ったギャングに恨み骨髄なんだけど、映画を通じてギャングはだんだん本当にイイ奴になっていき、捜査官もそれがわかるんで悩んじゃうんですよね。
 お国柄、フィクションが人の生き方にかなり直接的に影響を与えるし、ときに悪用もされることに物凄く自覚的なんだけど、「せめて少しでもいい方向に代わってくれないか」という祈りを感じました。ツイストがものすごく効いていて、展開も二転三転するので最後まで目が離せません。

5.ナミビアの砂漠


 お話がどこに転がっていくのか、出ている人物がどんなヤツなのか、なかなかわからないタイプの映画を見たくなることってあるんですよ。この映画は河合優実のキャラの、自分の考えたことに非常に素直な、のびのびとした人ではあるのだが、見ようによっては無軌道というかハチャメチャで、みたいなのが面白かったです。後半で彼女のバックグラウンドがいくつか説明されるけれども、これが前半の彼女の言動を一読了解させるようなものではないような気もしていて。 
 あと、河合のひとりめの彼氏君(寛一郎)がすごい甲斐甲斐しくて、現代っぽいやさしい男ではあるんだけど、妙に信用できない感じがあるのもよかったですね。

6.デッドプール&ウルヴァリン


 「マルチバースサーガ」と言いつつ、なかなか20世紀FOXのキャラクターが出てこないじゃん!(「ワンダヴィジョン」に出てきたエヴァン・ピーターズが他人の空似だった、とかいうオチなんなんだよ!)などと言いながらMCUを見ていたこの4年近くのうっ憤を晴らすような楽しい映画になっていてよかったです。一度シリーズがきれいに完結した「ウルヴァリン」をもう一回出すにあたり、文字通りウルヴァリンの墓荒らしをするオープニングはそのまんま過ぎて笑ってしまいました。一周回って真面目だ。

7.カンバセーション 盗聴


 今年は旧作のリバイバルもちょこちょこ見ました。ファスビンダーとか、鈴木清順とか。自分は映像に関する教育とかを受けたわけではないので、映画見ていても割と台詞やストーリーばっかり追ってしまってて。役者さんの動かし方とか、画作りとか、衣装とか音とか、台詞以外の情報をあんまり拾えてなくて。鑑賞のしかたを変えられないかな、ということを前になんとなく考えてて。  
 で、映画技法の本に、用例としてこの作品が載っていたんです。キャラクターの性格を、着ているものや動き(まっすぐ歩いているのか、ぐるぐる回っているのか、とか)背景にいる場所なんかを使って、台詞に頼らず表現することができるんだそうな。(https://www.filmart.co.jp/books/978-4-8459-1292-6/)。  
問題集を解いて答え合わせしてるみたいな観賞だったんですけど、確かにジーン・ハックマンがどんな奴なのか、画面見ていればなんとなくわかるんですよ。こういうのは楽しかったですね。

8.ロボット・ドリームズ


 9位に、孤独でセルフケアがへたな男が犬に癒される映画を挙げたんですけど、ああいうのと同じパターンのお話なのかな?とか思うじゃないですか。なのに、こんなかわいい絵柄でラ・ラ・ランドなのかよ!という。
 アイアンジャイアントでも、ベイマックスでも何でもいいんですけど、子どもの世界に過渡的調整者みたいにしてやってきたマスコットって、子供がある程度成長するまで一緒にいてくれるでしょう。大人の世界にはそんな他人はいないのね(当たり前だよ!)・・・ってちょっと寂しくなってしまいました。途中まで、ロボットはペットの暗喩なんだと思ってみていたので、結構不意打ちだったのもあります。

9.チャーリー


 というわけで、リカバリーにいかがでしょうか。


10.ツイスターズ


 尺も手ごろだし、関連作品の予習もいらないし、こういうライトに楽しめる大作映画がもっとあるべきなんじゃないかと思いました。
 竜巻の恐怖と、これを乗り越える葛藤が描かれるんですけど、竜巻といえば、ただ草原で起きてるだけじゃなくて、何かを巻き込んで壊さないと迫力を表現しにくいんじゃないですか。 
本作の竜巻による破壊シーケンスは、序盤が対象物の少ない草原で、それから夜のモーテルとか、大きな給水塔のある道路ときて、クライマックスは町中で展開していて、ちょっとずつ、堅実に盛り上げるつくりになっていたのもよかったです。

おしまいに

ここまで読んでいただきありがとうございました。来年もいろんなインプット(本や映画を含むがこれに限られない。)をしていきたいな〜、と思います。もっといろんな人に会いたいし、いろんなものが見たいんだ。ひきつづきよろしくお願いします。






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